日本グランプリの戦力分析、各チームのポテンシャルと推奨アップデートを考える。(中団編)

マシンアップデート分析

1ヶ月ぶりのF1再開が刻一刻と近づいてきています。

今回は前回に引き続き、鈴鹿でのパフォーマンスとタイム計測を通して、各チームの現状分析と推奨アップデートを考えています。

前回はトップ4の分析、今回は中団勢の分析に入っていきたいと思います。

中団勢の目標は兎に角トップに近づくこと。

そのためには各チームどのようなアプローチが必要なのだろうか?

中団上位~中位の分析

では中団上位~中位の分析です。

先ずは予選決勝共にレッドブルを抑えたアルピーヌ。

フェラーリやメルセデスといったトップチームのパフォーマンスには及んでいないものの、軽量シャシーのお陰で、全体的にバランスの取れたパフォーマンスを実現しています。

鈴鹿でアルピーヌが入れていたアップデート、その主な目的は前後連携した気流最適化。

アクティブエアロ(Xモード/Zモード)の切り替え効率を高める狙いです。

1.フロントコーナー・ディフレクター再設計

形状全体を見直し、局所気流の乱れを抑制、車高変動やヨー角変化時でも一貫した気流供給を実現。

鈴鹿においては、連続する高速コーナー(S字、130Rなど)でフロントの安定性向上を意図した。

2.リアウイング本体+エンドプレート変更。

メインフラップ/2段目フラップのプロファイル(翼型)を微調整。

エンドプレート下部をより彫刻的(切り欠き状)に変更し、気流整流を強化。

これによりアクティブエアロの2モード(Xモード・Zモード)での効率向上。局所ダウンフォース増加+ドラッグ低減の両立(空力効率向上)。

3.リアウイングアクチュエーターポッドに新フェアリング/ウィングレット

アクチュエーターポッド(可動翼駆動部)に新形状のフェアリング+小型ウィングレットを追加。 可動翼周りの気流をクリーンにし、閉鎖時動作のレスポンス向上+後方乱流低減。革新的な「逆動作」コンセプト(他チームと逆の開閉方式)をさらに洗練させた。

その結果ガスリーが予選決勝共に7位獲得。

リアウイング+フロントディフレクター+アクチュエーターポッドアップデートが的中。高速安定性向上で中団トップ。

特にS字を始めとする高速区間での安定性向上が顕著に現れました。


推奨アップデート

  • ディフューザー+リアコーナー全面最適化。
  • フロントディフレクター継続改良。
  • PUエネルギー管理微調整(ストレート加速強化)。
  • 期待される効果:中団独走+上位食い込み継続。マイアミでポイント量産体制を確立。

リア部の改善に取り組むことで、高速旋回時のマシンバランスをさらに強化。

軽量シャシーの為、フロントの入りは良い。

フロントディフレクターを見直すことで、フロントがより入りやすくなるはずです。

中団から抜け出して、トップ4の背中により近づけるようなアップデートの展開を求められています。

続いてはハース

ハースはフリー走行では良かったものの、予選を境に失速、結局決勝はオコンが10位入賞で今季初ポイントを記録も一貫性不足が見受けられます。

フロントウイングアクチュエータ見直しがリア気流改善に寄与したが、セクター2のスプーンでリアのふらつきが残る。
弱点: フロア後端の気流が不安定→中速方向転換時にダウンフォースが瞬間的に落ちる。
推奨アップデート(リア周り強化)

  • ディフューザー全面+リアコーナーフェンス新設計(トレーリングエッジを延長し、縦渦生成を強化)。
  • リアウイング下部エンドプレート+アクティブエアロポッド微調整(ドラッグ低減モードの効率化)。
  • フロントウイング継続改良(さらに洗練し、局所荷重を安定)。
  • 期待される効果: セクター2・3で約0.35秒改善。中団トップ争いの常連狙う。コストキャップによる開発制限により「リア特化」がハースの最適解。

