F1ではアゼルバイジャンGPで盛り上がっていましたが、日本の富士では毎年恒例のWECが開催されました。
昨年はシンガポールに現地観戦したため、こちらは断念しましたが、今年はWECの方に参戦しました。
富士スピードウェイ並びWECにも初参戦。
どんなレースになるのか事前調査からワクワクが止まりませんでした。
アゼルバイジャンFP2視聴後に出発。
私は木曜日にアゼルバイジャンGPのFP2を視聴後に出発。
長野県上田市から富士までは約200kmも離れている。
車で行くとなると4時間近くは見ないといけない。
初めての富士なので余裕を持って夜の10時過ぎに出発。

佐久までスムーズに40分、そこから佐久穂へ、野辺山を抜け山梨の北杜市を通過。
そこから長坂ICで高速に乗って約70km中央道を走り続ける。
長野を出るだけでも1時間30分程度はかかったので、走り続けて2時間の所で一旦休憩。

双葉インターに到着したのが夜中の12時、ここから富士までは約1時間30分。
少しの休憩で富士に向かってしまうと夜中の2時近辺に着いてしまうので、ここで2時間程度仮眠を取ることに。

横になりたいところですが、この車だと体を曲げないと寝れない。
仕方なく、体を曲げるようにして寝ました。
午前2時40分にインターを出発。
ここからノンストップでサーキットに向かいます。

中央道を須走ICで降り、山中湖を通っていく。
昼の明るい時間でしたらいい景色なのでしょうが、真っ暗だったため景色を楽しむことが出来ませんでした。
サーキット到着手前になると、曲がりくねった山道を登ったり下ったり。
山道を下り切ると、いよいよサーキットらしきものが見えてきました。

そして遂に富士スピードウェイの東ゲートに到着。
4時前に着いたのですが、ゲートの前には50台近く車が停まっていました。
一体何時に来たんだろうと思いながら車を停めました(笑)。

ゲートオープンが近くなると、外も明るくなってきました。
6時半になるとゲートオープン。
事前に販売されていた指定駐車場券を持っていなかったので、ゲートで3日間の駐車券を購入。
3000円と指定券を買うよりはかなり安上がり。
早めに来ることが出来たのでP10A(1コーナー側)に停めることが出来た。
さぁ、ここから富士での3日間が始まります。
どんな週末になるのかワクワクでした。
先ずはサーキットの雰囲気を味わう。
駐車場に車を停めたらまずはサーキットの雰囲気と空気感を味わう。

取り敢えずグランドスタンドに向けて歩く。

富士のホームストレートは非常に長いと聞いていましたが、想像以上の長さでした。

ハイパーカークラスはチームごとでエンジンを独自開発しているので、そのエンジンがどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか?

一旦スタンドから降りて、イベント広場へ。
朝が早くまだ屋台は開いていませんでした。
イベント広場を抜け、取り敢えずサーキットを逆走するように一周してみた。
雰囲気を味わいつつ、この日の計測区間の確認に向かいました。
FP1を3コーナー”コカ・コーラ”で。
FP2を10~14コーナー”ダンロップ~”で計測します。

タイムを測るだけでなく、どの視点でマシンを見るか?というところにも拘ろうと思い、入念にチェックをしました。
コースを一周してみた感想は、鈴鹿よりも全然歩きやすいです。
起伏は若干あるものの、鈴鹿の様な山という程では全くないです。

一旦グランドスタンドに戻り、ピットの確認。
ハイパーカーとGT3カーが混在していました。
アストンのガレージ前には、ヴァルキリーLMHが停まっていました。
あのニューウェイが手掛けたマシンのパフォーマンスが早く知りたくて仕方がありませんでした。

BMWユーザーの私としては、BMWのハイパーカーのポテンシャルがどのくらいのものなのか知りたくてウズウズです。
一通りマシンを簡単に確認したら、グランドスタンド裏のチケット引換所でパドックパスと交換。
F1のパドックパスは今年110万と異常な高さでしたが、こちらはたった24000円。

