2週間の空き週を経て、カナダGPが始まりました。
メルセデスはここでシャシーアップデートを予告通り投入。
このアップデートが成功すればこれまで以上に優位性を持つことになる。
今回フェラーリにアップデートは無いですが、カナダのロングストレートに適応できるのだろうか?
アップデート詳細
では前回アップデートのヶ所に触れる程度の内容でしたが、詳細について触れます。
F1 2026年シーズン第5戦カナダGP、アップデート確認と展望。 – アルボンノート

メルセデスのアップデートの焦点はフロントウイングとフロアアップデート。

各フラップの高さを抑え、フラップの端部を翼端板下部のフットプレートへとなだらかに溶け込ませる形状に変更。さらにフットプレートには、気流を制御する(アウトウォッシュ)ためのフィンを追加している。
カナードの付け根角度変更もアウト促進に一役買って出ている。
フロントタイヤに気流が直撃することで、気流が乱れリアの挙動が不安定になる。
フロントタイヤ前のアウトウォッシュを制御できればリアに向けて流れる気流の質は劇的に変わる。
旧型はフロントで発生するダウンフォース量は多かったものの、リアに向けた整流の計算が行き届いていなかったため、時としてピーキーさが顔を出していた。
なので今回は全体的に曲率を抑えた緩やか+アウトウォッシュを促進した形状をを採用することで、空力効率の向上も期待できるのではないかと考える。
次にメルセデスのフロアアップデートの詳細に触れていく。

前述通りメルセデスは、これまでのレースでフロントの気流が乱れるとリアのダウンフォースが抜けてしまう課題を抱えていた。
フロアボードの再成形を通し、特定の走行状態(ロール・ピッチ時)で発生していた局所的な気流剥離を抑え、あらゆる条件下で安定した圧力分布を生み出すように形状を変更。

フロアコーナーのスロット最適化とフロアの角にあるスロットの配置を見直し、局所的なダウンフォースを稼ぎつつ、ディフューザーへと流れ込む空気の質を向上を目的としています。
メルセデスは更にディフューザー・ルーフとサイドウォールの再成形も行っている。
フロア後端のルーフと側壁の形状を変えることで、車高や速度が変化してもディフューザーから効率よく空気が抜けるよう最適化し、リアの安定した荷重を確保。
フロア後端にマウスホールを有していることで、ディフューザー効果を高めているメルセデス。
しかしフロントから流れて来る気流が乱れていることで、リアダウンフォース量が計算しづらく、時折ピーキーな挙動を引き起こす原因となっていた。
昨年のマクラーレンMCL39の様に、ディフューザー感度を敏感にさせ過ぎないことによって、安定したリア挙動を提供することに繋がるでしょう。
今回のアップデートはフロアだけではなく、フロントウイングからディフューザーに至る気流全体の一貫性の向上を通した挙動の安定化を狙っている。
フロアアップデートはハースにも投入されている。

しかしこちらはメルセデスとは違った意図を持つ。
完全新設計のフロアボードとフロアエッジ・スプリットを導入。
外装からの強い気流を受け止めるため、フロア自体も新設計。フロア端を分割(エッジ・スプリット)し、床下の気流を外へ引き抜く力を強化。

ディフューザー形状も一新。
ディフューザー側面上部を横に広く、ディフューザー後端の捲れはより鋭角に大きく。
床下の空気を急激に上方・側方へと膨張させて吐き出す(アップウォッシュ&サイドウォッシュ)アグレッシブな形状を採用し、アンダーフロア全体の吸い付きを強力に高める。
つまりハースの狙いはリアダウンフォースの強化。
十分なダウンフォースを有して安定化を図ろうとしているメルセデスとは逆の処理を行っているのです。

ディフューザー効果促進の為、エキゾーストウイングのデザインも刷新。
排気の失速をより強めることを狙ったデザインを採用しています。
ハースは攻めたデザインを採用しましたが、同時にメルセデス同様リアがよりピーキーになり扱いにくくなるというリスクも抱えている。
荒れるFP1、事故多発
気温15℃、路面温度37℃でセッション開始。
風向きは南に8.2m/s。

トップタイムはアントネッリがマーク、ラッセルもアントネッリに引き続き1-2。
今回アップデートが入っていないフェラーリですが、ハミルトンが3番手タイムをマーク。
しかしメルセデスとフェラーリとの差は更に大きくなり、0.8秒近くもの差が付いている。
典型的なストップ&ゴーサーキットである為、ハードブレーキングが必須。
今年のマシンはモーター出力が昨年比で倍増しているため(シーズン途中で出力比変更)、ブレーキング時によるエネルギー回生が始まる際にロックアップが起きやすい。
その設定はチーム毎に異なっていますが、オーバーシュートが目立ちました。

マクラーレンはブレーキング時に不安定。

特にノリスはブレーキロックよるオーバーシュートが目立っていました。
唯一のフリー走行ですが、トラブルとクラッシュが続出。

コラピントのマシンが走行中に突然失速。
無線でスロットルが機能していないことを報告、自走で何とかガレージに戻った。

そして開始9分後にはローソンのマシンに異変。
パワステにトラブルを抱えコース上でストップ。
イエローフラッグからVSCに変わって暫く走行は続いたものの、マシン撤去の為、赤旗掲示に変更になった。
これにより、FP1を4分延長する措置を取ることになった。
セッションは残り44分の所で再開。

