1月26日から30日にかけて行われていたバーレーンテストが終了。
このテストは主に非公開で、PU信頼性の確認を中心としたテストでしたが、リーク画像が多数。
有難いことに、分析をするための資料がたくさん集まりました。
その資料を踏まえて、各チームの持つポテンシャルと課題について見ていきたいと思います。
マクラーレン登場
3日目の水曜セッションで昨年王者マクラーレンが遂に登場です。
コンストラクターを2年連続で獲得したマクラーレンは、風洞設備の使用時間が70%と限られている。
その限られた時間の中でどこまでマシンを仕上げてきたのだろうか?

先ずフロントウイングに目を向けてみる。
ノーズは他チームと比較してもかなり細いデザインを採用。
フロントウイングフラップ角は高く、アップウォッシュの働きを強めているデザイン。
昨年まではプルロッドによる低重心化が図られていましたが、ここでは多くのチーム同様アップウォッシュを抑える為の構造として使われている。

他のチームとの違いは何といっても、フロントウイングの翼端板の処理。
翼端板の捻じれは他のどのチームよりも強力であり、その捻じれには段差が生じている。
昨年のグランドエフェクトコンセプトの場合、この部分の捻じれが強いと、より強力なアウトウォッシュを発生することができた分、マシンバランスに影響が出やすかった。
このフラットフロアコンセプトにも同じことが言えるのだろうか?
カナードは横一直線に伸ばした大型デザイン、中間にフィンが設けられた。
フットプレートの空力処理は割とシンプルにまとめ上げてきました。
ロワフラップ端の捲れはアルピーヌほどではないが大きい。
ノーズを細くした分ノーズ下に流れる空気量は必然的に狭くなる。
それを補うものと考えて良いでしょう。

サスペンションのロワアッパーアームの取付位置は昨年以上に低く、前述通り、アップウォッシュをより抑える為と考えられる。

そしてノーズのすぐ裏には、アクチュエータが確認できる。
ノーズ裏によるアクチュエータ設置が空力的には最もドラッグが少ない場所です。
インダクションポッドはやや大径か?

続いてサイドポッド周りに触れてみる。
インウォッシュボードはディフューザー効果を最大限に活かすための形状。
しかしここからでは他のチームに見られた切り欠き形状が確認できない。
そのため、アウトウォッシュは他のチームよりも若干弱いとされる。
開発自由度が高いため、この領域の変更もシーズンが進むにつれて積極的に手を加えられることになりそうです。
そしてコークボトルラインは使用せず。
サイドのデザインは風洞稼働時間が短いからか、全体的にシンプルなデザインを採用しています。
昨年までのようなドラッグ過多でも高ダウンフォース(ドラッグはミニDRS等の工夫で改善しようとはしていた。)といった尖った性能ではなさそうです。
ただしフロントの空力処理は特殊であり、フロントの強いマシンではないかと予想されます。
前レギュレーションでマクラーレンから始まったポッドウイング形状もありませんし、サイドポッドインテークもどちらの突き出しも採用せず。
少なくともバーレーンテストではここまでシンプルな形状で出走はしないと思いますが・・・
アストンマーティン重役出勤、期待を裏切らない攻めたデザイン。
ニューウェイの指示によって、マシン開発をギリギリまで強いられていたアストンマーティン。
ホンダエンジンを搭載して、初のシェイクダウンが実施されました。
マシン発表で登場したAMR26はショーカー、しかしシェイクダウンで登場させてきたマシンは我々の想像をはるかに超えてきました。

アストンはマシン発表をまだしていないため、マシン全体が黒で覆われた状態で出走。

先ずはノーズデザイン。
先ほど紹介した細身ノーズを使用しているマクラーレンと比べても、かなり太いものを使用しています。
太目ノーズにすることで、ノーズ下を通る気流面積の増加。
更にその効力を促進するために、ノーズ中間あたりが削られている(といっていいのだろうか?)。
これによりノーズ下にさらに空間ができる、これによって更に気流の流入を増やす。
空力の基本はフロントから、気流の量が足りないとそもそもダウンフォースを機能させられないという考えから来ているのだと思います。