しかしこのパドックパスが如何に凄いものなのかを、私は知ることになるのです。
ハイパーカーのパフォーマンスと初対面。

9時なるとフォーミュラ―リージョナルのフリー走行が始まった。
タイムを聞くと、F1マシンがこのサーキットで出したコースレコードはマッサの1分17秒287。
場内放送では1分30秒後半くらいなのでF1よりも20秒近く遅い。
現行のハイパーカー規定のマシンだと、小林可夢偉が記録した1分27秒794。
こちらもF1マシンからは10秒ほど遅い。
リージョナルのフリー走行が終わると、30分後にいよいよハイパーカーと
GT3のフリー走行が始まる。
急ぎ足で3コーナーのコカ・コーラ・コーナーへ向かった。
富士は典型的なストップ&ゴーサーキットですが、中高速コーナーもあり総合力も求められます。

ハイパーカークラスのコーナリングは、レーシングカーだけあって速いですが、F1と比べるとやはりもっさりとした印象を受けます。

特に混走するGT3カーとの差は顕著に表れます。
ただタイムを計測するだけでなく、走行ラインにも注意して見ていきます。
FP1でコカ・コーラコーナーの区間を計測した結果が異常の通りです。
BMWやフェラーリと同じくダラーラ製シャシーを使うキャデラックは、そこまで速くありませんでした。
どのマシンもエイペックスでは縁石に掠めるようにし、内側の縁石に片輪を乗っけるようにしてクリア。
掲載した動画でも分かる通り、立ち上がりが早すぎたり、突っ込み過ぎるとフェラーリ499の様にコースアウトをしかける。
この区間が遅いマシンの特徴として、ターンインでクリッピングポイント(最も内側のライン)に付くことが出来ていない。

計測が一通り終わって残りの数十分でエンジン音を味わう。
BMWはDTMで使用されていた4.0LNAエンジンをツインターボ化、LMDh規定の燃焼効率、排ガス基準、トルク制御を満たす為に直噴化したP66/3型エンジン。
低中速域のトルクが大きく、立ち上がりの加速が強力、ドライバビリティの高いエンジンです。
現代のフォーミュラカーの様な更け上がる音です。

プジョーの使用するX6Hは2.6LV6とハイパーカーの中では最小のエンジン。
LMH規定の最大出力は680ps、このサイズのエンジンではブースト圧を上げないと対応できない。
その分マシンの空力にリソースを割いた。
エンジンが小さい分軽いので、マシン中央付近の慣性重量(ピッチ、ロール)が小さいのも強み。
エンジンサイズ通りの大人しめのサウンド。

アルピーヌはメカクローム製のMEC603、3.4Lのシングルターボを採用。
初期は大型サイズのターボによるターボラグ+耐久性に問題をECU制御と、排気ブレナムの改善により解決。
音は聞いただけで、あ…F2マシンだっとなりましたね。
NAエンジンを採用する、キャデラックとアストンマーティンのエンジン音は特に圧巻でした。
WECの良さはハイパーカーに参戦する各チームが、独自開発でそれぞれエンジン持ってくるということ(アルピーヌはメカクローム製)。
エンジン音を聞いているだけでも面白いですし、何より迫力がある。
私自身F1が好きですが、F1の全てが全て世界最高かと言われるとそうではないと思います。
F1にはF1の良さがあって、WECにはWECの良さがある。
お互い良い所は真似して、よりよいスポーツであって欲しいものです。
セッションを終えると、マシンの一部がパドックを通り、車検場に向かう。
ここでパドックパスが早速仕事をします。
パドックパスの本領早速発揮
車検場に向かうマシンは無作為に選ばれます、これは他のカテゴリーでも一緒。
兎に角マシンとドライバーの距離感がおかしいくらい近い。

