前回のベルギーではアントネッリが勝利しました。
アントネッリとラッセルの決定的な違いはエネルギーマネジメントの差です。
いよいよ前半最終戦ハンガリーGPがスタートします。
各チーム良い結果で夏休みに突入したいところ。
アストンのBスペックシャシーもここで投入されることが決定しています。
アストンのBスペックシャシーが遂に登場。

かねてから噂されていたアストンのBスペックシャシーが遂に投入。
当初の話では10~15kgの単なる軽量化と言われていましたが、実際のところどうなのでしょう。
再ホモロゲーションを実施し、単なるパーツの形状変更にとどまらず、シャシーやギアボックス構造そのものの設計を見直して軽量化を行った。
それに際して、FIAのクラッシュテストを改めて受け・合格して投入が認められました。
10~15kgの軽量化は約1.0秒程度のタイム改善が見られるとされています。
しかしライバルチームはこれまでのアップデートでそれ以上にタイムアップしているので、軽量化によるタイム短縮では物足りない。
アストンは様々な部分にアップデートが入ってることが確認できます。

インウォッシュボードの前に2枚ほど切り欠きが設置されています。
インウォッシュボードの主な役割はフロントタイヤから来るウェイクの整流ないし、シャシー内側にウェイクを寄せ付けないこと。
アンダーカットおよびフロア下への「エネルギーの高い気流」の導入
内側へ誘導(インウォッシュの発生): 空気を外側に押し出すのではなく、インウォッシュを発生させアンダーカットへ勢いよく引き込みます。
勢い良く引き込んだ流体の速度は速く、 速度が高く整った空気がサイドポッドアンダーカットを抜けて車体後部のコークボトルエリアやディフューザー上面に流れることで、グラウンドエフェクトが大幅に強化されます。
コーナー進入時やステアリングを切った際に突如フロント/フロアの空力がストールするのを抑えます。

大幅変更に伴い、リアサスペンションにも見直しが入っています。
ジオメトリの見直しによって、サイドポッドから流れてきた気流を整流して、リアウイング並びにディフューザーに綺麗な気流を提供すること。
そして低速サーキットにおいて重要視されるトラクションの向上にも期待が持てる。
そしてアッパーウィッシュボーン後部を持ち上げることによりアンチスクワット効果の調整にも着手してきました。
意外だったのはフロントサスペンションの見直しもするのではと思っていましたが、今回はアップデートが見受けられませんでした。

サイドポッドに変化が見られ、レッドブルRB19を彷彿とさせるようなインレットにアッパーバイト方式が採用されています。

アンダーカットを広げることで、フロントから流れてくるエネルギーの高いクリーンエアを大量に車体側面からリアへと流すことができるようになる。
この流速の速い空気がディフューザー上部(リアフロア周辺)に到達すると、フロアからの空気を強力に吸い出す(引き抜き)効果が生まれます。
これにより低速域でもグランドエフェクト効果が発生しやすくなる。
フロアの流速が上がれば課題であった中低速域でのメカニカルグリップ並びにエアログリップの改善にも期待が出来る。
シルバーストンでは低速区間においてもステアリング修正があり、非常にドライバビリティの低いマシンだった。
薄くすれば投影面積も減少し、空力的利点があることは明らかです。
しかし見ての通りサイドポッドは滅茶苦茶薄いです。
これにより懸念されるのはやはり冷却の機能性。
特にハンガリーでも高温下による週末が予想されるため、PU負荷が低くても冷却性能の確保は至上命令となります。
インレットに取り込める気流が少なくなれば、当然油温・水温上昇に繋がり、オーバーヒートを招く結果となる。
冷却が間に合わなければエンジンカウルにルーバーを設ける必要がありますが、結局それは空力を犠牲にすることを意味します。

翼端には追加のウイングレットが投入されています。
このウイングレットは、ドラッグの削減翼端板の外側や縁に小さなウイングレットを配置することで、この巻き込みを小さく分割・整流し、不要なドラッグを減らしつつウイング本来の効率を高めることができる。
要するに翼端で発生するアウトウォッシュの邪魔をしないように、ウイングレットを通して切り分けてしまおう、という考え方ですね。
翼端板のウイングレットで気流をわずかに、斜め外側へ吹き飛ばすアウトウォッシュを発生させることで、乱気流がディフューザーやウイング下面のきれいな気流に干渉するのを防ぎます。
ウイングレットの向きを斜め外側に配置することで、ディフューザーたロワウイングにウェイクが行かないようにアウトウォッシュを発生させよう、ということです。
気流を弾き出すといったイメージでしょうか?
そしてこの翼端のウイングレットは車体後部にダウンフォースを生み出す。
ただでさえアストンのマシンはダウンフォースが少ないので、こうして少しでも多くのダウンフォースを稼ぐのです。
ではこれによってどんな効果が期待できるか?
空力ストール(剥離)の解消
従来のAMR26は高速コーナーでフロントウイングやフロアの空力が突如ストールし、フロントが逃げてしまいアンダー発生、中低速での進入時にマシンが不安定になるという深刻な挙動上の欠陥を抱えていました。
イギリスGPの際には高速コーナーでステアリングを180°切ってもアンダーが出て全然曲がっていなかった。
ドライバーの安全という観点からも懸念点があり、一刻も早いアップデートが必要な状況でした。
その為総合的なダウンフォース増加が必須でした。
ノーズ、フロア、ボディワーク周辺を一体で再設計することで、単純なダウンフォース量だけでなく、ドライバーが限界まで攻めやすい素直な空力特性を目指しています。
空力という観点から見ればそれは素晴らしい・・・ともいえるのですが、空力を第一に考えるあまり、冷却性のはホンダPUに丸投げ、という見方もできてしまうのです。
ただでさえ信頼性不足に悩まされている今のチームの現状においてその判断は正しかったのでしょうか?
PUの影響度が少ないが、暑くタイヤの熱管理が重要。

ハンガロリンクは、典型的なストップ&ゴーサーキット。
ストレートが短く平均速度も低め、シルバーストンやスパの様にエネルギーマネジメントで苦戦することは少ないと思います。
ただ、ハンガリーは例年この時期は暑い日が多く、PU並びにタイヤの熱管理が重要になってきます。
そしてこのコースは追い抜きが難しい為、予選の順位が非常に重要視されることとなります。
ここまでのパフォーマンスを見るとフェラーリ・メルセデス・マクラーレンはコーナリングにおいて速さがある。
特にフェラーリは高速コーナー、マクラーレンは低速区間が。
メルセデスに至っては全ての区間において競争力があります。
レッドブルは前回のスパの時の様にはいかないと考える。
Bスペックシャシー投入という大手術に踏み込んできたアストンマーティンがどこまでタイムを上げてこれるかが最も注目されます。
ハンガロリンクはF1サーキットの中でもパワーユニットの影響度が低く、純粋な車体の空力とメカニカルグリップが試される場所でもあります。
ここで遅ければ、PUが新しくなっても解決しないとストロールがコメントした通り、ここでのパフォーマンスはアストンにとって非常に重要となります。
前述の通り、アストンはサイドポッドをかなり絞ったものを投入しているので、熱管理に苦労しなければ良いのですが・・・


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