静岡遠征、初の富士、初のWECに現地参戦してきました(2日目)

現地観戦

初めてのWECはパドックパスのお陰で衝撃的な体験の連続でした。

F1でしたらあり得ないところにパーツが置かれていたり、ドライバーが至るところでウロウロしていたり、兎に角距離感が色々とおかしかったです。

二日目はどのような体験、発見が出来るのか楽しみでした。

昨日以上に並んだ駐車場

2日目は土曜日ということで、金曜以上の人の入りを予想したため、ホテルを4時前に出ました。

宿泊先の御殿場から約20分以上かけて、富士の東の入場ゲートへ。

しかし昨日とは違い入場待ち待機の為の駐車場に誘導されました。

自分の前にはかなり多くの車が既に待機していました。

一体この人たちは何時からこの待機用駐車場に並んでいたのか?

ただ、金曜の様な6時半ゲートオープンよりはるかに早く入場ゲートを開けてくれました。

5時半くらいには駐車場に入れたのではないでしょうか?

既にパドックパスを持っているなら、P7の駐車場からパドックまでの距離が近いからという理由で知り合いのファンからアドバイスを貰いました。

なので駐車場は昨日のP10Aではなく、P7の駐車場に止めることにしました、

一般のパドック入口オープンが7時と時間があったので一旦休憩することにしました。

朝から車検場で大発見。

2日目の朝はパドックからスタート。

入場数十分前にパドックの入口で待機します。

チームスタッフもぞろぞろと出勤してきています。

ゲートオープンをしパドック裏をうろうろ。

各チームガレージ入口にはモニターが付いており、ガレージ内の様子を知ることが出来ます。

どうやらこれは今年から導入されたようです、中の様子が気になる方には嬉しいシステムです。

この写真はガレージに入って撮ったものではないですが、プジョーのガレージが隙だらけでした。

ガレージ入口の仕切りが全然機能していません。

ですがこういった写真が撮れるのは、マシンを知りたい自分にとっては有難いことです。

前回も書いた通り、F1ではまずありえないです。

クラブハウスにはドライバーが着用するレーシングスーツが干されていました。

この日は雨予報だったので、パドックパスの特権を使い、ピットビル3階でタイム計測をすることにしました。

屋根があるので、雨風を凌げます。

この日のFP3はアドバンコーナーを計測する予定。

雨が降ることでハイパーカーはどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか?

ピットビルの下見を済ませて再びパドック裏を歩きます。

アルピーヌのガレージからは、A424のフロントカウルとリアウイングが見えます。

本当にこんな杜撰な管理で良いのだろうか?

ですが自分にとっては非常にありがたいものです。

車検場の方に向かうと、これから車検を受けるであろう、アストンマーティンヴァルキリーLMHに運よく遭遇。

ヴァルキリーはハイパーカークラスの中では唯一、ハイパーカー(市販車)をベースにしハイパーカークラスの規定に合わせたマシンです。

一番観察したかった車なのでこれはグッドタイミングでした。

なんと言ってもエンジン音が素晴らしいです。

11,000回転まで回るコスワースRAは6.5LV12NAという巨大なエンジン。

シャシーはニューウェイが設計で特徴はディフューザー。

LMHの技術規則ではディフューザーは自由設計。

ヴァルキリーLMHのディフューザーはキックポイントの開始がかなり前(車体中間辺り)にある。

ピークダウンフォースは高い分、ダウンフォースが前寄りになっているため、リアは抜けやすくピーキー。

実際FP1の計測中もコーナー出口でリアの挙動に若干の乱れが確認できました。

アストンマーティンヴァルキリー(市販車も含む)はブレーキキャリパーの位置が6時方向にある。

(従来の車両は3時か9時方向)

こうすることで低重心化が図れる。

キャリパーは四輪分の重さを合わせると数十kgにもなる重量物。

下向き配置にすることでコーナリング時のロール抑制に貢献する。

利点はもう2つあり、空力流路の確保にも一役買う。

前述通りこのマシンは巨大なディフューザートンネルによって強力なグランドエフェクトを引き起こす。

キャリパーの下側配置でフロントフェンダーやサスペンション周辺のスペースが空き、ブレーキ冷却用ダクト、車体側面へ空気を抜くトンネルの流路設計が非常にスムーズになる。

