約一ヶ月のサマーブレイクが終わりいよいよ今週からF1が再開されます。
後半戦のスタートはオランダGPからのスタートです。
夏休みまで大きなアップデートを入れないと宣言していたアルピーヌですが、ここで大規模アップデートを投入してくるようです。
もう一つのニュースは、左右非対称のブレーキ構造を禁止とする新しいレギュレーションが設立されました。
これにより大きな影響を受けるとされているのがレッドブル。
夏休み前のアップデートがイマイチ機能しなかったレッドブルにとってこれは、追い打ちをかけるような変更になってしまいそうです。
ウイングセッティングとマシンの仕様
では、後半戦一発目のウイングセッティングを見ていきましょう。
先ずはトップ4のウイングセッティングから
このコースは低速コースであり、ストレートの区間もかなり短めです。
セクター2は高速コーナー多めですので、フラップは立ち気味にしてダウンフォース重視のセッティングが基本となります。
トップ4のウイングを見て分かる通りどこのチームもハイダウンフォース仕様のものを用意してきました。
レッドブルはベルギーの時にはフェルスタッペンにメインフラップを削った仕様のものを取り付けていましたが、やはりダウンフォース確保のためにここでは使用してきませんでした。
因みにこちらはウイングセッティングによるダウンフォースを最大限に付けたモナコ仕様のものです。
モナコ仕様のものとフラップの立て方がほぼ一緒ですので、このオランダでもウイングによるダウンフォースは最大と考えても良いでしょう。
前半戦の中盤から終盤にかけて苦戦気味だったフェラーリもここでは他チームに倣ってダウンフォースを付けた仕様。
苦戦の根源ともいえるスペインでのフロアアップデート。
ここでは果たして旧型のフロアを使うのか?それとも新型を使用してくるのか?
低速コースですので新型フロア特有の弱点であるポーパシングは発生しにくいです。
フェラーリは元々低速コースに強いマシンであったので、どちらのフロアを使ったとしても悲惨な結果になるということは考えにくいと思います。
とはいえ新型フロアに対する理解ができていないと優勝争いは難しいと考えます。
この画像を見る限りでは、今回のフェラーリは旧型のフロアを使用しているように見えます。
メルセデスもハイダウンフォース仕様ですが他のチームに比べると僅かに寝ているようです。
前半戦の最後で入れたリアウイングのアップデートが空力効率を改善し、かなり効果的なアップデートとなっているように思います。
ここまで巻き返してきているだけに、前半戦の序盤で苦戦しポイントが取れなかったことが今になって響いてきています。
後半戦は序盤から優勝争いに絡み、ドライバー、コンストラクター共に順位を押し上げたいところ。
今年も度重なるアップデートで前半戦中盤からレッドブルに肉薄し、今ではグリッドNo.1とも言えるマシンになったマクラーレン。
マクラーレンは他の3チームに比べるとストレートの伸びが悪いですが、今回はその影響をあまり受けないコース。
メインフラップ中央のV字カットはレッドブルに倣って作られており、フラップ面積を小さくすることでドラッグを減少しトップスピードを伸ばす。
エンジンパワーがあるにも関わらずストレートの伸びがそこまで良いとは言えないフェラーリ。
これを取り入れれば多少違ってくるはずなのですが何故取り入れないのだろう?
続いては中団勢のウイングを見ていきましょう。
やはりこちらもハイダウンフォース仕様となっています。
こうしてみた時にRBのフラップは他のチームに比べて面積が全体的に小さく、リアダウンフォースの量が全体的に見て少なめ何だと感じました。
前半戦でリアのフィーリングが悪いというフィードバックを角田が出していたのはもしかしたらそういうことなんだと感じました。
ウィリアムズのリアウイングを見るとメインフラップの中央部分は立っていますが、翼端に行くにつれて徐々に寝ているのが分かります。
アウトウォッシュの発生の促進なのか、それとも単に空力効率(ハイダウンフォース、ロードラッグ)を狙ったものなのか?
