東京オートサロン2025に行ってきました。車の勉強、珍しい車を見て来ました。ロードカー編その1

市販車分析

前回の投稿では、東京オートサロンにおいてF1関連の投稿をさせていただきました。

オートサロンはカスタムカーの展示がメインと言えるイベントです。

今回はオートサロンの本題ともいえる、ロードカーについて触れていきたいと思います。

今年もオートサロンには珍しい車が展示されていましたの同時にそちらも説明していきたいと思います。

市販車を見る時のチェックポイント

私が市販車を見る時にはいくつかのチェックポイントを意識してみるようにしています。

そのチェックポイントとは、

  1. ボディライン(車高、車幅等)
  2. フロント(ボンネット、フェンダーダクトの有無)
  3. サイド(ミラー形状、ドアノブ形状、ピラー等)
  4. リア形状(ディフューザー形状等)
  5. 内部構造(エンジン、エンジン搭載位置等)
  6. フロア(車両底部(確認できれば))

の6点になります。

市販車の場合はF1マシンのようなフォーミュラカーとは違って要点さえ押さえてみていけば、どういった車なのかが分かりやすいです。

これから載せていく車はオートサロンを見て回っていった中で、気になったものを載せていきます。

その点も踏まえて早速見ていきましょう。

チェックポイントが多いので今回はチェックポイント1~3について見ていきましょう。

その1、ボディライン。

市販車と言っても一概にひとくくり出来るものではなく、色々なボディライン、ボディ形状があると思います。

例えば、セダンやクーペ・ワゴンやSUVといったように使用用途に応じて、適切なボディラインが違ってきます。

今回紹介していくのは、速く走らせることを前提にしているスポーツカータイプの車。

そうなってくると必然的にクーペやスポーツセダンといったものになってきます。

先ず見ていくのはBMWの新型新型M5(G90)。

前期型のM5は現行BMWエンジン最強のS63B44B型エンジンを搭載。

最高出力625psとセダンにしては十分すぎるくらいのパワーを持っている1台です。

しかし新型M5はエンジンによる最高出力は585psと前期型よりも抑えられているものの、M5初のプラグインハイブリッドを搭載。

モーター出力は197ps、合計727ps、最大トルクは1000Nmとなり前期型を遥かに凌駕する一台となりました。

BMWの車体構造については何度か紹介しているので割愛させて頂きますが、他のメーカーの車に比べると若干空力に対する拘りに欠けているように思えます。

セダンタイプの場合どうしても普段使いにおける快適さを求められるものですが、ボディラインを見ていくと車高の高さはやはり気になってしまうところです。

それに加え現代の車は空気抵抗を意識してか、丸い流線形を帯びたデザインが主流となっていますが、こちらのM5は今時珍しい若干角ばっているデザインです。

流れてくる気流をボディに対して直線的に当ててしまうと、空気が跳ね上がってしまいダウンフォース生成に繋がらなくなってしまいます。

加えてそういった気流の流し方もドラッグ増の要因なので、速く車を走らせる条件として、いかに気流を暴れさせず、滑らかに流すことができるかが重要になってきます。

後方から見ても上背の高さが見て取れると思います。

前面投影面積が大きいと空気抵抗を多く受けてしまう。

そうすると大パワーを持っているエンジンを積んでいても空気抵抗の影響でパワーを活かしきれなくなってしまいます。

その点で行くとマクラーレンのボディ形状にはつくづく感心させられます。(当然BMWとは車作りのコンセプトの違いはあります。)

スーパーカーともなると今度は車幅がどうしても広くなってしまいますが、その分車高が低い為前面投影面積を抑えることができています。

コーナーを速く走るためには、太いタイヤを履いてグリップ力を高める必要があるので、速く走るためには車幅というものは必要になってくるものなのです。

そしてマクラーレンにおいて特筆すべき点は、ヘッドライトの形状。

ライトの中央部にはヘッドライトのカバーがあることが分かりますが、その上下はくり抜かれた形になっています。

ロードラッグの為にここまでするものかと感心するデザインです。

その2、フロント

次に見ていくのはフロント形状です。

ボンネットの形に加え、フロントタイヤ周りの形状(フェンダーダクトの有無)には特に注意して見るようにしています。

こちらも何度も触れていますが、ボンネットで見る点はSダクトの有無になってきます。

こちらは812コンペティツィオーネになりますが、ボンネットの黒い部分がSダクト形状になっています。

良く知られているフェラーリはリアミッドにエンジンが搭載されていますが、こちらのフェラーリはフロントにエンジンが搭載されています。

いわゆるロングノーズ・ショートデッキデザインです。

グリルからフロントエンジンに向けて空気を取り込みそれをSダクトに向けて流す。

Sダクトから抜けてきた気流が前方から流れてくる気流を剥離しないように這わせてくれる働きがあります。

こちらも何度も説明してきましたが、ここから大事になってくるのはSダクトの排出口面積です。

面積を広く取れば、広範囲にその効果を発揮させることができますが、面積が広い分負圧(低圧)が弱く、Sダクトとしての意味があまりなくなってしまいます。

逆に狭くすることで、流速が速くなりより強力な負圧(低圧)を発生させることができますが、狭い分効果を発揮できる範囲が狭くなってしまいます。

なので、どこにどのくらいの空気が必要でどのように流したいかによって、Sダクトの形状は大きく変わってくるはずです。

写真は812スーパーファストです。

この車のチューニングを詰めたものが上記のコンペティツィオーネになるわけですが、フロントの形状とってもベースは同じ車両なのに大きな違いがあります。

812コンペティツィオーネのフロントサイドはカナードの様に横に突き出した形状。

その下の翼端形状は3分割になっている切り欠き。

カナードを通して、縦渦を発生させ走行安定性を高めると同時に、下の切り欠きは、フロントバンパーから通ってきた気流がフロントタイヤに直撃しないよう、アウトウォッシュを発生させる造りです。