3つ目は、アンチダイブのコントロール。

ブレーキング時にキャリパーがローターを挟み込む際に生じる反力ベクトルが真下方向に働く為、サスペンションジオメトリと組合せて、減速時のノーズダイブをコントロール。

当然欠点もあり、

  • 整備性の悪さ
  • 路面に近いため飛び石やデブリによるダメージがダイレクトに来る。
  • 冷却熱の排出のハードルが高い

事が上げられる。

空力を極限まで考え抜いた、如何にもニューウェイらしい思想が見て取れます。

そんなこんなしているとあっという間にサーキットサファリの時間になりました。

バスの横をハイパーカーが通り抜けていくという異様な光景です。

サーキットサファリが終わるといよいよ予選前最後のフリー走行FP3に移っていきます。

しかしサーキットサファリの時点で雨が強くなってきており、水飛沫がかなり上がっています。

なので、今回はアドバンコーナーの計測だけでなく、ストレート区間での水飛沫の観察からディフューザーがどう機能するのかも観察しました。

アドバンコーナーの計測区間は、ミシュランの看板~コーナー出口の縁石の切れ目まで。

このコーナーの面白い点は、走行ラインがマシンによって違う。

ターンインでインに付くか付かないか。

脱出時は縁石に沿うようにコーナー幅を目一杯使うのか、若干インに寄ってクリアするのか、がマシンによって分かれています。

計測の結果、アストンマーティンヴァルキリーLMHが群を抜いて速かった。

唯一の7.4秒台(7.44)。

次点でキャデラック(7.50)、その次にジェネシス(7.53)。

速かったマシンの共通点として、100Rからの立ち上がりでスピードが乗っていた。

その点で行くとBMWは100Rの立ち上がりが恐る恐る、と言った様な形でした。

これはマシンパフォーマンスによるものなのか?

そのドライバーにとってのレコードラインなのか?