ハースにはフェラーリ同様、エキゾーストウイングなるものが付いていますが、ハースの場合はフェラーリのマイルドデザイン。

これによりフェラーリよりは全体ダウンフォースが少ないが、リアの安定感向上に一役買っています。

ふらつきがあるということは、リアのダウンフォースがまだ足りていないということ。

今後はこのエキゾーストウイングの領域を熟成させていくことになりそうです。

RB(VCARB)は予選でリンドブラッドがフェルスタッペンを撃破、決勝ではポイント圏外もローソンが9位に入賞。

アップデートなしだったため、Red Bullから供給される空力パーツの適合性が低く、セクター1で予測不能(リアの滑り)な挙動を見せていました。
弱点深掘り: レッドブル製サイドポッド/フロアとの相性が悪く、アンダーカット後端の気流がリアタイヤウェイクに直撃。

姉妹チームの強みであったパーツの共有ができない。

高速コーナーでのリアの不安定な挙動に繋がりました。
推奨アップデート

  • サイドポッドインレット+アンダーカット後端フィンの改善(レッドブルが鈴鹿で持ち込んだフィンを参考に、独自角度・高さ最適化を図る)。
  • 独自リアウイング+ディフューザーフェンス(RB専用ジオメトリでリア荷重を15%増)。
  • フロア前縁微調整(レッドブル共有パーツをベースに局所修正)。
  • 期待される効果: レッドブルの苦戦データを逆手に取り、0.5秒改善。マイアミで本家レッドブルを凌駕するパフォーマンスでポイント獲得を狙う。

Audiはフリー走行を淡々と走ることでデータ収集に集中。

その取り組みが予選で開花、アップデートなしにも関わらずボルトレートが9位も決勝はペース不足で両者ポイント圏外。

シャシーを始めとするベース性能がまだ低く、セクター1等の高速区間で荷重不足が顕著。
弱点深掘り: 新規開発のフロア/サイドポッドが未成熟→全体ダウンフォースがメルセデスの7割程度。
推奨アップデート

  • フロントウイング+フロア前半部完全新設計(局所荷重を最優先に、高速グリップを20%向上)。
  • サイドポッドアウトレット+コークボトル再設計(気流クリーン化でリア安定性回復)。
  • ディフューザー中央部トレーリングエッジ改良)。
  • 期待効果: 0.6〜0.8秒向上。新チームとして「基礎固め」が最優先。マイアミでは中団脱出の足掛かりに。

元手がザウバーとはいえ、PUもシャシーもまだまだ発展途上。

鈴鹿を見る限りでは高速コーナーで強さはあるものの、トップチームに比べると全体的にやや遅れ気味です。

しかし伸びしろは十分、PUもADUOによる追加開発が許可されれば、更に上の結果を望めることでしょう。

中団下位勢の分析

では、今シーズン開幕から中団下位に沈んでいる3チームの分析です。

この3チームに言えることは、コーナリングでトップから0.6秒程度の遅れ。

0.1秒を争う現代のF1の予選にまだついていけるパフォーマンスがありません。

Williamsはレッドブル同様重量超過が課題。

サスペンションの荷重の掛かりも不十分で、セクター1・3の高速コーナーで車高変動時のリア不安定が目立ち、フロントサスペンション外装カバーの効果は限定的。重量超過(推定+18〜22kg)が全体を0.6秒以上押し下げていた。
弱点深掘り: フロアエッジの剛性不足+サスペンション後流がアンダーフロア気流を汚染(特にデグナー2出口のトラクションゾーン)。
推奨アップデート

  • フロントサスペンション内構造全面軽量化+プルロッドジオメトリ再設計(カーボン製ピックアップポイント肉抜き+角度最適化)。重量10kg以上削減狙い。
  • フロアエッジ+アンダーフロア新フェアリング(エッジカーブをより急峻にし、車高変動時の気流剥離を抑制)。
  • リアサスペンション・マウント補強(軽量チタン合金採用で剛性アップ)。
  • 期待される効果: 重量ロス解消だけで0.5〜0.7秒向上+トラクション向上。開発リソースを「軽量化」に集中させるのが正解。

