土曜日の予選セッションはトップから下位の差が殆どない僅差の予選でした。
誰がポールを獲ってもおかしくない中、地元出身のルクレールが快心の走りでモナコでは3度目のポールポジションを獲得。
同時に今シーズン初ポールとフェラーリにとっても250回目のポールポジション。
対するライバルのレッドブルはフェルスタッペンが予選でまさかの6位、ペレスも屈辱のQ1敗退で18位スタートとフリー走行での不調を修正できなかった。
モナコでの決勝は予選の時のような攻めて攻めてという姿勢とは違い、抜けないのでとにかく我慢比べです。
ここでいう我慢というのは、最後までミスをせず、タイヤを持たせられるだけ持たせる。下手に動けば順位を落としかねません。
今年のモナコは誰は一体どうだったのか?早速振り返っていきましょう。
ハース、規定違反で最後尾スタート
予選では2台ともQ2敗退を喫したハースに更なる追い打ちがかけられます。
このレースで導入したリアウイングに規定違反が見つかってしまいました。
何を違反したのか。
リアウイングのフラップによるDRS作動時の可動域が規定の範囲を超えていたのです。
技術規則によるとリアウイングフラップによるDRS作動時の可動域は85mm以内に収めなければならないというものです。
ところがハースは既定のものより大きく開くようになってしまい、それによってDRSによる恩恵を大きくしようとしているのではないかと考えられてしまいました。
どうやらこのミスは人為的なものによるとされているらしく、管理を怠っていなければ起こらなかったそうです。
ペナルティポイント累積により出場停止にリーチが掛かっているマグヌッセンの事もあり、チームにとっても厳しい状況が続きます。
オープニングラップから大荒れ
先述の通りモナコでの追い抜きは不可能に等しいくらいに難しい。
78周に及ぶ我慢比べの始まりです。
スタート時のタイヤは、ラッセル・フェルスタッペン・ハミルトン・オコン・ストロール・アロンソ・ペレス・ボッタスがハードスタート。
それ以外のドライバーは皆ミディアムを履いてスターティンググリッドに並びます。
ピアストリはホールショットでルクレールの前に出ることを狙っている。
路面温度47℃、気温21℃天気は晴れです。
全車一斉にスタート、ホールショットを決めたのはルクレール。ピアストリもルクレールにぴったりとくっつく。
この際にサインツとピアストリが1コーナー、サン・テボーテで接触。
サインツは左フロント部分を、ピアストリは右フロアサイドをぶつけられてしまう。
ボー・リバージュを超え3コーナー、マスネでサインツがまさかのオーバーラン。
先ほどの接触で何かあったに違いないと思ったその時。
ペレス、マグヌッセン、ヒュルケンベルグのマシンが大破している。
後方でペレスとマグヌッセンが絡みペレスはウォールに激しく叩きつけられる。
更に後ろを走っていたヒュルケンベルグも被害者の一人となってしまいました。
ペレスのマシンは勢いよく壁にぶつかったためマシンの損傷が酷いことに。
幸い手を放していたので事なきごとを得ましたが、あの時離していなかったら・・・と思います。
結果的にはレーシングインシデントで処理されマグヌッセンは不問。
マグヌッセンが引っ掛けたというように見えますが、ペレスがスペースを開けなかったようにも見える。
とはいえマグヌッセン少し危なすぎです。
これにより一気に3台がリタイア。
ハースにとって最悪な週末になってしまいました。
しかし混乱はそれだけでは終わらない。
赤旗が提示される前に、ポルティエでガスリーとオコンが激しくコンタクト。
オコンは抜けると思って欲をかきすぎたか?ガスリーは激怒しています。
折角アルピーヌのマシンが良い方向に向かっているのに、チームメイトのせいで・・・というのは非常におろかなことです。
オコンは強引な割り込みによってペナルティーポイントが蓄積されることになりました。
結局オコンは自走してピットに戻るもマシンに受けたダメージが大きく泣く泣くリタイア。
アルピーヌはもっと目先の一点を確実に取りに行くべきです。
マシンの事故処理によって約40分の中断をはさみリスタート。
オーバーランによって最下位転落のサインツは協議により、スタート時のグリッドでスタートができることに。
マグヌッセンは最近大荒れですが、サインツはマグヌッセンに感謝していることでしょう。
オーバーランの原因はパンクであり、その他にダメージは見受けられなかった。
ピアストリも右側のフロアに殆どダメージを確認できなかったので両者ともに一安心。
中断中に多くのチームがタイヤを交換。
ミディアムスタート勢はハードに履き替え、ハードスタート勢はミディアムに履き替える。
まさかこのタイヤで走り切るつもりなのか?
しかしその中でも唯一サージェントだけはスタート時に履いていたハードタイヤでそのままリスタート。
ウィリアムズ、一体何を考えている?
