遂に開幕しましたオーストラリアGP。
日本時間の土日の昼時に開催してくれるのは大変ありがたいのですが、金曜セッションは仕事と被って見れないという方も多いのではないのでしょうか?
テストを見た際の予想とは少し違った部分もありましたので、その点も踏まえて振り返っていきます。
総括
オーストラリアは暦上日本とは正反対である為、現在オーストラリアは夏~秋の時期です。
そして半公道サーキットであるアルバートパークはF1以外では全く使われていないため、路面は砂利と埃で汚れています。
FP1は特に注意が必要です。
FP1では2度の赤旗。

2度目の赤旗でベアマンがクラッシュを起こしてしまいました。
ハースはノーズがメインフラップと接続型の為、フロントダウンフォースが分離型のチームよりも少ない。
オンボード映像を見てみると、ステアリングは切っているのに曲がってくれない。
今年のハースVF-25はこれによってアンダー傾向のマシンです。
スピードが乗った状態でエイペックスを外し、その勢いのままサンドトラップに突っ込み制御不能になりクラッシュといった感じでした。
ウィリアムズのサインツの安定感が良い、昨年はディフューザーに自由度が無く、車高を落としての対応でしたが、メルセデス製のギアボックスによりその不安は解消。
アルボンにとってもかなり運転しやすいマシンではないかと思います。
そのウィリアムズのライバルとなりそうなアルピーヌ。
やはりコーナーの立ち上がりで所々リアを滑らせていました。
赤旗終了後の残り数分でノリスがトップタイム。
ポンっとタイムを出せる辺りにマクラーレンマシンのポテンシャルを感じます。
ルクレールもサインツ、ノリスに上をいかれましたが、悪くない出だしです。
FP2

ロングラン中心のプログラムでルクレールがトップタイム。
2・3位にノリスとピアストリが入ってきたあたり、やはりこの2チームの一騎打ちが濃厚でしょう。
意外にも角田4位、ハジャー6位と下位予想のブルズが健闘。
しかしロングラン自体は決して速くはありません。
それ以上にレッドブルに不安が募る今日の出だしでした。
ローソンはおろか、フェルスタッペンもリアを滑らせ乗りづらそうな印象です。
レッドブルは今年も初日以降に修正を掛けるといった後手の出だしになるということが多くなりそうです。
ハミルトンはテストでのプログラム消化不足が響いているように思えます。
マシンに慣れるまではもう少し時間がかかりそうな印象でした。
ラッセルはフリー走行で2回ともスピン。
リアの不安定さはレッドブルに共通する部分がありますので後述していきたいと思います。
(他のチームにも言えることですが。)
ただ一つ言えることは、初日の順位だけで判断するのは尚早、だということです。
路面μ(摩擦係数)は低くタイヤ負荷は小さめなコースですので、タイヤを如何に適正温度に保ち続けられるかが、勝負のカギになりそうです。
レッドブルとメルセデスの共通点
何度も同じような話になってしまい申し訳なのですが、リアが不安定な根本的な原因は、フロントウイングの仕様変更にあります。
フロントウイングのノーズとフラップを分離させる分離型か、接続型を採用するかの違いでフロントダウンフォースの強さはかなり変わります。

ノーズとフラップ分離型のフロントウイングは、レッドブルはバーレーンテスト3日目から

メルセデスに至ってはこのオーストラリアから導入してきています。
両者に共通して言えることは、接続型から分離型へと仕様変更をしているということです。
分離型の採用に伴いリアダウンフォースはその分減少するわけですが、それに対する対策が何も施されていないわけです。

一番に見直すべきはフロアエッジの幅なのですが、エッジへ逃がす流量が多すぎる。
なのでリアダウンフォースが不足しているのです。
それでもメルセデスは昨年型W15に比べてエッジの幅は狭まっているようですが、あれだけリアが不安定になるということはまだ狭め足りないということです。
特にメルセデスはサイドポッド下後端を絞った形を採用しています。

内部構造を見てみると、かつてはエンジンに沿うようにして設置されていたエキゾーストパイプは

インタークーラーの後ろに並ぶように配置されている。
内部気流の流速を速める目的と見ていますが、このような部分もリアの不安定さに繋がっているのではないかと考えます。
強いて言うならば、リアウイングを使っての対策になるのですが、両チームともダウンフォースを削り気味のミディアム・ロー仕様のウイングです。
マクラーレンがテストで予選・レースペース共にトップという分析結果が出てはいます。
しかし私の目から言うと、マシン全体のバランスはフェラーリの方が優れているのではないか?と思っています。
原因を早く究明し、アップデートパーツをいち早く投入できるチームが、序列のトップに躍り出れるかの勝負になってくるはずです。
フロアエッジを変えるべきと何度も訴えてきましたが、実際簡単に変えられる部分ではないというのもまた事実。
リアが不安定なチームは早急に取り組むべきですが暫くの間は、リアウイングとビームウイングの仕様変更などでその場しのぎの対応が予想されそうです。
木曜のマシン分析はこちらから
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