夏休み明けのオランダグランプリは大荒れのレース展開となりました。
ピアストリは危なげなく優勝、チームメイトノリスが予期せぬリタイアによって、チャンピオンに大きく前進した結果となりました。
オランダでは散々に終わったフェラーリですが、ここ地元イタリアで巻き返しを図りたいところ。
しかしハミルトンは前戦のイエローフラッグ無視により、5グリッド降格が既に決まっています。
ここでも幸先悪いフェラーリ、どうなってしまうのか?
ウイングセッティングの確認
モンツァは全グランプリ中最もエンジンパワーが必要なサーキットの一つ。
なのでダウンフォースは極力削った、フラップ寝かせ気味かつ小さいリアウイングを持ち込むはずです。
一応各チームのセッティング確認していきましょう。

先ずはトップチームです。
見ての通り各チーム極薄のリアウイングを持ち込んでいます。
マクラーレンもいうまでもなくダウンフォースを最大限に削ったリアウイングですが、何度も言うようにマクラーレンはウイングのレパートリーが多い。
コースに応じてウイングセットによるマシンバランスの微調整が利くというところが強い。
ストレートの伸びが良くないマシンではありますが、得意のコーナリングで差を付けるというのが、現行レギュレーションにおけるマクラーレンのマシンです。
そのドラッギーさを補うべく、フラップ間に隙間ができていることが分かります。
こうすることでもドラッグの削減が可能です。
続いて中団チーム


中団勢も当然の如くダウンフォースを極力削ったものを用意しています。
フェラーリやハースは今回V字型ロワフラップを使っていないのに対し、アストンマーティンはV字型のロワフラップを使用しています。
アストンマーティンはストレートだけでなく、コーナーも意識してのリアウイングか?
マクラーレンも曲率は弱いものの、V字型ロワフラップを採用しています。
コーナリングでタイムを稼ぎたいという考え方は両者一致していると見えます。
こうしてみた時に、アルピーヌの翼端フラップ間に隙間ができています。
マクラーレンはフラップ間の中央部から翼端にかけて隙間が少しずつ広くなっているのに対し、アルピーヌは隙間の大きさが翼端に集中している。
この機構うは、アウトウォッシュの促進にも役立てることができるでしょう。
その翼端の造りが面白いことになっているザウバー。
他のチームは翼端をチップという切り欠きを作ることでアウトウォッシュを発生させ、ハイダウンフォース、ロードラッグといった空力効率向上を狙う。
しかし、ザウバーの翼端アプローチはそれとは全く逆の発想。
アウトウォッシュが多少減ってでも、ロードラッグを徹底した形です。
そのアウトウォッシュを補うという点においても、リアウイング支柱の上部が、ロワフラップとメインフラップの2本間に枝分かれしているような形になっており、そこからアウトウォッシュを発生させる形となっています。
各チームでドラッグ削減の方法は様々、中々興味深く面白いです。
予選は協力が不可欠

モンツァも全戦オランダ同様、追い抜きが非常に難しいコースなので、予選時におけるトラックポジションが非常に重要になってきます。
ストレートを走ってはフルブレーキングを繰り返す典型的なストップ&ゴーサーキット。
重要なのはストレートスピードだけでなく、ブレーキングのタイミングと姿勢(ブレーキングスタビリティ)、コーナークリア後のトラクションの掛かりは重要になります。
セクター3はバリアンテ・アスカリとパラボリカといった中高速コーナーが続きますので、ここを如何に上手くクリアできるかもタイムに影響が出てきます。
前述通りマクラーレンはストレートこそ弱いですが、こういったコーナリングの鋭さ、立ち上がりで他のライバルたちに差を付けたいところです。
前年優勝のフェラーリは冒頭の通りハミルトンの5グリッド降格が決まっているので、早速ビハインドに立たされています。
マクラーレンを破るにはチームメイト同士での協力が不可欠。
ハミルトンが厳しい状況に立たされた以上、前回優勝のルクレールに掛かってきます。
フェラーリが今回勝利するには、ルクレールを優先させ、ハミルトンに援護に回ってもらうことが何より大切な事でしょう。
ハンガリー、オランダと連続入賞を記録していたアストンマーティンですが、ストレートが長いコースでは苦戦することになりそうです。
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