インダクションポッドも三角形型で小さめ、そしてその横にはホーンウイングが付いており、リアの空力効率を向上させさる。

このデザインはかつてニューウェイがデザインしたマクラーレンMP4-20と全く同じ手法が取られている。

続いてマシンのサイドポッドに目を向けてみる。
以外にもサイドポッドはオーバーバイトではなく、2023~24年代初頭までに見られたアンダーバイト方式が採用された。


RB19(2023)とAMR24(2024)のサイドポッドインテーク形状が酷似している。
RB19に至ってはニューウェイの設計なので、ここで使用した技術をAMR26に流用したに違いない。
アンダーカットもかなり深いという部分と上面が下がっていくという点も共通しており、2025年までのグランドエフェクトカーコンセプトは継承されている。

レーキ角もニューウェイが得意とするハイレーキであり、その角度は他のチームと比べてもかなり高い。
エンジンカウルがかなり絞られており、コークボトルラインもかなり強力な絞り方で形成されている。

そしてこの写真のリアに注目して頂きたい。
リアウイングステーに何か取り付いていることに気付くでしょうか?
これはリアサスペンションなのか?
本来リアサスペンションはギアボックスケースに接続されるものですが・・・
これがリアサスペンションならば空力的利用と見て間違いないです。
恐らく昨年いっぱいで廃止されたビームウイングの代用として使用し、ディフューザーとの圧力差を生じさせる狙いがあるのだろうか?
ただその場合、本来の取付位置とは違うため、強度的な問題は生じる可能性があります。
このマシンは今までのF1でニューウェイが採用してきたものを詰め込んできた集大成のようなデザインだと感じます。
シェイクダウンテストでは何よりもPUの信頼性の確認が大事。
本来3日走れるところ、2日間しか走れないのは少々痛手か?
4日目から始まった初走行はマシントラブルにより全体でたったの5周のみ。
金曜セッションはアロンソが周回数を重ねたことで何とか最悪の事態には至りませんでしたが、アウディ同様サプライヤー1チームのみというのはPUにとって厳しいことは間違いないでしょう。
しかも供給先がこのアストンの1チームのみということも考えれば、3日間の走行は欲しかったはず。
それにしても他のチームと少し違うどころか、ニューウェイはそれをはるかに上回る。
この斬新なデザインの採用は多くのファンも驚いたはずです。
やはりニューウェイマシンは面白いです。
セッション中の走行をフォーカス
リークされたのは画像のみではなく、実走行の動画もネット上に流れています。
やはりタイヤ幅が狭くなったこと、(フロント305mm→280mm、リア405mm→375mm)
そしてグランドエフェクトの実質的廃止によってそうダウンフォース量が少なくなったことも相まって、全体的にグリップ力の低下。
それによりF1本来の持ち味である高速コーナーにおけるスピードの高さは鳴りを潜め、コーナー手前ではしっかりとブレーキングで減速してから曲がるという動作がより強調されるようになった印象です。
タイヤ幅が狭くなったことによる転がり抵抗の減少と、アクティブライドハイトによってストレートのスピードは間違いなく増すはずです。
しかしそれをF1と呼んでいいのか・・・
それでも、インウォッシュボードを本来の使い方ではなく、アウトウォッシュの発生機構として使ったり、技術の裏の裏を行くという手法を用いてくるあたり、流石F1といったところでしょうか。
コーナリングは今後のアップデートで速くなっていくので、この1年でコーナリング性能をどこまで伸ばせるのかは見ものです。
以上でバルセロナシェイクダウンテストの考察を終了します。
次は2月のバーレーンテスト、2週間近い空白期間で各チームはどのように開発を進め、開幕前のテストに臨んでいくのでしょうか?


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