追うマクラーレン、追われるフェラーリ
2度目のスタートもホールショットはルクレールが決めるも再びピアストリが張り付くという展開に。
ピアストリはF1キャリア初勝利をモナコで決めたいはず、そんな気持ちの表れか、リスタート後は後ろからルクレールを煽りミスを誘いに行く。
チームメイトのサインツもノリスに追われるという展開が続く。
まさに我慢比べの状態です。
14周目辺りからトップ4が一気にペースアップし5位ラッセルは8秒差をつけられ置いて行かれる。
セーフティーカーが無ければ優勝争いはこの時点で、ルクレール・ピアストリ・サインツ・ノリスの4名に絞られたことを意味します。
16周目にボッタスがピットインしハードタイヤに履き替える。
タイムは2.5秒。
鈴鹿で測った時のザウバーの平均タイムは、3秒オーバーと全チーム中ダントツで遅いのですが、今回は滅茶苦茶速い部類に入ります。
※他チームからしてみればそのタイムは平均的か若干遅いくらいです。(笑)
17周目にボッタスがファステストラップを記録、しかし1分16秒と少し遅めです。
全車タイヤの消耗を抑えてかレースペースはかなり遅めです。
40周の時点でトップ4は12位アロンソを周回遅れにします。
バックマーカーのお陰でルクレールは2位ピアストリとの差を少し開くことに成功。
何事もなければルクレールにとって俄然有利な状況です。
43周目にストロールがピットに入りハードに交換。タイムは2.3秒。
しかし51周目にストロールの左リアタイヤがまさかのパンク、再びピットイン。
ピットイン手前で左リアタイヤが吹っ飛んでいきます。
次はソフトに交換、タイムは5.3秒と作業に手間取ってしまい16位まで順位を落とす。
52周目にハミルトンがハードに交換(2.5秒)。
次周にフェルスタッペンもハードに交換(2.1秒)。
両者プランFを敢行します。フェルスタッペンは前のラッセルを猛追し始めます。
58周目にストロールが周とサージェントをオーバーテイクし14位に順位を上げる。
59周目、ついにサージェントが最初のピットストップに入りました(2.6秒)。
こうなることが分かっていたはずなのに何故赤旗中にタイヤを変えなかったのかが未だに疑問です。
耐久レース決着!ルクレール遂に・・・
61周目、猛追を続けたフェルスタッペンはラッセルの背後1秒以内に入ってきました。
ラッセルはリスタート時のミディアムを引っ張り続ける。
ここで入ってしまったら多くの順位を失う。
なのでピットインという選択肢はもう取れない。果たしてミディアムは持つのか?
そしてフェルスタッペンを抑えることができるのか?
角田は周回遅れとなりレース開始時からずっと後ろのアルボンに張り付かれている。
アルボンは角田を捉えたいが追いつけない。
結局タイヤを使い果たしてしまい終盤は角田に置いて行かれるも9位に入り今季初入賞を記録。
角田も終盤無線でペースアップを要求され見事に応える。
最後はファステストに近い14秒台を記録し8位入賞。
予選だけではなくレースクラフトでも力を伸ばしつつあります。
トップ4による争いも最終局面。
ルクレールとピアストリの差は依然として1~2秒台を行ったり来たり。
サインツがトップ2についていけなくなり4位ノリスとの勝負に。
レース中、フェラーリとマクラーレンで幾度となく繰り返される無線。
オーバーテイクはないものの、相手をけん制しながらの駆け引き、という面からも緊張感が伝わってきました。
ピットロスによるタイムは20秒
後ろからはフェルスタッペンが猛追により、フリーストップが可能な20秒圏内に入ってきてしまったので、こちらもピットインという選択はもう取れません。
ミディアムのラッセルよりかは幾分か楽な条件ではあるものの、少しでも負荷が掛かればパンク、バーストは免れない。
果たしてタイヤは最後まで持つのか?
70周目辺りで、ついにピアストリがルクレールに離され始める。
ついにタイヤが限界を迎えてしまった。
後ろからサインツがじりじりと差を詰めてくる。
2位を死守することはできるか?
ピアストリの失速によりトップチェッカーの望みがかなり出てきたルクレール。
レースは最後まで何があるか分からないとは言え、優勝に向けてカウントダウンが始まります。
ピアストリをどんどんと離していくルクレール。
74周目には無線でエンジニアに感謝を伝えるほど余裕が出てきた。
75周・・・76周・・・77周・・・
ピアストリとの差はまだまだ開いていく。
78周目、ルクレール、遂にモナコ初優勝!!
長い長いレースが決着。
フェルスタッペン、猛追もラッセルを抜くに至らず。
結局予選のトップ10は一人も順位が入れ替わらずフィニッシュしました。
これは史上初の事らしいです。
レース後の無線で喜びを爆発させるルクレール。
報われて本当に良かったです。
フェラーリの今後に期待
表彰式では皇族もはしゃいでいる。
ルクレールのモナコ優勝は国民にとっても悲願だったのでしょう。
結局ルクレールはフリー走行から決勝まで完璧な走りを見せて今季初勝利を記録しました。
今回はフェラーリの大勝利だったと言えますがレースの内容自体を見ると、決して楽観視できるレースではないと思います。
レーススタート時のマクラーレンのペースはかなり早かった。
抜けないモナコだったから良かったものの、追い抜きができるコースでしたら序盤で抜かれていたかも知れません。
といえど結果は結果。
ティフォシかつルクレールのファンである私にとってこの優勝が嬉しくないはずありません。
とにかく最高の気分です!
この勝利に奢らず、フェラーリはもっとマシンパフォーマンスを上げて、今後のレースでも常に優勝争いを狙えるようなマシンに仕上げてくれることを期待したいです。
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