ウィリアムズのマシンの欠点は兎に角車両重量が重いことです。

車両重量の削減に取り組むだけでもタイムは向上しますし、レース時のタイヤの負荷軽減も期待できる。

サスペンションジオメトリの見直しは、コーナリング時の噂の三輪走行克服に一役買うことができる。

三輪走行をさせている原因の一つとして考えられるのは車高変動時の空力なので、ピークダウンフォース時に抜けないような足回りと空力効果を狙う必要があります。

アストンマーティンはここでもキャデラックと最下位争い。

予選は最下位独占、決勝はストロールがまたしてもリタイア。

それでもアロンソが今季初完走できたというのは、今後においていい兆しになりそうです。

ホンダPU信頼性向上中も荷重分布に課題がのこり、2025年型フロントウイング形状の採用/フロア変更で信頼性は上がったが、セクター高速コーナーでフロント荷重不足、セクター3ではPUパワー不足が露呈。
弱点深掘り: ホンダPUの熱管理が改善した一方、空力バランスが「フロントに寄りすぎ」→高速でアンダーステア→中速でトラクションロス。

フラットボトムにおけるニューウェイマシンは基本的にハイレーキコンセプト。

しかしアストンの場合は空力が「フロントに寄り過ぎた」ことで、フロントが重くなってしまいアンダー。

前荷重が過ぎるということは、トラクションの掛かりも当然悪いということです。

アストンには現行マシンの最適解を探す必要があります。


推奨アップデート

  • フロントウイング第3エレメント+エンドプレート完全再設計(外側荷重を15%増、キャンバー角最適化で高速コーナーグリップ回復)。
  • フロアボディ中央部+ディフューザー前縁微調整(リーディングエッジを下方傾斜させ、フロア圧力回復)。
  • ホンダPU側:小型ターボ効率向上+ERSソフトウェア更新(ストレート加速ゾーンで+15hp相当)。
  • 期待される効果: 約0.7秒改善。ホンダPUのポテンシャルをようやく空力で活かせる。マイアミで中団中位へ脱出を狙う。

現在のアストンは兎に角偏った空力バランスによるコーナーでの遅れ+PUのパワー不足が露呈している。

先ずはPUの信頼性をもっと高めて、安定して完走を狙えるようにすることから始めなくてはならない。

キャデラックはアップデートが正しい方向に向いているようですが、それでもウィリアムズに全体で0.4秒以上の遅れが生じている。
弱点深掘り: ディフューザー効果が車高変動時に不安定→中高速でトラクションが抜ける。
推奨アップデート

  • ディフューザー全面+フェンス高さ・角度最適化(鈴鹿でのデータを基に、車高±10mm変動時の性能維持)。
  • フロントサスペンション外装+プッシュロッドジオメトリ(荷重分布をリア寄りにシフト)。
  • リアウイングエンドプレート微調整(アクティブモードとの連動強化)。
  • 期待される効果:0.45秒改善。ボッタスのコメント通り「方向性正しい」で、マイアミではアストンとウィリアムズの中団下位争い抜け出しへ。

キャデラックは完走はしっかりとできるものの、シャシーではアストン同様、バランスに悩んでいる。

この3チームの共通の課題として見えているのは、マシンの荷重分布のバランスが悪く、偏り過ぎてしまっていること。

これによってアンダーが発生、リアは抜け気味になりトラクションの掛かりを悪くさせてしまっている。

中団下位の3チームはマイアミで劇的な変化、という期待は薄く、先ずは中団下位脱出を試みることが現実的です。

以上各チームの現状のパフォーマンス分析と、推奨アップデートでした。

各チームがこの推測通りのアップデートを入れて来るかどうか?

マイアミでハッキリすることでしょう。

日本グランプリの戦力分析、各チームのポテンシャルと推奨アップデートを考える。(トップチーム編) – アルボンノート

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