第9戦カナダGP決勝。フェラーリ最悪の週末、フェルスタッペン巧さが光る6勝目

F1 2024シーズン

カナダGPの決勝レポートです。

土曜日の予選ではフェラーリ2台がQ2で姿を消すという大波乱。

ポールを賭けたQ3争いも、ラッセルとフェルスタッペンによる同タイム決着となり、先にタイムを記録していたラッセルが通算2度目のポールポジション獲得となりました。

カナダは比較的追い抜きが容易なコースであり、決勝ともなれば荒れることが多いグランプリとしても知られています。

そしてその予想通り決勝は荒天により荒れたレースとなりました。

早速振り返っていきましょう。

ハース”小松マジック発動”!

レース当日は予報通り雨となりサーキットには結構な量の雨粒が落ちていました。

路面は水溜りもあり微妙なコンディション。

今シーズン初のウェットレースとなります。

スタート時のタイヤはほぼ全チームが浅溝のインターミディエイトを選択。

しかしハースの2台だけは深溝のフルウェットを履いてのスタートとなりました。

この選択が吉と出るか凶と出るか・・・

フォーメーションラップを終えレーススタート!

RBはまたもスタート失敗。

角田は8位から11位へ、リカルドも5位から9位へと転落してしまいました。

予選で振るわなかったルクレールはエンジンの不調を訴えている、完走できるのか?

ここでなんとハースの2台がジャンプアップ。

ヒュルケンベルグは17位スタートから3周目終了時点で8位。

マグヌッセンは何と15位から3周目の間に4位まで順位を上げました。

小松マジック発動しました。

しかし、雨は止みレコードラインが少しずつ表れ始める。

それどころか太陽まで出てきた。

ハースの天下は束の間、8周目にマグヌッセンがインターに変えるためピットイン。

しかしタイヤ交換に手間取り8.6秒と大幅ロス。

4位まで上げた順位も13位まで落ち込んでしまう。何とも勿体ない。

ウェットで走り続けるヒュルケンベルグ、やはりきつそう。

気付くとヒュルケンベルグの後方にはトレインが出来上がっていました。

13周目にヒュルケンベルグはピットへ入りインターに交換。(2.8秒)

リカルドは5秒ペナルティを貰ってしまう。このペナルティーがどう出るか・・・

17周目、ポールスタートのラッセルの背中を捉えたフェルスタッペン。

しかしターン1でミスを犯しラッセルを逃がす。

更に3位を走るノリスが迫り、首位争いから2位争いに転じてしまう。

18周目、路面がドライとインターの混在。DRSが解禁される。

20周目ロングストレートのDRSを活かしのノリスがフェルスタッペンを逆転し2位浮上。

後方では11位アルボンが10位角田を抜く。

21周目に9位ルクレールのポジションをアルボンが続けざまに奪う。

スタートからずっとエンジンが・・・と訴え続けるルクレール。

そのせいでペースも上がらずズルズルと順位を落としてしまう。

21周目に角田に抜かれ11位後退。

その一方で首位争いは過熱。

首位走行中のラッセルにノリスとフェルスタッペンが迫る。

ラッセルはウォール・オブ・チャンピオンズでミスを犯し一気に3位に転落。

フェルスタッペンは隙を突き2位浮上、新たなレースリーダーはノリスに変わった。

ゲームチェンジャーサージェント、フェラーリの”アレ”発動

ところが25周目、サージェントがクラッシュしリタイア。

マシン撤去の為セーフティーカーが導入される。

このセーフティーカーがゲームチェンジャーになるか!?

早速26周目にザウバーの周がピットへ、タイヤは雨が降ることも見込まれたため新品のインターに(3.4秒)。

ザウバー相変わらずピットが遅い。

その後上位陣、フェルスタッペン(2.6秒)、ラッセル(2.2秒)、ピアストリ(2.7秒)が入りインターに交換。

ラッセルが僅かに早くピット作業を終え、フェルスタッペンに出口で並びかける。

しかし間一髪フェルスタッペンが順位を死守。

その後アロンソがピットに入りこちらも新品インターに交換。

この動きを見てRBの2台はステイアウトを選択。

トップのノリスが27周目にピットへ(2.5秒)。

先にピットを済ませていたフェルスタッペン、ラッセルがアンダーカット成功。ノリスは3位に。

これによりレースリーダーはフェルスタッペンに。

リカルドはステイアウトかと思われましたがこの周回にピットイン。

タイムは9.3秒。5秒ペナルティ消化の為です。これでリカルドの入賞の望み薄か。

しかし何故前の周に入らなかったのか・・・RBも不思議な戦略を取りますね・・・

この時点で数分後に雨が降ると予報が出ていたもののここでも降らない。

しかし怪しい空模様

29周目ルクレールがピットに、選択したタイヤは・・・ハード。

いやいや、いくら何でもそれはギャンブルなのでは・・・。

タイヤ交換を終えても何故か止まったままのルクレール、一体何をやってるの?