車検が終わって引き上げ中のBMW M hybrid V8
ガレージまでマシンを押し掛けするために、エアジャッキを使う。
LMDH規定のこのマシンはダラーラ製シャシーを使用。
前述のP66/3エンジンは大型サイズですが、剛性が高いダラーラシャシーとの相性が抜群。
BMWの象徴キドニーグリルは空力流路として統合(フロースルー設計)。
フロントウイングは中央部がせり上がっているいるような形。
キドニーグリルからの気流だけでなく、スポイラー下面からも気流を取り入れることで、フロアだすんフォースをより強力にする。
ダラーラシャシーの強みはメカニカルグリップが強力。
BMWのマシンは冒険しすぎないデザインでドライバビリティを確保。
前述のキドニーグリルは冷却性能の確保もでき、エンジンの耐久性を高める。

ディフューザーは船頭型。
BMWのディフューザーはオーソドックスで扱い易さを重視した設計。
LMDh規定はLMHと違い、モーターを後輪にしか配置できず、駆動方式はMRが義務化されている。
リアが強すぎるとフロントが入らず重量配分のバランスも悪くなる。

BMW同様ダラーラ製シャシーを使うキャデラックV Series.R
メカニカルグリップの強いシャシーは低速区間で速く、5.5LV8NAの大型エンジン。
ノンターボで立ち上がりが鋭く、大排気量エンジンはトップスピードも伸びが良い。
2年連続富士でポールを獲っている、フリー走行を見る限りでは、やはり低速区間が速い。
課題はレースペースです。
BMW同様、フロントスポイラーは中央がめくれ上がっています。

ディフューザー構造もBMWと似通っている、同じダラーラ製なので当然でしょうが。

セッションを終えたドライバーが普通にうろうろしています。
ジョビナッツィを見かけました。

コンテナに入ったハイパーカー用ミシュラン製のドライタイヤ。
本来では絶対立ち入れない場所にも入れます。

アストンマーティンヴァルキリーLMHのフロントノーズが表に出っ放しです。
ノーズコーンの分厚さが、写真を通して良く分かると思います。

フロントライト上の空洞はディープ·スピン·ウインドウというWECならではの機構。
タイヤハウスに溜まる気流を逃がしてやらないと高圧になる。
特にドラッグ削減も意識しないといけないWECハイパーカーでは、それが致命的になる。
タイヤハウス上に空洞を作ることで、タイヤハウス内の空気の停滞を防ぐ。
そうすることで、スピン等急な姿勢変化による重大事故を防ぐ。
ただ、マシン後方の気流は一気に乱れるので対策は必要となります。

歩いているとセバスチャン・ブエミを見かけました。
元トロ・ロッソF1に所属、こんな感じで元F1ドライバーという肩書を持ったドライバーが何十人もいるわけです。
サインを貰うためにファンが群がっていました。
数人にサインをしていましたが、FP2のセッションを控えている為か急ぎ足でクラブハウスの中に入って行ってしまいました。
見ているだけなのにこんなに面白いとは・・・
そんな裏側を見ている宇うちにあっという間にFP2の時間が迫ってきました。
FP2はセクター3の低速区間を計測。
こちらは少し距離がある為、足早に測定地点に向かうことにしました。
FP2で低速区間を測る。
急ぎ足で朝、確認した計測区間にセッション開始前に何とか間に合いました。
FP2ではメカニカルグリップの強さを見極めていきます。
下調べ通りダラーラ製シャシーのメカニカルグリップが強いことが分かりました。
それが区間タイムにもしっかり現れていている。
区間最速はアルピーヌ(15.75)でこのような低速区間でも速い。
オレカ製シャシーは、重量物を中心に置くマスの集中化により小回りが効く。


ダラーラ製シャシーを使用するBMWとキャデラックは最速タイムには及ばなかったものの、15.80~16.10台の区間タイムをコンスタントにたたき出していました。
一つ気なる点としては、トヨタはコーナーが全体的に遅いです。
BoPの影響によるものなのでしょうか?
ある程度データが集まったところで少し高台に移動。
最終コーナーの走行ラインの観察に移りました。

