2月13日、ウィリアムズよりも先にマクラーレンが予告なしにシェイクダウンを行いました。
しかしここからは予定通りウィリアムズがシェイクダウンを行いました。
新型FW47とは一体どんなマシンなのか?
マクラーレン同様変更点について解説していこうと思います。
フロントウイングの変化

先ずはフロントウイングの変更点について解説していきます。


フロントウイングは昨年後半戦型に近い形ですが、ノーズ付近は最上段フラップの前後幅は大きく、翼端にかけてフラップを削るといったトレンドに沿った形を採用しています。
翼端側のフラップを削ることによって、気流を外に追いやる効果が期待できます。

2024年のバーレーンテストで持ち込まれていた、極太のカナードは採用されていません。
昨年の後半型と似た形なので、変化が無いように見えますが、ノーズの太さに若干の変化があります。
新型の方が僅かに細くなったか?
昨年型は横幅のあるノーズを採用し、ノーズ下の空気の量を確保するために採られた仕様ですが、今年はフロントウイング全体のバランスを意識したものに変更をしたと考えます。
サイドポッド周辺
ウィリアムズFW47を見た時、最も変化が大きいのはやはりサイドポッド周辺でしょう。

サイドポッドインテークは昨年後半型に沿ったアッパーバイト方式を採用。
インテーク下部中央が抉れています。
ここにフロントから流れてきた気流をアンダーカットに向けて狙って流します。
マクラーレンに見られた横が突き出した”ポッドウイングは”採用されていません。

エッジウイング後ろにある窪みの面積が多少広くなったように感じます。
フロアエッジのZカットの切れ込みの枚数にも変化が見られます。
フロアエッジの長さに関しては変化は見られませんが、今年のマシンに関しては切れ込みの数が一つ増えています。
切れ込みの数が増え一つ一つの吐出口の面積は若干狭くなる。
抜ける気流の流速は速くなり、より強力なアウトウォッシュを生成できるはずです。
そのアウトウォッシュを意識してなのか?サイドポッド後端が高くなりました。
ウィリアムズと言えばサイドポッド後端のスライダー形状が特徴ですが、この部分の気流の働きを邪魔しないためにアウトウォッシュ強化と、後端の高を高くするという結論に繋がったのでしょう。
後端はそれぞれの気流が独立した流れになり、互いの気流を干渉しない造りになっているので、リアの
気流が乱れるというリスクも少なくなってくるはずです。
弱点だったリアの不安定さに目を向けた造りと考えられます。
エンジンカウルは昨年開幕当初は直線的な形だったものが、後半にかけて、後ろが緩やかに下がる形状。
これに関しては、昨年後半戦仕様をそのまま引き継いだようです。
しかし、昨年に比べて横に若干膨らんだように見えます。
シャークフィンが後半戦仕様に比べると面積が広がっているように見えます。
遂に辞めたリアのプルロッド

ウィリアムズのサスペンションレイアウトは、フロントプッシュロッド、リアプルロッドというレイアウトを続けていました。
これはギアボックスがメルセデス製であるためであり、メルセデスがリアサスペンションにプルロッドを採用していたので変更が加えられないという事情がありました。
しかし昨年メルセデスはリアサスペンションをプッシュロッドに変更、ウィリアムズはそのままリアサスペンションにプルロッドを継続して使用していました。

リアサスペンションをプルロッドにしてしまうと、フロアディフューザーの面積を圧迫してしてしまい、空気の抜けが悪くなるといった欠点があります。
ディフューザーを見てみると非常にシンプルな造り。
ギアボックスが邪魔しているせいで、キックポイントはかなり後ろ側に来てしまっている。
フロアトンネルの面積が小さい、気流の流れる面積が小さいほど車体上下での圧力は生じやすくなりますが、フロアと路面の距離(隙間)も小さいことを意味する。

すると高速域でサスペンションが沈み込んだ時にストールを起こす、ディフューザーで気流が抜けてくれない→ポーパシングという悪循環を引き起こす。
しかもキックポイントがマシンのかなり後ろということも悪さし、ディフューザーから気流を抜く前にストールを引き起こす原因の一つにもなっている。
その為、ウィリアムズは、昨年のテストの段階でリアの不安定さが露呈しており、それ故か昨シーズンはドライバーによるクラッシュが多発し、予算をかなり逼迫させていました。

しかしそんなウィリアムズが遂にリアのプルロッドを辞めてきました。
これはチームにとって大きな一歩になりそうだと思います。

リアの詳細の映像や画像は確認できませんでしたが、少なくとも昨年よりリアが暴れるという可能性は低いとみて間違いはなさそうだと思います。
ビームウイングの使い方については昨年同様に、一方をダウンフォース生成に使い、もう一方をリアウイングの剛性確保という使い方になりそうです。

ウィリアムズFW47を上から見ると、フロントからリアに向けてモノコックが絞られた造りになっている、”コークボトルライン”になっている。
私自身コークボトルラインは圧力勾配の応用と考えています。
またの機会に触れたいと思います。
今回はウィリアムズのマシンについて触れていきました。
昨年の正常進化と考えられますが、リアサスペンションのプルロッド化によってマシンパフォーマンスにどのように影響が出るかが注目されます。
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