結局ピットタイムに何故か24.1秒も有してしまい絶望的な状況に・・・

この時点でステイアウトを選択したのは角田、オコン、ボッタスの3人。

もうひと雨が来るとの予想なのかそれとも・・・

30周目にレース再開。

好調アルボンがここでも見せてくれます。

ロングストレートで10位リカルド、9位オコンの僅かの隙間を縫ってウォール・オブ・チャンピオンズの手前でオーバーテイクを決める。

マシンの軽量化もあってかウィリアムズのマシンが生き生きとしています。

ガスリーはマグヌッセンをオバーテイクし14位に浮上。

31周目再び雨が強くなってしまった。フェラーリ・・・言わんこっちゃない。

32周目に再びルクレールをピットに呼び戻しインターに履き替える。

サインツは接触によりフロントウイング翼端板を壊す。

フェラーリ、前回のモナコと打って変わって今週は散々です。

ネットによく上がっている”俺たち”遂に発動してしまいました。

再び晴天、動きを見せるレース展開

天気は再び晴天に。

そしてこれ以上雨は降らないとのこと。

ステイアウトを選択した角田、オコン、ボッタス。なんと大正解です。

これで他のドライバーがピットに入るタイミングで自分たちも入れば、順位が変わらずに済む。

まず最初に動きを見せたのはガスリー。

路面がドライに変化してきたので41周目に入りハードに変更です。(2.9秒)

これを見て他のチームも動くか?

42周目にマグヌッセンがミディアムに。(3.4秒)

43周目、遂にルクレールがリタイア・・・屈辱的な周回遅れも味わされた。

入賞の望みもない、エンジンもおかしいと言っているのに何故もっと早くリタイアさせないのか。
画面を見ててうなだれました・・・

この周回にステイアウトを続けたボッタスが入りミディアムに(3.2秒)。

44周目にはハミルトン(2.8秒)とサインツが入ってきた。タイヤはどちらもミディアム。

45周目ピアストリ、アロンソ、ステイアウトを続けた角田とオコン、ストロールが入る。

ピアストリ(2.7秒)、角田(4.0秒)、オコン(2.6秒)の3名はミディアム。

アロンソ(2.4秒)とストロールのアストン勢はハードに交換。

46周目、これまでインターを履き続けてきた上位3人のうちフェルスタッペンとラッセルがピットイン。

フェルスタッペンはミディアム、ラッセルはハードに変更。

前2人の動きを見てノリスは何とステイアウトを選択。

次の周回も入らず、48周目にピットイン。

このサーキットのピットロスは約18秒。

ピットインの時点でフェルスタッペンとの差は20秒。

スムーズに作業が行われれば何とか前には出られる。

ノリスはミディアムでピットアウト、後ろからフェルスタッペンが迫る。

ぎりぎりノリスが前だ!・・・

と思った矢先にノリスは最初のコーナーで滑るという痛恨のミス。

隙を逃さなかったフェルスタッペン、再び首位を奪取!

ノリスに逆転の余地はあるのか?

勝負は終盤戦に突入します。

チームメイトバトル勃発、優勝争いの行方は

49周目、ピットアウトでミスを犯したノリスの背後に3位ラッセルが迫る。

ポールポジションでスタートしたラッセル、最低でも表彰台は確保したい。

ロングストレートでDRSを使いラッセルはノリスを抜き2位に。

51周目、ラッセルは再びノリスに迫られ、ターン9のクリア後に滑るミスを犯し三度ノリスにポジションを奪われる。

52周目、8位走行中のストロールが角田から7位を奪う。

アストンはハードのペースが速い。

53周目、突然の黄旗。

映像に映し出されたのはリアウイングがぐちゃぐちゃになったペレスのマシン。

ターン6で滑りリアからバリアに激突。

こんな状態では当然走れない。リタイアを選択することに・・・

その際ピットまで自走しようとし、それが危険運転とみなされ、罰金と次戦スペインで3グリッド降格処分を受けることになってしまいました。

契約が更新されたのに不調が続くペレス、モナコに続き悲惨な結果となりました。

首位走行中のフェルスタッペンに対してセーフティーカーが出ることで不利にならないようにと、チーム側が配慮した結果とのことですが、あのスロー走行でコース上を走るのは危険です。

