約1ヶ月のオフを得て漸くF1が戻って来ました。
再開1戦目はアメリカマイアミ、ここではシーズン2回目のスプリントセッションとなっています。
この1ヶ月間の間に、各チームの開発の進展、PU既定のルール変更など、様々な動きがありました。
この変更が各チームの勢力図にどこまで変更をもたらすのか?
フェラーリはシャシーの更なる進化を狙う。
このオフの間に各チームマシンの開発に力を入れてきたはずだと思いますが、特にフェラーリとレッドブルの2チームは鈴鹿の時とは別物レベルのマシンを準備しているそう。
モンツァで行われたルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールによる事前テストの様子から、複数の情報がリークされました。代表のフレデリック・バスールも「1.5パッケージ分(約半分のパーツが新設計)」と表現するほどの勝負をかけたアップデートです。
- 「マカレナ」リアウィングの本格導入: 中国GPのフリー走行でテストされた、ドライバーがアクティブエアロを作動させた際にピボット(回転・傾斜)する特殊なリアウィング。特定のトラックで約0.3秒のタイム短縮が見込まれています。
- ハロに新しいフィン導入: コックピット周りの気流をクリーンにし、エンジンインテークやリアボディワークへ空気を効果的に誘導するための新しいフィンが追加。
- フロアとフロントウィングの完全刷新: 現在トップを走るメルセデスとのストレートスピードの差を埋めるため、空力効率とダウンフォースを大幅に改善する新設計のフロアとフロントウィングが投入されます。

このほかにもフェラーリのサスペンションアッパーウィッシュボーンの位置に変更がありました。(左・旧スペック、右・新スペック)。

この変更はこの見下ろした視点の写真だとよくわかります。
後ろのアッパーウィッシュボーン位置を前にずらしたことで、フロントウイングから跳ね上げられた気流をより抑えやすくする。
グランドエフェクトが使えない今、気流を物理的に気流を抑えつけるようにして圧力差を生み出すというダウンフォース生成の方法が主流です。。

リアのディフューザーとフロアは新設計のものを投入。
前回の推奨アップデート分析で、高速コーナーでのふらつきを指摘しましたが、まさにそのふらつきを改善するようなアップデートを用意してきました。
更にリアウイングにも変更が施されており。

リアウイングステーが太くなり、剛性強化とステーで起きる渦生成の調整が目的と考えられています。
単純にダウンフォース増であれば、デフューザーとの圧力差を生じさせることができるので、どの道これはリアの安定性の改善を狙ったアップデートということになります。

フェラーリはフロントの空気を整流したいという意識の高さがこのフロントウイングに表れており、フットプレートに付くフィンは、アウトウォッシュを発生させて、フロントタイヤの乱流が少しでもサスペンション方向に流れないように意図している。

中国GPで導入したハロウイングもこのマイアミで改めて付けられ、コックピット周辺の気流を整える。
なるべく綺麗な気流をリアウイングにまで届けたい、ましてやマカレナを入れるとなると、リウイング周辺の気流には十分に気を付ける必要があるはずです。
レッドブルに大規模変更、リアウイングをマカレナ化か?
レッドブル・レーシング (RB22)
シルバーストン・サーキットで行われたマックス・フェルスタッペンのフィルミングデー走行時のリーク画像から、開幕からの出遅れを取り戻すための「リカバリーパッケージ」の全貌が明らかになりつつあります。
- サイドポッド形状の急激な変更: これまでの均等なラインから一転し、サイドポッドの中間部分に鋭い「キンク(折れ曲がり)」を持つアグレッシブな新プロファイルがテストされています。
- フロントウィング・エンドプレートの追加: 開幕戦の仕様では省略されていた、下方への乱気流をコントロールするための空力パーツ(エンドプレート要素)が追加されています。
- ハロウイング導入か?: アクティブエアロの可動部分の支点位置を変更した、実験的なリアウィングが搭載されています。

