F1は現在お休みなので番外編をお送りさせて頂いております。
前回は外車の維持の仕方と部品の探し方について説明させて頂きました。
今回は市販車の構造からみる空力に対して拘りを持っているメーカーと、無頓着なメーカーを分析していきたいと思います。
実は先日東京のお台場に行き、TOKYO SUPERCAR DAY2024でスーパーカーの構造や仕組みを少し見てきました。
その際に見た実車の様子を載せながら解説していきたいと思います。
今回は前編と後編に分けて説明していきたいと思います。
TOKYO SUPERCAR DAYとは?
TOKYO SUPERCAR DAYは日本のスーパーカー協会という団体が主催するイベントです。
今年の場合は10月5日(土)~6日(日)の2日間に渡って行われました。
お台場に到着するとスーパーカーがずらりと並んでいます。
ここはセントラル広場に展示されている車たちです。
セントラル広場から少し歩いた長い通りにも多くの車が並べられています。
バックに生えている並木もスーパーカーをより引き立たせてくれます。
ダイバーシティの前にもスーパーカーが並べられています。
後ろのガンダムも印象的です。
屋台も充実していました。
スーパーカー焼き芋が非常に印象的でした。
フェラーリを改造して作られた屋台は贅の極みとも言えます。
新旧のスーパーカーが大集合です。
やはり最も印象に残ったのはカウンタックです。
極端に車高が低いことは知っていましたが、これは想像以上の低さ。
ガラスがほぼ平行です。
当然ながらバックモニターなどありもしない時代。
バックの際には相当苦労するだろうというのが正直な感想です。
市販車におけるボディワークの注目点、フロント周辺の空力
私が市販車を見る際に注視している部分は
- フロント(ボンネット等)
- エンジン搭載位置(確認できたもののみ)
- タイヤ周辺のボディワーク
- リア
の4カ所です。
早速フロントから見ていきましょう。
フロントを見る際にはボンネットに穴が開いているかを確認しています。
投稿を編集 “市販車から見る空力学東京オートサロンで見てきた市販車を元に解説していきます。” ‹ アルボンノート — WordPress (albonnote.com)
以前こちらの投稿でも触れましたが、このボンネットの穴は所謂”Sダクト”と呼ばれているものであり、一つ前のF1マシンにも使われている技術でした。
そのまま空気を通してしまうと、空気が剥離を起こしてしまい、ダウンフォースの生成ができません。
Sダクト構造にすることで、グリルから取り込んだ気流の流速を上げて負圧を作り出し、ボンネットを這うように通る気流を引き込む狙いがあるとされています。
こちらはフェラーリ812コンペティツィオーネ。
世界999台限定の滅多にお目に掛かれないスーパーカーです。
フロントボンネットを見ていただくと黒いカーボン部分が隙間になっており、ボンネット全体がSダクト構造になっています。
こちらもフェラーリから、SF90ストラダーレです。
フロントを見れば分かる通りSダクト構造です。
フェラーリはF1で培った技術をしっかりと市販車に対してもフィードバックしているメーカーだと言えます。
フェラーリ以外にもマクラーレンやアストンマーティンの様にF1に参戦しているメーカーの市販車にはSダクトが付いています。
ランボルギーニも展示されていましたので見てみましょう。
こちらの車種はウラカンスパイダーです。
ウラカンのボディワークは日本の折り紙から着想を得ています。
ウラカンペルフォマンテになるとリアウイングのフラップが可変してくれます。
しかしフェラーリなどに見られたSダクト構造は見受けられません。
もしかするとランボルギーニは空力にあまり拘りを持っていないメーカーなのか?
エンジンの搭載位置
次に注目する点はエンジンの搭載位置です。
エンジンは車においても重量物なので、理想の搭載位置は車体の中心部かつ低く。
重量物が高いところにあると車体の空力が安定しません。
よく車のエンジンの搭載位置にミッドシップレイアウトがありますがこのミッドシップの正しい意味を理解していますでしょうか?
よくあるスーパーカーのエンジンの搭載位置は運転席のすぐ後ろ=ミッドシップと考えられる方が多いと思います。
しかし、本来のミッドシップエンジンの正しい定義は、前後のタイヤの間に収まっている搭載位置のこと。
こちらはフェラーリのGTC4になります。
フェラーリとしては珍しいシューティングブレイク形状のボディラインです。
居住性確保の為にフェラーリでよく見られるミッドシップレイアウトではなく、フロントに搭載されています。
先ほど冒頭でもお話ししましたが、理想のエンジンの搭載位置は車体の中心部により近いところ。
よく見ていただくと、エンジンが運転席側、車体中心部に搭載されていることが分かるかと思います。
このレイアウトを”フロントミッドシップ”と言います。
フロントにエンジンを搭載している中でも、速い車種は必ずと言っていいほどこのフロントミッドシップレイアウトを採用しています。
こちらはアルファロメオジュリアGTAという日本に僅か84台しか輸入されてきていない、非常に珍しい個体です。
こちらのエンジンは2.9LのV6エンジンが搭載されていますがこちらもフロントミッドシップレイアウトが採用されています。
サイドスカート付近にはザウバーのロゴが入っています。
エンジンを公開していた車はこの2車種しかありませんでしたが、速い車の共通点であるフロントミッドシップレイアウトが両方とも採用されています。
今回は市販車を通じて空力に拘っているメーカーとそうでないメーカーの違いを、フロント部分を中心に紹介していきました。
F1の空力は複雑なので、行き詰った時は構造がよりシンプルな市販車の空力を勉強してみると良いと思います。
速い車の共通点としてF1やモータースポーツ等を通じて培ってきた技術を市販車にしっかりとフィードバックしているということを感じました。
次回はタイヤ周辺の空力とリアの空力処理について触れていきたいと思います。
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