しかし残り37分のところでアルボンがターン7の立ち上がりの際にマシンのバランスを崩しクラッシュ。
こちらもコース上にマシンを停める形となってしまい、再び赤旗掲示となった。
これに伴い、FP1を更に15分延長することに。
セッションの大半はメルセデスが他を圧倒する走り、そこにフェラーリの2台とマクラーレンが続く。
残り6分を切ったところで今度はオコンがターン4でスピンを喫しフロントノーズを破壊。
何とか自走でピットへ戻り予備のノーズを装着。
これにより3度赤旗となった。
残り1分の所でセッションは再開となったが、各チーム終了後のスタート練習を行うのみに終わった。
トップ10にはリンドブラッド、ヒュルケンベルグ、そしてアロンソも入ってきており、中団争いがより激しくなりそうです。
FP1でのクラッシュが予選に響く
ローソンとアルボンはFP1でのクラッシュで予選に参加できず。
SQ1
ハミルトン15.459、サインツ17.172、ルクレール15.006。
ラッセル14.772でトップタイムを記録。
フェルスタッペン14.907、リンドブラッド15.228。
フェルスタッペンが2度目のアタックで14.476、ラッセルからトップを奪う。
ピアストリ14.804、アントネッリ14.010、トップが入れ替わる。
サインツ16.642、ハミルトンのセカンドアタックは13.922、タイムは13秒台に突入。
ラッセルのセカンドアタックは最終コーナーウォール・オブ・チャンピオンズでミス。
ベアマン15.872、ノリス14.265、オコン15.760。
フェルスタッペン3度目のアタックは14.028でタイム更新もトップタイムとはならず。
リンドブラッド14.517、ハジャー14.541。
ボルトレート15.801、ヒュルケンベルグ15.673。
ピアストリ14.665、ハミルトンは13.889で自己ベスト更新。

アロンソはセクター1のターン3手前でブレーキロック。
止まり切れずにウォールに正面衝突。
これにより残り1分46秒でレッドフラッグ。
セッション再開後は数台がコースに出てアタックも何れもタイム更新はならなかった。
SQ1ではローソン・アルボン・ボッタス・ガスリー・ストロール・ペレスの6名が敗退。
アロンソはFP1で10位と復活の兆しが見えていただけに勿体ないミスです。
SQ2
クラッシュしたアロンソはSQ2進出も出走できず、15台でSQ3進出を掛けて争います。
ノリス13.957、リンドブラッド14.398、ハミルトン13.637、ラッセル13.466、アントネッリ13.551。
ハジャー14.605、ルクレール13.965、ピアストリ13.858。
サインツ14.828、フェルスタッペン14.412、ハジャー14.239。
ハミルトンのセカンドアタックは13.465、ラクレール13.554、
ラッセルが13.026ですぐさまタイム更新。
SQ進出争いは10位争いが熾烈。
ボルトレート14.627、ヒュルケンベルグが14.595。
コラピント、オコン、ベアマンは暫定10位ヒュルケンベルグのタイムを上回れず。

そして最後にアタック敢行のサインツが14.547でヒュルケンベルグを僅かに上回りSQ3進出。
SQ2ではアロンソ・ベアマン・オコン・コラピント・ボルトレート・ヒュルケンベルグの6名が敗退。
SQ3
シャシーアップデートの入ったメルセデスのパフォーマンスがここまで驚異的です。
ハミルトン13.411、ハジャー13.605、フェルスタッペン13.507。
ノリスはターン1でカウンターを当てるミスが発生、14.055。
ラッセルが13.194で暫定トップタイム記録。
ピアストリ13.686、ルクレール13.858。
アントネッリ13.500、ハミルトン13.326、フェルスタッペン13.504。
ノリスのラストアタックは13.280、暫定2位のタイム。

リンドブラッド13.737、ラッセルのラストアタック12.965、唯一の12秒台に突入。
ピアストリ13.299、ルクレール13.410、アントネッリ13.033ラッセルに僅か及ばず。
スプリント予選はラッセルがポール獲得
爆速メルセデス、対抗できるチームはあるのか?
今回はがラッセルポールを獲得しました。
メルセデスのシャシーアップデートがよりパフォーマンスを強力にしたと証明されたセッションでした。
フロントの気流の整流によるマシン全体の安定化が見事に機能しての結果です。
書くセクターを見ても全体的に速いです。
同じくアップデートを入れてきたマクラーレンのノリスに対して0.315秒差。
こちらも同じ意図を狙ったフロントウイングアップデートでしたが、完全に安定感を手に入れたとは言い難い。
引き続き改善が必要になるでしょう。
0.3秒速くなるという情報は概ね事実と考えて良いでしょう。
フロントローにメルセデス、セカンドローマクラーレン、サードローフェラーリ。
と今のマシンの力関係が綺麗に出たと思います。
フェラーリはハミルトンがスピードトラップで330km/hとトップでしたが、ストレート区間はやはり厳しそうです。
今回フェラーリはアップデートを入れていないので、それを考えれば及第点といった所なのか?
マイナーアップデートのみにとどまっている今回のレッドブルは、トップ4に戻ってきているものの、やはり上位3チームとの差はまだ少し大きい。
フェラーリ勢は兎に角ADUOが待たれる状況です。


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