たかが市販車の空力と思ったら大間違い。

812コンペティツィオーネは速く走らせる為に空力を突き詰めた究極の1台と言えます。

続いてこちらは同じくイタリアのスーパーカーメーカーのランボルギーニ。

イタリアの中ではフェラーリと双璧を成すメーカーですが、車作りには大きな違いがあると思います。

次に触れていくのはフェンダーダクト。

何故フェンダーダクトが必要なのか?

こちらは私が遊びで描いた自分の車の気流の流れを可視化したものです。

走行しているとホイールハウスには空気が溜まっていきます。(赤)

ホイールハウスに溜まった空気はフェンダーダクトが無いと、空気を逃がすことができず留まり続けていきます。

そのままの状態だとホイールハウス内はかなりの高圧になる。

この状態で走り続けていくとダウンフォースが発生するどころか、ホイールハウスの高圧が車体上部よりも圧力が高くなり、車体を上えと押し付けてしまう形になります。

つまり、最悪車が浮いてしまうということです。

そういった事にならないようにするにはフェンダーダクトが必要なのです。

写真はランボルギーニウラカンですが、そういった機構が確認できませんでした。

こちらはウラカンの強化版ともいえるウラカンSTO。

ノーマルのウラカンと比べるとボンネットにはSダクトが確認でき、走行性能により特化しています。

正面からだと確認しづらいのですが

近くに寄ってみるとありました。

フェンダーダクトも様々な形状があり、こちらのSTOの様にタイヤの直ぐ上に設置するタイプ、

先ほどの812スーパーファストの様にフロントタイヤのすぐ後ろに設置しているタイプがあります。

こちらもSダクトと同じようにリアに向けてどのように気流を流したいかで、大きさ・設置場所が変わってきます。

その3、サイドの形状

市販車においてよく見られるのはフロントとリアですが、車のサイドの気流の流し方も重要だと考えています。

特にサイドで突き出している部分と言えば、ミラーです。

ミラーの形一つとっても無駄な空気抵抗を生み出していないか?又リアに向けてどのように空気を流していきたいのか?

小さな部品であってもその役割は重要です。

BMWM4(G82)です。

ミラー形状を見てみると、付け根が細く、その上の部分は少し尖らせたデザイン。

ミラーの接続部が太ければ合成的には宜しいのでしょうが、当然空気抵抗も増えます。

勿論、ミラーも大きければ視認性は良くなる分ハイドラッグとなります。

BMWMのミラー形状は以前も説明しましたが、上の突き出しを通して、縦渦を発生し安定性を高めています。(上の写真で描いた気流を可視化したM4も参照にしてください。)

近年ではサイドミラーが無い車も登場しています。

そちらの方が当然空力的には良いのでしょうが、視認性という部分ではどうなのでしょうか?

次はドアノブ形状に触れていきます。

こちらもミラー同様に非常に細かい部品ですが、少しでも速く走るためには細かい部分削っていくことが必要になっていきます。

またM4ですが、ドアノブの形を見ていきましょう。

皆さんがよく目にする形状ですよね?

この形状だと手を掛ける部分の窪みに気流が流れ込み、それが時として空気の流れを妨げる時があります。

またまた812スーパーファストから引用していますが、こちらのドアノブ形状はどうでしょうか?

手を掛けるための窪みが車体の後方に来ています。

こうすることで、従来のドアノブ形状と比べて空力的なロスは明らかに少なくなっています。

そういった点で見ていくとスーパーカーのサイドにおけるデザインは見事だと感じます。

こちらはランボルギーニテメラリオですが、ドアノブが見事に車体と一体化しています。

空力においてはこういったドアノブが理想的だと考えています。

近年では格納式のドアノブが出てきていますが、そういったものも空力においては理想的だと言えるでしょう。

最後にピラーの説明を簡単にします。

簡単に言ってしまえばピラーは自動車の窓柱、屋根を支えるものとなっています。

ピラーは剛性確保の為には重要な要素であり、衝突安全性など事故や有事の際には重要な要素です。

運転席、助手席の前にある柱がAピラー(フロントピラー)。

前席と後席にある柱がBピラー(センターピラー)。

後部座席斜め後ろにある柱がCピラー(リアピラー)となっています。

この機会に是非覚えていってください。

今回はオートサロンを通して市販車における分析をしていきました。

次回は後編になります。

乞うご期待下さい。

オートサロン2025別の投稿はこちらからです。

東京オートサロン2025に行ってきました。車の勉強、珍しい車を見て来ました。F1デモラン編 – アルボンノート

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