サマーブレイクに続いて1ヶ月という長い休みが終了しいよいよ第19戦アメリカGPに突入します。
今シーズンも残すところあと6戦。
チャンピオン争いをしているドライバーたちにとっては1戦1戦が大事なレースになってきます。
ここまでチャンピオンシップでは何とか首位を守っているフェルスタッペン。
その後ろには勢いのあるノリス、安定した走りでランキング3位に付けているルクレール。
2年目とは思えない走りで虎視眈々とトップの座を狙っているピアストリ、とこの4名がチャンピオン争いに望みをつないでいます。
今週はスプリントがあるのでノリスとしては1点でも多くポイントを獲ってフェルスタッペンとの差を縮めたいところです。
ウイングセッティングの確認
久々のウイングセッティングの確認、と行きたいところですが、今回は情報の更新が遅いようで一部のチームのみの確認となってしまうことをご了承いただきたいと思います。
先ずは、今回のレースに大規模アップデートを用意しているフェラーリから。
ウイングセッティングはややハイダウンフォースに寄っているでしょうか?
高速コーナーでは増加するダウンフォースに対してサスペンションの可動域が限界を迎えてしまい、ポーパシングを引き起こしてしまっていた。
アップデートと併せての対策はできるのだろうか?
マクラーレンはフェラーリよりは寝ている感じでしょうか?
ストレートスピードが弱点であり、アゼルバイジャンではミニDRSを実質封じられてしまいましたが、ストレートに振ってもコーナリングは十分に速いので、今回のセッティングになっていると思います。
レッドブルのセッティングはマクラーレンに近いセッティングです。
ここのところストレートスピードが鳴りを潜めている状態です。
低速域のパフォーマンスは昨年よりも改善されていますが、中速域でのパフォーマンスに不安があるので、このセッティングが吉と出るのか凶と出るのか?
ウィリアムズはウイングをかなり立てて対応してきました。
マクラーレンのソリューションを模倣したことでコーナリング性能が一気に向上。
元々ストレートスピードが高いマシンなので、マクラーレンの真似をしているとは言え、とったアプローチは真逆です。
コーナリングに振ったセッティングと言えます。
アストンマーティンもフラップを立たせたセッティングのウイングを持ち込んできています。
アップデート情報
今回はウイングセッティングに関する写真を見つけられていないので、見つかり次第掲載したいと思います。
今シーズンも残り6戦ということで、各チーム最後の大型アップデートを入れてくると報道されていました。
現時点で判明しているものについて見ていきましょう。
ハースのフロントウイングにアップデートが入りました。
ノーズ先端は張り出すような形状になりました。
旧式では最先端のフラップが独立していましたが、今回のノーズの張り出しに合わせてノーズと接続される形になりました。
旧式の場合はノーズ下を通る気流を多くし、フロアに向けて流そうという狙いがありましたが、今回のノーズの張り出しは、マシン上下での気流の差別化を図った形になったように見えます。
アップウォッシュを多くし、マシン上部で作られるダウンフォースを増やそうという考えです。
その証拠として、新旧フラップの3段目の前後幅が違うことに気付きますでしょうか?