推奨アプデ―ト分析では、空力バランスが全体的に良くなく、サイドポッドの見直しが必要な推奨アップデートだと指摘しましたが、こちらも予想通り、サイドポッド周辺のアップデートに取り組んでいるようです。
今年のレッドブルはどうもこの部分での苦戦が見受けられ、中々パフォーマンス向上とは言えないみたいです。
特にバーレーンテスト時のスペックですが、まるでメルセデスのW13を彷彿とさせるような形でした。
しかし、サイドポッドが無いゆえにサイドポッド周辺の気流コントロールができないため、サイドポッド後方の空気は乱れがちになっていく。
その結果メルセデスはポーパシングを引き起こしていたわけです。
サイドポッド周辺の気流は乱れ、その乱れた気流がフロアに入り込んでしまうリスクがある。

そしてオフの間話題を攫っていたレッドブル仕様のマカレナウイング。
しかしフェラーリよりも回転角度が小さいようです。
流石にシーズン前から試していたフェラーリと、途中から試し始めたレッドブルとでは、この機構に対する仕上がり、理解度に差が出てしまうことは当然なのだろうか?
レッドブルは出遅れた分をこの大規模アップデートで振り出しまで持っていきたいはず。
ここで失敗するようなことがあれば早くもチャンピオン争いから脱落することになります。
ルール変更によってマイアミの走り方はどう変わるか?
先ずはマイアミから施工されるルール変更についておさらいです。
予選時
- 一周当たりの最大エネルギー回生量 8MJ→7MJに。
- スーパークリッピング時の最大出力 250kW→350kW。
- エネルギー制限レース数の拡大 8戦→12戦。
一周当たりのエネルギー回生量制限は、ハーベストの制限、1周当たりのスーパークリッピングを2~4秒に短縮を目的としている。
これにより全開走行ができる時間を伸ばすことが期待できる(但し、全ての区間で全開走行ができるわけではない)。
スーパークリッピング時の最大出力を上げたことで、充電時間の短縮を狙う。
前述の全開走行時間を増やし、ドライバー自身のエネルギー管理の負荷軽減につなげられる。
エネルギー制限レース数の拡大により、コース特性に合わせた柔軟な対応を可能にする。
決勝時
- ブーストによって得られる最大出力 最大350kW(車速による制限)→+150kW(最大350kW)
- NGU-Kの出力 最大350kW→主要加速区間350kW、それ以外250kW。
決勝時に適用されるこの二つの制限は他車との過剰な速度差を抑制。
オーバーテイク促進も狙うことと、マシンパフォーマンスの維持を意図している。
特に今シーズンにおいて速度差が付きやすい場所は、スタート時。
フェラーリはラグが少ない小型ターボの利点を活かして、ロケットスタートを決める。
今回の変更によってスタートで出遅れても、マシンの電子制御がそれを感知し、MGU-Kによるアシストが入る。
これにより加速を促進し、極端な出遅れを防ぐというもの。
これなら追突や事故のリスクは低減できるが、フェラーリの強みだったスタート時のパフォーマンスという観点では、長所が無くなってしまうことを意味しています。

これを踏まえたうえでマイアミのコースを確認してみましょう。
マイアミでスーパークリッピングが起きるであろう場所は、セクター2とセクター3のバックストレートエンド。
しかしマイアミは、これまで戦った3戦のサーキットほどエネルギーマネジメントにおいては難しくないコースです。
その証拠として、このコースのエンジン全開率は56%程度であり、思ったほど全開率は高くありません。
前戦の鈴鹿と打って変わって典型的なストップ&ゴーサーキットです。
なので鈴鹿の時とマシンに求められるものは当然違ってきます。
低速コーナーではメカニカルグリップが重要であり、かつトラクションの掛かりも求められます。
鈴鹿ではリアのトラクション不足が露呈したチームも多いです。
マクラーレンはショートホイールベースを採用しているので、鈴鹿で見せた強さはこのコースにも表れると思います。
大規模アップデートを敢行したフェラーリとレッドブルは何処まで変わっているのか?
そのマシンの特性は唯一のフリー走行で明らかになるでしょう。
今回はそのレギュレーション変更の救済措置の為、30分延長の90分となっています。
日本GPの推奨アップデート分析はこちらから。


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