先日行われたサウジアラビアGPもフェルスタッペンの圧勝。ペレスも5秒ペナルティをもらいながらも2位でフィニッシュし2戦連続でレッドブルの1-2フィニッシュという結果になりました。
フェラーリは確かに速いがレッドブルの2台には遠く及ばない。
予選ではルクレールがフロントローを獲るもポールのフェルスタッペンとの差は0.3秒。
いくら予選が得意なルクレールでもこの差が付いてしまえばどうしようもありません。
一方急遽サインツの代役としてシートに座ったベアマンは、マシンを理解する時間が殆ど与えられなかったにも関わらず、決勝では見事に7位フィニッシュ。
突然の代打で素晴らしい結果をもたらしてくれました。
バトルも上手でしたし将来が楽しみなドライバーだと思います。
前回はそこそこのペースだったRBは今回は全然ダメでした。
何故ダメだったのだろう・・・
今回はデータを通して反省していきましょう。
FP1から見るデータ
第2戦サウジアラビアGP。持ち込まれたパーツ、セッティングの確認と展望 – アルボンノート (albonnote.com)
全開こちらでも触れたように、サウジアラビアに持ち込まれたリアウイングは、ほぼ全てのチームがミドル・ローダウンフォース仕様。
しかし、RBだけはモンツァ並みにフラップが寝ていました。
今回はそれだけでなくなんとビームウイングも1枚仕様のものを持ち込んできました。(写真上)
写真んの下は昨年サウジアラビアに持ち込まれたAT04のリア周りです。(写真下)
しかもそれだけではない、エンジンカウルも昨年に比べてかなり絞っているのが分かります。
私はこれを見て大丈夫なのかと不安に思いましたがそれは決勝で的中することになります。(後述)
このような感じでトップスピードに重きを置いたセッティングになりましたがどうだったのか?
FP1のスピードトラップを見てみるとレッドブルが最速で333㎞/h。
次点ではRBが1キロ差。
ホンダPUが威力を発揮しているのか?
ただRBに関してはモンツァ仕様のリアウイングでなければもっと最高速は低いはず・・・
次点ではハースと以外にもメルセデスが同じ331km/h。
この画像を見てみるとラッセルとハミルトンでセッティングを分けていたみたいです。
最高速を記録したのは恐らくラッセルの方です。
ワースト3はマクラーレン、アルピーヌ、アストンマーティンの3チーム。
メルセデスPUでは仕方ないのかもしれませんが、マクラーレンとアストンマーティンの2チームは高速コーナーが速かった。
この2チームはこのコースでもコーナリングマシンという立ち位置だったのかと思います。
ストレートが伸びない分ダウンフォースは多いと思うので、タイヤには優しい車になっているはずです。
問題はアルピーヌが使用するルノー製エンジン。
アルピーヌは10㎏の重量超過と空力的なアドバンテージもありますが、高速サーキットでも遅かったので少し心配になってくるレベルです。
予選から見るデータ
予選は先述の通りフェルスタッペンがダントツのポール獲得。
フリー走行でトップタイムをたたき出していたアロンソは結局レッドブルとフェラーリの2強に届かず。
その後ろに2台のマクラーレン。
高速コーナーが多いセクター1はフェラーリと同等かそれ以上のパフォーマンスですが、ストレートが続くセクター2以降はどうしても厳しくなってしまう。
メルセデスはトップスピードよりのセットアップにしているからなのかセクター1のタイムが伸びてこない。
ラッセルよりも若干ハイダウンフォース仕様のセッティングをしているハミルトンは全セクターでラッセルよりも遅かった。今後が心配になる結果になってしまいました。
トップ5に唯一割って入った角田。
ペラペラのリアウイングで運転しづらそうでしたが上出来といえる結果でしょう。
ただ、ローダウンフォース仕様にも関わらずストレートの長いセクター2・3が遅かったのはマシンのポテンシャルなのか?
