日本グランプリが終了してはや一週間が経過。
まだまだ余韻に浸っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかしレースは次の舞台にもう移っています。
バーレーングランプリが始まります。
前回はフェルスタッペンのスーパーラップによるポール獲得。
厳しいと目されていたレースペースはクリーンエアーと風向きによって助けられ今季初優勝。
フェルスタッペンによる週末でした。
フライアウェイということで、まだアップデートが不十分なので、勢力図の変化は起こりづらいか。
それともこのサーキットに大型アップデートを持ち込んだチームはいるのか?
ウイングセッティング確認。

トップ4のウイングセッティングはミディアムロー気味のチームがほとんど。
マクラーレン・フェラーリ・メルセデスの3チームはロワフラップがV字カット。
メルセデスは中央部の捲れがマクラーレンとフェラーリに比べ大きい。
しかしメルセデスはその分、アッパーフラップが中央に向かって包み込む形になっているので、決してリア全体の空力効率で劣っている訳ではないようです。
レッドブルは前戦の鈴鹿でリアダウンフォース不足に加え雨用セッティングで走った角田。
雨は降らず、ストレートで付いていけなかったという厳しいレースになりました。
バーレーンは全く雨が降らないわけではありませんが、限りなく晴れる確率が高いので、天候によるセッティングを施される心配はないでしょう。

続いて中団勢のウイングセッティング。
トップチームに見られるロワフラップのV字を採用しているチームはありません。
アルピーヌとハースがミディアム気味のセッティングか。
この2チームはロワフラップの面積が大きく他のチームよりも重めのものを持ち込んでいるように見えます。
RBはミディアムロー気味、アストンはそれよりも少しダウンフォースが付いているか。
冷却対策
前戦の鈴鹿は気温も上がらずひんやりとした空気でしたが、ここ中東のバーレーンはその逆です。
バーレーンは暑いです、暑い日の空気は金属と同じように膨張するので、冷却効率は悪くなります。
冷却効率を施しているチームは多く見受けられました。


アルピーヌとメルセデスは排熱ルーバーを大型化して対策。
当然冷却を優先させれば空力効率はどうしても落ちます。
サイドポッドから流れて来る気流を如何に邪魔しないように配置するかが重要になります。

ザウバーもエンジンカウル側面に大型のルーバーが取り付けられています。
そしてシャークフィンの後ろに小さなルーバーが確認できます。

メルセデスには特に他の機構は確認できません。
ザウバーもメルセデスもエンジンカウルのダクト開口部は思ったより小さいです。
この部分は空力優先の形を採りましたが、メルセデス系PUは昨年を見る限り熱に弱い印象です。

アルピーヌはシャークフィンに鮫肌状のダクトが見えます。
ここから排熱された空気をウイングにぶつけて更なる気流の失速を狙っているのでしょうか?
フェラーリの正解アップデート
フェラーリが鈴鹿の辺りでフロアにアップデートを入れるとの情報が。
先週ピットを見張っていたのですが確認できず、後日確認したところ、鈴鹿ではアップデートを入れなかった模様。
しかしここバーレーンでは噂のフロアアップデートを投入してきました。
写真を見て、自分が入れて欲しいと思っていた所にアップデートが入っていました。

先ずはエッジウイングにアップデートが入っています。
フロアフェンスの突き出しは、新型のフェンス後端が丸みを帯びた形になった。
このフェンスの突き出しの目的はサイドポッドアンダーカットに気流が紛れ込まないため。
つまりアウトウォッシュを発生させる機構になるのですが、それに高さ変更をしたことで、アウトウォッシュの発生位置を変更することに狙いがあります。
段差を付けることでアウトウォッシュの発生位置が増え、より強力なアウトウォッシュが発生するでしょう。
外側のエッジウイングにも同様の事が言えます。
今期のフェラーリはあうとに並々ならぬ拘りを感じさせます。

マシンを横から見た時の形はこうなります。

そして今回一番注目して欲しいアップデートがこちらになります。
私はこのブログでも口を酸っぱくして言っていましたが、フロアエッジにアップデートを入れました。
フェラーリはフロントサスペンションをプルロッドにしたことで、リアに流れる気流の量が未知数であり正確な把握ができていなかった。
そのため、フロアエッジの面積を小さくし、そこから抜ける気流の量を少なくし、少しでも多くの空気をリアのディフューザーに届けようという設計思想を感じ取りました。
しかし開幕前のバーレーンテストでは、逆に空気量が多すぎたためリアダウンフォースが思った以上に多かった。
その為ダウンフォースが多くなる高速コーナーではポーパシングが見受けられた。
これを見て私はフロアエッジから抜く気流を増やしたらと考えましたが、今回はそれが実現する形となって現れました。
今回のアップデートでは、切り欠きの枚数が一枚増え、後端に向かってエッジの幅が少し広がった。
これによってエッジから抜けていく気流は増え、フロントとリアのダウンフォースはよりバランスが取れるだろう。
みたところ変更した範囲は狭いものの、このアップデートはマクラーレンの背中に確実に近づいた良いアップデートだと考えています。
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