結局セーフティーカーが再び導入されますがどうやら本当の原因は違ったみたいです。

サインツがターン6で単独スピンを犯し、後方を走るアルボンを巻き込んでしまった。

アルボンは貰い事故という不運な形でレースを終えました。

今回調子が良かっただけに悔やまれるリタイアです。

55周目、セーフティーカーランの間にラッセル、ハミルトンのメルセデス2台がピットに。

ラッセルはミディアム、ハミルトンはハードでコースに戻ります。

59周目に再開。

62周目にオコンは、ミディアムでペースが上がらない角田をオーバーテイクし8位浮上。

8位と11位にアルピーヌ、間に挟まれたRBにとっては嫌な状況です。

63周目、3位ラッセルはまたもウォール・オブ・チャンピオンズでミスを犯し、ピアストリに3位を明け渡してしまう。

それにとどまらずチームメイトハミルトンに先行を許してしまい一気に5位まで順位を落とす。

今回のラッセルはどうしたと言わんばかりにミスが出ます。

65周目に4位ハミルトンはロングストレートで3位ピアストリを射程に捉え3位に浮上。

久しぶりの表彰台に期待がかかります。

さて、ここからチームメイトバトルが始まります。

リカルドに前にいる角田とバトルをしてもいいよ、という無線が入ります。

ミディアムに変更してイマイチペースの上がらない角田。

ここは同士討ちのリスクがあるバトルというよりも順位を入れ替えるスワップの方が得策だが・・・

66周目角田はターン8でブレーキをロックアップさせてしまいコースアウト。

態勢を立て直そうとするも痛恨のスピン。

ブレーキにトラブルがあったのか?

角田はブレーキングが得意ですがそのブレーキングでブレーキを傷めてしまったのか・・・

これに関しては角田も自身のミスであることを認めているようです。

68周目にリカルドはオコンを抜き8位に。

前方ではメルセデスがやり合っている。

3位ハミルトンとピアストリを抜き4位に浮上してきたラッセル、ロングストレートでDRSを使いハミルトンの背後に付く。

ウォール・オブ・チャンピオンズ手前で、オーバーテイク。

表彰台は絶対に逃せないというラッセルが意地のオーバーテイクを決め表彰台圏内の3位浮上。

69周目にはガスリーがチームメイトオコンを抜き9位浮上。

モナコでの借りを正攻法で返したガスリー。

オコンはレース後に怒りの無線でしたが、アルピーヌは今シーズン初のダブルポイント。

結局レースはフェルスタッペンがリードしたまま終了。

今シーズン6勝目です。

ハミルトン、ラッセルに抜かれるも意地のファステスト獲得です。

巧さが光ったフェルスタッペン

結局今回はフェルスタッペンの巧さが光ったレースだと思います。

フリー走行中には、マシンのセッティングが合わない、調子悪いと訴えても最終的には優勝争いをするポジションに彼はいます。

こういう状況が続く限りレッドブルの牙城は崩せないのか・・・

しかしここ数戦見ててレッドブルのマシンは、コースによって得手不得手がはっきりしてきたように思えます。

私の見解ですがRB20は風に弱いのではないか?という見方です。

マクラーレンも元々はデグラが良くなかったマシンですが、アップデートを通じてロングランに改善が見られます。

フェラーリもアップデートを通じて良くはなっていますが、今回の予選のようにタイヤにより優しくなった分、タイヤが温まらない・・・つまり冷え性になったのではないかと。

このレースでは戦略ミスも見受けられましたし、このままではチャンピオンを取るなんて夢のまた夢で終わります。

この失敗・・・ぜひ次に生かして欲しいです。

メルセデスはアップデート次第で、今シーズンを戦い続けるか、それとも諦めるかを占う重要な一戦でした。

確かにラッセルは続けざまにミスを犯しましたが、それでも3位表彰台を獲得。

ハミルトンも4位に続きまだ戦えるということを十分に証明した週末だったのではないかと思います。

アストンも漸くアップデートを理解しだしての今回の結果、益々混戦模様となりそうな予感です。

次は一週開けてスペインへ。

総合力が試されるサーキットでそれぞれのチームがどんなパフォーマンスを見せるのでしょうか?

第9戦カナダGP、FP3・予選リポート。最早差が無い予選パフォーマンス – アルボンノート (albonnote.com)

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