真相は実走を見てみないと分かりかねますが、翼端の形に関してはメルセデスに近いアプローチを取っているように見えます。
ただ、メルセデスは翼端に行くにつれてフラップが寝てくるような作りにはなっていないというところが違いだと思います。
アルピーヌのウイングの造りも、メインフラップが翼端に行くにつれて寝気味になっています。
アルピーヌの大型アップデート
では冒頭で話をしましたアルピーヌのアップデートについてみていきたいともいます。
大型アップデートとはサイドポッド形状の変更だったようです。
サイドポッド上部にあるスライダーは緩やかになりました。
急に傾斜を付けるよりもこちらの方が効果が高いのでしょうか?
急に下げたことによる気流の乱れというのも防げるのではないかと思います。
そしてサイドポッドの下部はアンダーカットの面積が広がりました。
全体的に見てサイドポッドを薄くしたという表現が正しいでしょうか?
アンダーカットを広くしたことでそこにより多くの気流を流し込むことができ、フロアシーリングに貢献できるはずです。
しかし、アンダーカット向けて多くの気流をより正確に流すことができないと変更をした意味を成さない。
ここで重要なのは前の気流の流れです。
その一環として伺えるのが
写真の通りフロントウイングの翼端板形状変更です。
よく見てみると翼端板の形状が波打っているのが分かりますでしょうか?
この変更の意図はやはりアンダーカットに流す気流の増加と繋げて考えられそうです。
具体的な対策として翼端板の前後では形状が違い後ろ側の方が高く尖った造り。
これは渦流の発生位置を変えてきたと考えられます。
このフロントウイングとセットで活用したいのがエッジウイング。
今回はエッジウイングが移った画像がまだ手に入っていませんが、アンダーカットに気流を流すための変更が必ずなされているはずです。
こうしてマシンを横から見るとアルピーヌのノーズの薄さがより分かります。
ノーズ下を通る気流の量は全チーム中最も多いはずです。
その大量に取り込んだ気流をフロアトンネルにいかにして流すかが、アルピーヌの今後の開発の課題となってくるはずです。
オールドサーキット故の予選の重要性
ザントフォールト・サーキットは歴史が長いオールドサーキットで知られています。
コースの設計者は鈴鹿サーキットの設計にも関わっていた、ジョン・フーゲンホルツです。
セクター1の3コーナーはフーゲンホルツと名付けられ、グランプリカレンダーのサーキットには無い強烈なバンクの付いた左のヘアピンを抜けていく特徴的なコーナーです。
2コーナーの先が見通しが悪く前方で何が起きているのか分かりにくい区間です。
昨年はリカルドがフーゲンホルツでクラッシュし骨折をしたので低速区間とはいえ要注意なコーナーです。
基本このコースは低速コースという位置づけですが、セクター2に突入すると高速コーナーが多くなります。
そして何よりも特徴的なのが右コーナーがかなり多いころです。
しかも高速コーナーと言われる場所は全て右コーナーとなっているので、左側のタイヤに掛かる負荷は計り知れないものとなっています。
前述の通り左右非対称のブレーキ構造が禁止されてしまったので、これによる影響が大きく出そうな気がします。
オールドサーキット特有の幅の狭いコースです。
ということは非常に追い抜きが難しいことを意味しています。
そうなると予選順位が非常に重要になってくるコースです。
オーバーテイクポイントは最終コーナールイエンダイクの途中から始まるDRSを使ってストレートエンドで抜く、くらいでしょうか?
ここが唯一のオーバーテイクポイントと言えるくらい抜きどころが少ないです。
各チーム予選に振ったセッティングになることはほぼ間違いないですが、振りすぎるとタイヤ負荷がかなりかかってしまうので、振りすぎには注意が必要と言ったところでしょう。
2024年の他のマシンアップデートはこちらから
コメント