私の勝手な予想はレイト・エイペックスを使ってクリアしていく。
何故なら、最終コーナーを抜けると超ロングストレート区間。
ブレーキングを奥にし、ターンインを遅らせることで直線的なラインを取る。
こうすることで立ち上がり時の全開区間を少しでも伸ばし、ストレートスピードを確保できる。

但し見たところ外側の路面が多少汚い為、あまりにも外側のラインを取るとデブリを踏み、グリップに悪影響が出る。
クラスによっても走行ラインに違いが生じていた点も非常に興味深い点です。

FP2の最後に改めてストレート区間へ。
富士ではハイパーカーの最高時速は約320km/h。
近くで見るとやはりその迫力はすさまじいものです。
前述のキャデラックのエンジンは、F1エンジンにも使われている、180°対向フラットプレーンを採用。
排気脈動を均等化し、高回転域での吸気効率を極限まで高めています。
キャデラックのV85.5Lのエンジン音は地鳴りの様に重たいです。
パドック裏に行けたことで中身の濃い初日
FP2が終わり改めて車検場に移動。

車検場から出てきたのは、アルピーヌA424とジェネシスGMR-001です。

この2チームのハイパーカーに共通している点はオレカ製シャシーを使用していること。
アルピーヌのフロントはV字型にそぎ落とされています。
そしてものコック底面(キール部)を小さく設計されています。
これによってフロントから入ってきた気流を障害なく流すことが出来ます。
同じオレカ製のシャシーですが、アルピーヌの方がフロントは尖った、F1のフロントウイングの様なデザイン。
対してジェネシスは中央部の突き出しはあるものの、アルピーヌに比べれば大人しいデザイン。
アルピーヌ並びにオレカ製シャシーの詳細は次回掲載いたします。

あるチームのテントに行くと、使用済みのハイパーカーの使用済みタイヤが置かれている。
WECハイパーカーでは今年からタイヤウォーマーが廃止。
その為蜘蛛の巣状のトレッドパターンが入ったボロノイ構造のミシュランタイヤを採用。
利点はウォークアップの大幅な短縮。
冷えているタイヤはグリップが低く、そのまま攻めると重大事故を引き起こすリスクがある。
この構造は僅かながら溝があり、ウォームアップ等で摩耗させることでスリック化し、タイヤ本来の性能を引き出す。
溝がある初期段階では、ハーフウェットコンディションでの排水効果も期待できる。
写真はタイヤ使用前後の差。
使い込むことで溝が無くなってスリック化していることが分かる。

フェラーリのフロントノーズとリアウイングが置かれています。
フラップが他のチームのハイパーカーと違い2枚あることで、車体上部の気流の失速を促して、ディフューザー効果を高める。
翼端の空洞はアウトウォッシュ促進を狙ったもので、F1の技術はここでも役に立っている。
因みに場所はパドック裏のフェラーリチームの仮設倉庫です。
こんなところに入って(入口手前ですが)撮っても良いなんて…
F1ではまずあり得ないのでただただびっくりです。

中には作業中のメカニックがいましたが、こちらをちらっと見ただけで何も言わない。
最早やりたい放題です。

距離感がおかしいのはマシンだけでなくドライバーとの距離感もです。
セッションを終えたロバート・クビサがガレージから出てきました。
セッション終了直後で忙しかったのか、数人にサインしてクラブハウスの中に入って行ってしまいました。
前述のブエミと言い、あり得ない距離感にただただビックリでした。

その後パドック裏をうろつき、富士での初日が終了。
まさかパドックパスが、普段とは全く違う別世界に連れて行ってくれるとんでもないものだとは思いもしませんでした。
でもそのパドックパスのお陰でマシンやパーツをじっくり観察出来たりと、非常に中身の濃い時間を過ごすことが出来ました。
WECも世界選手権の位置付けですが、なんでこんなF1と違うのか?
そして何故こんなにお客さんが少ないのか?と非常に疑問に感じるほどでした。
WECは想像の100倍面白いカテゴリーでした。
明日はどんなものが見れるのか?と期待しながらホテルへの帰路につきました。



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