日本グランプリの戦力分析、各チームのポテンシャルと推奨アップデートを考える。(トップチーム編)

マシンアップデート分析

日本GP終了後は中東情勢の悪化を受けて、バーレーンとサウジアラビアが中止となり一ヶ月空き週となってしまいました。

なので日本GP終了後に、各所から資料を集めてマシンの分析を行ってきました。

今回は分析を通して、現状の各チームのパフォーマンスと、推奨アップデートを考えてみました。

自分が鈴鹿で取ってきたタイムも踏まえて分析をしてみたいと思います。

メルセデスがアップデート無しも圧倒的なパフォーマンス。

では先ずここで日本GPで入ったアップデートを確認します。

アップデートの無かったチームは

  • メルセデス
  • マクラーレン
  • RB
  • アウディ

の4チームです。

メルセデスはPUを始めとする元々のマシンポテンシャルが非常に高く、フリー走行から決勝まで一貫して高いパフォーマンスを見せていました。

高速コーナーでも速さがあり、低速コーナーではPUを活かした立ち上がりの速さで他車を寄せ付けませんでした。

セクター1ではシャシーで優位性を持つフェラーリに僅か劣ったものの僅差。

PUを活かしたセクター2以降ではそのフェラーリを離して独走。

マシンバランスが全体的に良い為レースペースも独走レベルです。

このチームの今後の推奨アップデートは

  • フロアエッジ+ディフューザー微調整(車高変動時の安定性向上)
  • アクティブエアロのモード切り替えレスポンス強化(マイアミの低速でさらに効く)→ 現状で十分強いが、「他チームの追従を許さない」ための微細最適化。PUエネルギー回生の微調整も有効。

この一ヶ月でマシンに進展を見せるチームは多いと思いますが、メルセデスは大きな変更をしようとはせずに微調整程度で様子を見ることが良いのではないでしょうか?

メルセデスの鈴鹿の走りはどこか余裕を感じ、まだPUの性能をフルに発揮しているような走りには見えませんでした。

追いついてきたら少しずつPUの出力を開放することで、他チームとの差を詰めさせない、といった形をとる。

メルセデスもシャシーアップデートをやらない訳がないので、今後数戦は差が詰まった時の対処をどうするか?というところに焦点を合わせていくべきです。

マクラーレンはノリスのマシントラブルがあったものの、ピアストリが予選と決勝で好走。

マクラーレンは走ることさえできれば速いチームです。

セクター1ではフェラーリとメルセデスに若干の遅れがあったものの、セクター2の特にデグナーが速かったです。

このコーナリングが速い理由として、マクラーレンのマシンはホイールベースが他のチームよりも短いことが判明。

しかしショートホイールベースはフロア面積の減少によるフロアダウンフォースの減少につながる。

考えられることとすれば、ハイレーキにしてより前傾姿勢を強める。

それによって、フロントフロアの負圧を強めて、フロントの回頭性をよくすることを狙っているのでは?

ピアストリはこの区間を5.57秒と全ドライバー中最速、ロングランもハードタイヤで6.10を記録し、メルセデスのミディアムよりも速かったです。

セクター2が速いのは、このショートホイールベースによる高いメカニカルグリップが発揮されることによるものではと考えています。

パフォーマンスをまとめると、S2・3で、メルセデスに肉薄も高速区間のS1で若干のロスが見られます。

レースペースは速いものの高速グリップがメルセデス・フェラーリに比べて甘く昨年ほどのパフォーマンスを感じられません。。
推奨アップデートは

  • フロントウイング第2・第3エレメント+フロア前縁再設計。
  • サイドポッドアウトレット+コークボトル形状最適化(全体気流クリーン化)。
  • リアサスペンション・ジオメトリ微調整(トラクション向上)。

これにより、高速コーナーでのグリップ改善を試みる。

マイアミは低中速コーナー中心なので、トラクション効果によってさらに強み発揮。

予選パフォーマンスでメルセデスと肉薄、フェラーリに勝てるパフォーマンスまで引き上げたいところ。

フェラーリやメルセデスといったトップチームに混じって走ることができるのではないか。

RBは中団の中でもトップを争うパフォーマンスを持っている。

現状ではフォードPUがグリッド中最も強力なPUとされている。

コーナリングではトップチームには劣るものの、ストレートスピードで取り返すことができている。

アウディには抜けた速さはないものの、フリー走行では淡々と走り込んで多くのデータを取ることに成功。

その結果がボルトレートの予選での速さに繋がったと考えています。

とはいえまだ新規参戦のPUの為発展途上のチームです。

RBとアウディのアップデートについては次回触れていきます。

フェラーリは安定感改善とストレートパフォーマンスに課題

日本GPではルクレールがセクター1でベスト、これによって高速域のパフォーマンスは明らかに速いことが分かります。

しかしセクター2〜3で0.3〜0.6秒のロス。

セクター2ではルクレールとハミルトン共に0.4~5秒程度のロスが見られました。

スプーンでルクレールがミスをしたことで遅れたことは明確ですが、ストレートスピードで全体的に後れを取っている。

これにより、高速域のパフォーマンスはあるものの、安定感の欠如が露呈。

メルセデスエンジン勢がセクター2の200R~スプーン出口、セクター3のバックストレートで優位。

フェラーリはエネルギー管理においてクリッピングが発生しやすく、トルク不足・ストレート加速で0.3秒以上失うパターンが顕著でした。

推奨アップデート

(写真はキャデラックに積まれているフェラーリPU、CADILLACの文字の下に小型ターボが確認できる。)

ADUO PUアップグレード(小型ターボ改良+ICE再設計)