決勝データ
決勝も前述の通りフェルスタッペンが後続を大きく突き放して余裕の2連勝。
フロントロースタートのルクレールは序盤でペレスにオーバーテイクされてからはレッドブルの2台に全く歯が立ちませんでした。
しかしファイナルラップですり減ってきたハードタイヤでファステストラップを記録することができる辺りにルクレールのドライバーとしての力量を感じました。あるいはタイヤの持ちが昨年より良くなっているのか?
上図のラップタイムの幅を表した表を見てみると、やはりレッドブルのラップタイムにほぼ差が無いことが分かります。
次点でフェラーリとマクラーレン。
ラップタイムに大きな差が無くなってきたフェラーリ、マシンが昨年より大きく前進していることを意味しています。
そして意外だったのがアストンマーティン。
決勝では予選ほどの力強いパフォーマンスは見受けられませんでした。
理由の一つとしてはやはりメルセデスから供給を受けているギアボックスとサスペンションでしょう。
リアサスペンションのストローク幅が狭いので、タイヤを早く傷めてしまっていると考えられます。
意外なチームはもう2つ、ハースとザウバーです。
ハースはテストで徹底的にタイヤに対する理解を深めてきた成果が出てきたように思えます。
ダメージを追っていたマグヌッセンがRBよりもペースが若干よかった。
昨年までは予選ペースだけはよくて決勝はズルズルと後退がお決まりでしたが、今年はタイヤのデグラを克服したかのように見えます。
賛否はありましたがヒュルケンベルグを逃がすために取った戦略も見事に作用させていました。
どうあろうと結果は結果なので作戦勝ちだと私は考えます。
ザウバーもペースは悪くありませんでした。
昨年まではリアのスタビリティに弱点を抱え、リアタイヤを早くダメにしてしまっていました。
ザウバーのリア内部機構です。
赤線はリアサスペンションのプッシュロッドです。
メルセデス製のサスペンションユニットよりも高い位置に取り付けられていて、ストローク幅があります。
エキゾーストパイプ(青丸)は空力特性を損なわないように平たく作られています。
自社製ギアボックスの成果が徐々に表れていることを感じさせます。
RBにとっては最悪の週末だったかもしれません。
今回の敗戦は過去の焼き直しのような結果だったと思います。
ミディアムのペースはそこそこ良かったのです。
ストロールのクラッシュ後にピットインしハードに履き替えたストラテジーも決して間違いではありません。
今回は単純にマシンにパフォーマンスが無かったと思います。
特にハードタイヤを履いた時のペースの悪さは昨年と全く変わっていないと思います。
それに加えてモンツァ並みのリアウイングがここで足を引っ張る結果となってしまいました。
高く配置されているノーズのせいで前面投影面積が多くなり、それを打ち消す意味での今回のセッティングだったとは思います。
しかしそもそもフロントウイングが高いので、フロントダウンフォースが少なくフロントが入らない。
今回は全体的にアンダー気味のマシンに仕上がってしまいました。
曲がらない分余計にステアリングを切らなければいけないので、タイヤにストレスが掛かり早くタイヤを傷めることになる。
角田に関してはマグヌッセンを抜きあぐねた結果と上記のセッティングのせいでタイヤが持たずズルズルと後退してしまったのだと考えます。
トップスピードは関係ない!?
最後に各ドライバーのレース中のトップスピードのベスト15を表にしたものです。
これを見て皆さんは何を感じますか?
私の考えを述べると、トップスピードが高い=順位が高いとは限らない
ということです。
むしろ、上位陣のトップスピードは下から数えた方が速いまであります。
2011年のイタリアGPを思い出してください。
優勝はベッテルですが、彼が乗っていたRB7のエンジンはルノー製でした。
その当時のルノー製エンジンはグリッド上で最も非力なエンジンと称されていましたがベッテルは勝ちました。
結論何が言いたいのかといいますと、ストレートよりもコーナリングでタイムを稼ぐことが如何に重要であるかということです。
次回のオーストラリアもストレートが長いパワーサーキットですが、それぞれのチームがどのようなアプローチを取ってくるかに注目しましょう。
コメント