意図を完全に汲み取ることはできませんが、こういった所から考察するのもまた面白いです。

生憎の天気ではありますが、ディフューザーの働きを知るには濡れた路面からの飛沫がうってつけ。

大型ディフューザーを持つアストンの飛沫は、綺麗で高さがある。

速度域が高くなるとサスペンションが縮む為、車高が限界まで下がる。

ディフューザーと路面が触れると火花が生じる。

観察した結果火花の量を少ない順から上に並べるとこうなる。

全く火花が出なかった

トヨタGR010

小量

ジェネシスGMR-001

キャデラックVSeries.R

アルピーヌA424

中間

BMW M hybrid V8

フェラーリ499P

多い

プジョー9X8

大量

アストンマーティンヴァルキリーLMH

確かにこの結果を通して、トヨタのマシンはコーナーリング計測のタイムが全体的に遅かった。

他のファンの方に聞いてみると、トヨタが全然インに貼り付けていなかった、という証言もあったので計測結果は概ね正しいということになる。

アルピーヌは火花の量が少ないですが、フロントが強いため、低速でもターンインが強力です。

アストンのディフューザーは低速からでも効き始めるので、速度域が低いコーナーでもパフォーマンスを発揮する。

予選は中止もピットウォークでマシンを観察、ドライバーのサインも

FP3が終了すると、ピットウォークの時間。

しかしセッション終了から、ピットウォークは準備の時間がある為、多少インターバルがありました。

FP3そっちのけでピットウォークの待機列に並んでいた方も幾らかいたようで、少々列ができていました。

雨が降る中で傘を差しながらピットウォーク入場待機列に並ぶ。

それでもF1のピットウォークに比べれば全然人が少ない。

BMW所属のマグヌッセンをターゲットに、マシンの観察ができればと思いながら入場。

マグヌッセンのサインを貰うため、オープンして真っ先にBMW WRTのピットに向かう。

マグヌッセンは2年前までハースF1で走っていたドライバー。

元F1ドライバーとはいえ、やはり人気はあるだろうとある程度覚悟はしていました。

開始数分で無事にマグヌッセンからサインを貰うことが出来ました。

終始ニコニコしながら対応してくれたので、交換の持てるドライバーでした。

BMWの後、少し欲張ってジョビナッツィのサインも欲しくなったので、フェラーリのピットへ。

多少並びましたが、それでも簡単にサインが手に入ってしまいました。

目的を果たしたので、サインそっちのけでマシンの観察。

BMWのフロントカウルが外されサスペンションや冷却機構が剥き出しの状態です。

フェラーリ499Pもフロントカウルが外されている状態。

フェラーリのシャシーは完全自社開発ではなく、ダラーラとの共同開発。

その為、先ほどのBMWと違った冷却機構を持っていることが分かります。

アストンマーティンヴァルキリーLMHの正面

フロントウイングはF1マシンに近いデザイン。

WECハイパーカーの空力規定は、空力効率比4:1の比率を守ってマシンを作らなければならない。

その規定を守るためか、フラップ曲率は小さい。

フラップとフロントカウルの隙間を大きく確保してフロア下に空気を流す。

ディフューザーに向けて流す空気流量を確保する。

そしてWECハイパーカーが持つ特徴的な機構の一つとして、グランドキャニオンが挙げられる。

マシン内部や下面を流れる空気を排出し、空力効率を高める為に設けられた巨大な空気の通り道のこと。

この写真では、フロントタイヤとコックピットの間に設けられた抉れの事を言います。

この狭く深い溝に気流をスムーズに流し、マシン上部やサイドへの気流を円滑に抜く。

フロントダウンフォースが強まり、ターンインを鋭くする狙いがある。

アルピーヌが使用するオレカ製シャシー。

オレカ製シャシーは空力パッケージングに定評がある。

いわゆる、空力効率の最大化に拘りがあるそう。

アルピーヌのコーナーが速いのは、このオレカ製シャシーによるもの。

フロントから入る空気を阻害しないよう、フロントカウルをV字に削ぎ、底面(キール部)を可能な限り高く小さく設けている。

ダブルウィッシュボーンサスペンションのAアームもモノコック側に限界まで引き込んで、気流の流れを兎に角邪魔しない作り。

キャデラックVSeries.R

BMW同様ダラーラ製シャシーを使用している為、見た目が幾らか似ている。

ダラーラ製シャシーは剛性が高くて堅い。

大排気量エンジンのストレスマウント(エンジンも剛性部品として扱う事)化を得意としている。

フロントのモノコック断面形状が、先程のオレカ製よりも角張っている。

これによって衝突時の安全性確保だけでなく、サスペンション剛性も確保。

剛性の高いサスペンションは、姿勢変化(アンチスクワット、アンチダイブ)が強力。

その為、メカニカルグリップを要求される区間が速い。

姿勢変化が少ないということはタイヤに掛かる負荷も均等化され、タイヤライフの長寿命化にも貢献。

F1のピットウォークに慣れてしまっている自分にとっては、非常に楽で快適でした。

マシンも見放題、撮り放題。

チーム毎に特別なポストカードも用意されていた。

この日もパドックパスの力を十分に感じることが出来ました。

見出しの通り、ピットウォーク後に予定されていた予選は取り敢えず敢行。

マシンがコースインしたものの、フェラーリ296GT3がクラッシュ。

これによりセッション中断となりましたが、結局霧が濃くなり中止に。

これにより昨日のFP2の順位の結果がそのまま予選結果に。

ハイパーカーはアルピーヌがポールを獲得。

アルピーヌはコーナーのどの区間でも速さを見せていました。

決勝のレースペースが気になるところですが、純粋な速さを持っていることは間違いありません。

予定よりも大分早くセッションが終わってしまった。

なので富士スピードウェイホテルに併設されている、トヨタミュージアムへ。

ここには歴史的な一台など世界中の名車が集まっている。

最新技術の展示もあり、よくよく勉強させて頂きました。

予選中止というアクシデントはあったものの、ピットウォークでお釣りがくるくらいに良い思いが沢山出来てこの日も大満足な一日となりました。

サポートレースもこの日で前セッションが終わってしまい、残すは日曜のピットウォークと、決勝の6時間レースのみ。

決勝レースはどのような感じになるのか楽しみにしつつ、若干早めに帰路に着くことにしました。

静岡遠征、初の富士、初のWECに現地参戦してきました(初日) – アルボンノート

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