  • 内容: 変動圧縮比技術の再調整+小型ターボ(またはターボ効率向上)+コネクティングロッド改良による出力アップ(目標+20〜25hp)。ハイブリッドシステムのエネルギー回生・デプロイメント効率も同時最適化。
  • 狙い: ストレートスピード向上(加速と最高速でメルセデスPU勢に肉薄)+エネルギー管理の安定化(フェラーリPUはエネルギー関係に弱点有り)。
  • 期待される効果: 予選で0.3〜0.5秒、レースペースで0.4秒以上向上。ロングストレート時のロスの解消狙う。

空力パッケージ(高速コーナーふらつき対策中心)

  • フロア改訂: 床下気流の乱れを抑制する形状変更(特に中高速方向転換時、ふらつきの直接的原因)。鈴鹿で露呈した「アンダーフロアの乱流→リアグリップロス=ふらつき」を解決。
  • マカレナウイングの改善、バージョンアップ: マカレナウイングの改善によるドラッグ低減+高速安定性向上、マカレナウイングの理解を深めてエアブレーキ効果の強化。
  • サイドポッド/フロントウイング微調整: 中高速時のパフォーマンスをさらに伸ばしつつ、全体バランスをリア寄りにシフト。
  • 狙い: マシンバランスをリア寄りにシフトし、高速コーナーのふらつき(不安定)を排除、予測可能な挙動に。
  • 期待される効果: リア安定性向上で0.2〜0.4秒改善。リア寄りにバランスが寄ることでトラクション向上にも期待が掛かる、マイアミのような低中速戦でも威力発揮。

AUDOは中東2連戦の中止によって導入が伸びる可能性があり、6月のスペインGP辺りでの投入が現実的ではないかとされています。

ただ、シャシーの出来栄えは全マシン中最強と評価されている。

この最強シャシーを如何に熟成させていくのかが今後の焦点でしょう。

レッドブルは難局を脱することができるか?

鈴鹿ではフェルスタッペンのQ2敗退というまさかの結果に見舞われたレッドブル。

決勝でもアルピーヌのガスリーを抜くことができず、8位フィニッシュというパッとしない成績に終わりました。

鈴鹿アップデート(サイドポッド・インレット再設計、アンダーカットプロファイル延長・直線化、フロア微調整、エンジンカバー、リアコーナー関連)は、主にフェルスタッペン車のみに投入されました(ハジャー車は旧スペック)。

アンダーカット後端のフィンはリアタイヤの整流が主な目的のアップデート。

アンダーカット後端は、サイドポッド下の気流がコークボトル領域を通り、リアタイヤ前方~ディフューザー入口に到達する直前のポイント。
ここにフィンを置くことで、アンダーカットから流れてきた高速気流を整流・方向制御し、リアタイヤが巻き起こすタイヤウェイクを「押し流す」又は「分離させる」効果が得られます。

高速コーナー主体の鈴鹿では、フロントの入りもさることながら、リアの安定感も問われます。

コーナーが速くても安定感が無い典型は前述のフェラーリ。

レッドブルはここに、リアコーナー改善によるブレーキの冷却要求の対応に加え前述のフィンと併せることで、リアタイヤ周りの気流の安定させる狙いは明らかだと思います。

フィンの有無によるシュミレーション

以下にフィンの有無による空力効果の違いを画像付きで解説します。

左図(フィンなし)

  • リアタイヤが巻き起こす乱流がそのままディフューザー入口に直撃
  • アンダーフロア気流が汚染 → リアダウンフォース低下・不安定
  • 鈴鹿のような高速コーナーで「予測しにくい挙動」の原因

右図(フィンあり)

  • フィンが発生する縦渦(vortex)が「カーテン」のように機能
  • タイヤウェイクを外側へ押しやり・分離
  • ディフューザー入口にクリーンエアを供給 → 局所ダウンフォース向上
  • 視覚的推定:ウェイク汚染領域を25-40%低減(流線偏向量から)

3Dにするとこのような形に。

効果は上述と同様です。

肝心の成果はどうだったのか?

上述のアップデートによりリア整流は部分的に改善。

しかし重量過多もあり、フロントアンダーが出てしまい全体的にマシンの回頭性が悪かったです。

結局の所、アップデートは思ったように機能していませんでした。

ではレッドブルが今後目指す方向性(アップデート)とは?

推奨アップデート

  • サイドポッド全面+アンダーカット再設計(高圧気流取り込み+リアウェイク管理強化)。
  • フロア全面改修+ディフューザー・フェンス追加(荷重増加+バランス修正)。
  • アクティブエアロ・ポッドフェアリング強化+PUソフトウェア更新。
  • 期待される効果:。マイアミまでに革新的なアップデートで0.8〜1.2秒向上を狙う。

高圧気流取り込みによってフロントのアンダー改善に期待、ここができないとトップ4復帰は厳しいように思える。

サイドポッド全面改修によりリアの安定化(予測可能な挙動を手に入れる)。

アクティブエアロを見直すことで、武器であるストレートスピードに更に磨きを掛けられれば。

フェルスタッペンのコメント通り「予測不能」な挙動を根本解決できなければ、タイトル争いから早期脱落の危機にあるのが今のレッドブルの現状です。

以上がトップ4の現状と推奨アップデートの分析でした。

得ている情報によると、フェラーリとレッドブルが鈴鹿の時とは別物のマシンで来ると言われているほど大規模な改造をしている模様。

この大改造が果たして、吉と出るか?凶と出るか?

以下のリンクを参照。

日本GP終了後分析、鈴鹿のタイム計測からみる各チームのパフォーマンス。 – アルボンノート

コメント

タイトルとURLをコピーしました