新型は気流を跳ね上げて作られるダウンフォースだけではなく、セパレーターの接続も変えたことで、3段目と4段目に隙間ができており、そこからフロアに向けて流そうとしています。
これでグランドエフェクトによるダウンフォースを損なわないようにしています。
4段目は場所に応じて跳ね上げる必要がある部分は前後幅を広く取りダウンフォースの確保。
余計な場所は削り取り、余計なドラッグを生み出さない配慮がされています。
この波打ったフラップの始まりはメルセデスですが、今回はそれを追従した形になったと考えられます。
翼端に目を向けるとフラップ翼端が、若干下がり塩梅になっています。
アウトウォッシュの促進が期待できるでしょう。
アストンマーティンはサイドポッド側面のアップデート。
旧式はBOSSのロゴの辺りに斜め下に向かって気流を流そうとする窪みがありましたが撤去されました。
位置的にサイドミラーからの乱れた気流を外に追いやるための機構ですが、あまり効果を成さないので、それならばスライダーに向けて流す気流を増やした方が得策だろうという考えで今回のような形になったのではないかと考えます。
スライダーの下がり始めもルーバーの横まで下がり、位置も低くなり後方に向かっていくにつれスライダーが狭くなっています。
今までのスライダーはルーバーの真横を通る形状でした。
しかし、ルーバーからの排気(運動エネルギーが小さい為、速度が遅く高圧)がスライダーを通る気流(速度が速く低圧)と衝突しリアセクションに向けて流れる気流を乱してしまう。
アストンマーティンはリアの挙動が不安定でしたが、直接的な原因の一つと考えて良いでしょう。
その為今回のアップデートでスライダーの位置を下にずらしルーバーの排気による影響を受けない造りとなっています。
このデザインは何処かマクラーレンのMCL38を思わせる部分があります。
フェラーリがここ数戦(シンガポールを除く)安定した成績を残していましたが、この3戦はモンツァ、バクー、シンガポールと変則的なコースだったので、今回のように高速コーナーが存在しているサーキットでどうなるか。
高速域でのポーパシング解決を中心とした大規模なアップデートを予定しているみたいですが、情報が入り次第分析したいと思います。
世界中の名コーナーが並ぶ
サーキット・オブ・ジ・アメリカズは世界中のサーキットの名コーナーを取って付けたかのようなレイアウトです。
セクター1は高速コーナー中心。
1コーナーの上り坂はクリッピングポイントが見えないので、ボレーキングポイントが非常に難しいコーナーです。
小林可夢偉曰く勘でブレーキを踏んでいるとのこと(笑)。
1コーナーを抜けると高速コーナーの連続です。
2コーナーを抜けるとシルバーストンのマゴッツ・ベケッツ・チャペルを模したコーナーに入ります。
いうまでもなくダウンフォースが無いと高速でのクリアは不可能です。
では、ハイダウンフォース仕様にすればよいのかというとそうではありません。
セクター2は低速コーナーで始まり→ロングストレート→低速コーナー
ここで求められるのはストレートのトップスピードとトラクションの掛かりの良さです。
セクター1に高速コーナーが集中しているからといってコーナーにセッティングを振ってしまうとストレートが伸びずに失速してしまいます。
今シーズンのパフォーマンスから見ると、この区間はフェラーリとメルセデスが有利になるかと思います。
マクラーレンはストレートの伸びは劣るものの、トラクションの掛かりが抜群に良いマシンですので、立ちあがりの加速で付いていきたいところです。
マクラーレンはブレーキングスタビリティも良いので、ストレート持ち合わせています。が遅いからと言っても十分に巻き返しを図れるパフォーマンスは持ち合わせています。
セクター3は低中速コーナー区間となっています。
ターン12~14はドイツのホッケンハイムリンクのスタジアム・セクションを模したコーナーになっています。
低速区間は前回のシンガポールを見ていれば分かるかと思いますが、マクラーレンの速さが際立っていました。
フェラーリも悪くは無いものの、トラクションの掛かりがマクラーレンに劣っています。
セクター3前半は低速区間、ターン16~18にかけてはトルコのイスタンブールパークのターン8を模した高速コーナーになっています。
今回のコースで大事なのはセッティングの妥協点をどこに持ってくるかになってくるはずです。
低速・中速・高速区間が全て存在しており、総合力が求められています。
全てのマシンのポテンシャルが当然同じわけではないので、セッティングに対する差は少なからず出てくるはずです。
コースレイアウトは違えど、セッティングに対する考え方は鈴鹿に近いところがあります。
多くのチームが最後の大規模アップデートを入れてきますが、今週はスプリントがある為実質的な走行練習はFP1の1回のみです。
ここで各チームのドライバーがマシンにフィットさせることができるかも一つの焦点となります。
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