約一ヶ月の夏休みを挟み、F1の2026年シーズンは後半戦に突入。
後半戦初戦はオランダGP。
ストップ&ゴーサーキットのレイアウトにバンクが付いたコーナーが存在するオールドコース。
追い抜きが難しいとされているコースですが、今年はバッテリーマネジメントによる追い抜きが増えるかもしれない。
この1ヶ月で各チームはどのような変化をもたらしたのか?
ホンダがADUOによるエンジンアップデート
全開のハンガリーではシャシーの大手術によってある程度の成果を見せることが出来たアストン。
しかし中団上位との差はまだあり、まだ入賞圏内での争いができる競争力とは言えない。
そこでアストンは後半戦に向けたPUアップデート(ADUO)を敢行。
テストが行われた段階でハッキリとしていることは、少なくともPUアップデートによる効果は少なくとも0.6秒以上のタイム向上が見込まれている。
これによって漸く中団の中でも勝負ができると言える状況まで持ち込めたのではないでしょうか?
アストンの後半戦の課題は、中団争いを制して入賞圏内でのフィニッシュが常時出来る状態に持っていくことだと考えています。
各チームのアップデート状況。
後半戦最初のアップデート確認です。
フェラーリはフロアとインウォッシュボードに変化が見られる。

先ず写真を見て分かることとしてインウォッシュボードのロッドの取付位置の変更。
これまではこのロッドが高い位置に取り付いていたため、前から来る気流の流れをロッドが邪魔をし、サイドポッドもしくはフロアの手前で気流の乱れが起きていた。
今回のロッドの取付位置変更はそれを改善したものとみられる。
この部分の気流が乱れればリアの気流も乱れる。
特に今回はハンガリーの時と比べ高速コーナーが多く、ターン13の立ち上がりでリアが暴れると大きなタイムロスに繋がる。

インウォッシュボード前縁にも微妙な変化がみられる。

アルピーヌのインウォッシュボードが複雑化して面白いことになっている。
アルピーヌのボードは立体化したことでインウォッシュとアウトウォッシュの役割をより明確化させた。
インウォッシュ(内側への引き込み)
フェンスの内側は、ノーズ下を通ってきた綺麗でエネルギーの高い空気を、フロアトンネルの中央へと強く引き込む。これにより、ディフューザーへと抜ける空気の流速を上げ、効率よくダウンフォースを発生させる。
アウトウォッシュ(外側への排出)
最も外側のフェンス(アウターボード)は、フロントタイヤの乱流(タイヤウェイク)が、フロアの下に侵入するのを防ぐ役割を果たす。アルピーヌはここの形状をより立体的にし、乱流を車体の外側へと強引に弾き出している。
ブレーキング時やコーナリング時には車体が前傾(ピッチング)したりロールしたりして、フロアと路面の隙間が常に変化する。フェンスを複雑な多段形状にすることで、特定の車高だけでなく、あらゆる姿勢で気流が剥離せずにフロア下へ流れ込むようコントロールし、マシンの挙動をマイルドにする。

前から来る気流の流れが変われば当然後方の気流の流れも変わる。
アルピーヌはサイドポッドインテークに変化を見せている。
横に広く縦に狭く、インウォッシュを通して流れてきた気流を確実にキャッチして後方に気流を流す。

シャークフィンの形状もそれに伴ってギザギザに変化。
シャークフィンは所謂ヨットでいう帆の様な働きをする。
F1マシンはコーナーリングの際、車体は進行方向に対してわずかに斜めを向いた状態(ヨー角がついた状態)で進む。
フラットなフロアだと帆のように働くフィンが、リアを安定させる効果(サイドフォース)を生み出す。しかし同時に、フィンの風下側に巨大な空気の乱れ(巨大な影)を作ってしまう。
縁をギザギザにすることで、その一つ一つの角から意図的に小さな渦(マイクロボルテックス)を発生させる。この小さな渦が気流にエネルギーを与え、空気がフィンの表面から剥がれる(剥離する)のを防ぎ、よりスムーズに空気を後方へ流すことができる。
これだけでなく小さなボルテックスの発生によってリアウイングに安定した空力供給、前面投影面積減少による空気抵抗減も期待できる。

更にフェラーリはハンガリーで採用した猫耳型リアウイングを引き続き採用。
しかし追加ウイングレットはここでは取り除いています。

レッドブルもハンガリーの時同様のウイングを持ち込んでいます。
追い抜き困難だが、バッテリーマネジメントで変わる?

ザントフォールトは、鈴鹿サーキットの設計を手掛けたジョン・フーゲンホルツがこのサーキットを設計し、3コーナーのバンクが付いたコーナー名は彼から取られました。
冒頭でも説明した通り、ザントフォールトは典型的なストップ&ゴーサーキットであり、ストレートが短いです。
その上オールドサーキット特有のコース幅の狭さが、オーバーテイクを困難なものにしていました。
それは昨年も例外に漏れず、強引なライン取りをしないと抜けないほどです。
唯一オーバーテイクポイントと目しているのは最終コーナー、バンクが付いたルイエンダイクからホームストレートで並び、1コーナー手前で仕掛けるというパターン。
今年のマシンはバッテリーマネジメントが重要。
しかしこのコースではバッテリーパワーの使いどころがない為、ルイエンダイク~ホームストレートにかけてエネルギーのデプロイメントが行われる。
結果各チームが同じことを考えているので、オーバーテイク増進にはならないのではないかと考えます。
ターン10~11の間の短いストレートで抜く可能性も考えられますが、結局の所先程のルイエンダイクからホームストレートにかけてバッテリーをデプロイするため、抜き返される可能性は非常に高いです。
やはりこのコースは昨年同様トラックポジションが重視されるコースではないでしょうか?
全体的に高速コーナーが右にまとまっているため、左側のタイヤの負荷がかなり高くなります。
そして今週はいきなりスプリントフォーマットによる週末です。
抜きづらいコースでスプリントをするというのも如何なものか・・・


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