先週のオランダGPはノリスの圧勝劇でした。
一週間はあっという間、次はヨーロッパラウンド最終戦のイタリアGPに移ります。
この間にも衝撃的なニュースが飛び込んできました。
ローガン・サージェントのシート喪失です。
オランダGPのFP3でのクラッシュが決め手となってしまったか。
今シーズンの残りのレースはフランコ・コラピントが代役を務めることになります。
今年のウィリアムズはマシンクラッシュによる修理費用がかなりかさんでます。
これ以上のクラッシュによる修理費用増はチームを逼迫してしまいます。
逼迫を防ぐための早めの判断をチームが下したのでしょう。
ウイングセッティングの確認
という訳でいつものウイングのセッティングの確認です。
先ずはフェラーリ、アストンマーティン、マクラーレン、アルピーヌのセッティングから。
・・・というよりこれは確認する必要があるのでしょうか?
どのチームを見てもダウンフォースを限界まで削ったウイングセッティングです。
つまりウイングフラップの角度でダウンフォースを削るというやり方には限界があります。
ここまでくるとウイングの形、いわゆるウイングの空力効率の勝負になってきます。
面白い仕様になっているのがアルピーヌとアストンの2チーム。
アルピーヌはメインフラップ翼端と下部フラップ翼端の前後幅を狭めた造りにして空気抵抗の削減を狙ってきた。
下部フラップの湾曲は無く真っすぐな形状となりこれも空気抵抗削減に一役買っています。
フェラーリもアルピーヌ同様下部フラップの湾曲がほぼない(直線的な形状)ため受ける空気抵抗はその分少なくなります。
アストンマーティンは僅かに湾曲がある、マクラーレンはオランダ仕様に比べ湾曲は小さくなりましたが、他のチームに比べて湾曲は大きいです。
前戦のオランダGPのウイングセッティングと見比べてもフェラーリの下部フラップの湾曲は明らかに変化しています。
前面投影面積が少なければ少ないほど空気抵抗が少ないのは当然のことです。
上の写真は前回のオランダ仕様のウイングの写真ですが、先ずはメインフラップがかなり持ち上がっているのが分かると思います。
フラップに付くDRSオンにした時にフラップを持ち上げる接続部の構造も重要になってきます。
接続部が大きければそれだけでも空気抵抗を生み出す要因になってしまいます。
続いて確認するのはレッドブル、メルセデス、RB、ウィリアムズの4チーム。
この4チームの中で圧倒的に目につくのはレッドブル。
やはり予想通りベルギーの際にフェルスタッペンに導入していたリアウイングを導入してきました。
あの時は急遽削ったかのような突貫工事でしたが、今回のものはシミュレーションを通して熟成させてきたものになると思います。
ベルギーの時に使用していたウイングについては下部の投稿を参考にしてください。
F1第14戦ベルギーGP。FP1・2。新たな基準となったマクラーレン、上々の滑り出し – アルボンノート (albonnote.com)
レッドブルの場合は中央と翼端の間のフラップを削り空気抵抗を減らしています。
先ほど紹介したアストンとアルピーヌとは逆のアプローチを取っています。
これでもDRSによる効果は十分に得られる、コーナーの速さはマクラーレンとメルセデスに引けを取ることが多くなりましたが、ストレートでの速さはまだレッドブルに分があります。
レッドブルが勝つチャンスはこういった高速サーキットです。
メルセデスはイギリスで導入した新型ウイングがこのモンツァでどのくらい機能するか?
抵抗が減りストレートの伸びは良くなったもののレッドブルにはまだ僅かに届きません。
RBはフロントウイングがそもそも高い位置にあるマシンで、どうしても前面投影面積が広くなってしまうので、ストレートでは他のチームに劣ることになると思います。
しかしフロントウイングの高さはフロア全体のバランスを取るという意味合いでもあるため、簡単に下げるということはできません。
下げたことによるマシンバランスの崩れの方が怖いと思います。
前戦マクラーレンを模倣したアップデートによりコーナリング性能は向上も、武器であったストレートの速度は最下位を記録したウィリアムズ。
その特徴としてサイドポッドをマクラーレン同様のポッドウイングにしたことです。
その後ろのスライダー形状もマクラーレンに寄せた形になりましたが、これによってスピードが伸びなくなったと考えられます。
長所を失ったウィリアムズに対策はあるのでしょうか?
最後にハースとザウバーのセッティングです。
前回のオランダではストレートのトップスピードが全体トップだったハース。
見た目は他のチームに比べればシンプルかも知れませんが、ハースは元々空気抵抗はないマシン。
シンプルだからこそストレートスピードだけに捉われない、総合的な性能を考えたセッティングを可能にしています。
ザウバーも翼端形状に変更が加えられていますが、こちらは翼端を斜めに切ったかのように細くなっています。
下部フラップはフェラーリ、アルピーヌ同様ほぼ真っすぐです。
前述の通りフラップを削ってきたチームも見受けられ、フェラーリと同じように前後幅を狭めてドラッグを削減しようとしたりと。
チーム毎で様々な工夫が見受けられると思います。
グランプリカレンダー屈指の高速コース
イタリアGPはイギリスGP同様F1が始まってから一度もグランプリカレンダーから外れたことがありません。
そしてモンツァはグランプリカレンダー屈指の高速コースであることは言うまでもありません。
そしてアクセル全開率は全グランプリ中最高レベルです。
このコースも抜きどころが少なくトラックポジションが重要になってきます。
強いて言うならホームストレートでDRSを使って1コーナーの前で抜くくらいでしょうか?
そのホームストレートを抜けた先の1.2コーナー”バリアンテ・レティフィーロ”に変更が加えられたようです。
どうやらコースの幅が変更されたようです。
昨年までは狭かった区間ですが、幅が広がったことによりより接近戦が可能になると思います。
クルヴァ・グランデを抜けるとセクター2に突入。
バリアン・ロッジアを抜けると中高速コーナーのレズモ。
レズモを抜けるとDRSポイントがあるので、レズモを抜ける際の立ち上がりは重要になります。
セクター3はシケインにしては速い、バリアンテ・アスカリです。
こちらもライン取りを上手く決めて立ち上がることが大事です。
バリアンテ・アスカリを抜けストレートの先に最終コーナーのパラボリカ。
こちらは長い右コーナーとなっています。
こちらも立ち上がりが重要なコーナーです。
結論、モンツァは立ち上がりが滅茶苦茶大事なコースです。
予選ではストレートスピード重要なサーキットだけに、まともに走っているだけではトップスピードで他のチームには勝てません。
どうするか・・・それはチーム同士の協力プレイです。
アタックしないドライバーは後方にいるアタックラップに入ろうとしているドライバーにトウを与えてあげるのです。
この協力プレイが大きく結果を分けたケースが、過去に幾つもあります。
チームメイト同士がギスギスしているか、協力できるのか・・・ある意味ここで関係性がはっきりすると思います。
特にアルピーヌ辺りは・・・まずそうですね(笑)
ウイングセッティングで見ていただいた通りウイングはダウンフォースを最大限に削った仕様です。
ダウンフォースを削ってもストレートが他のチームより遅いとなると少し厳しくなります。
前回余裕で勝利したマクラーレンですが、ストレートスピードの伸びは良くない。
今回は少し苦戦することが予想されます。
前回のオランダでマクラーレンを追従するようなアップデートを入れたウィリアムズ。
コーナリング性能は向上したもののかつての武器であったストレートスピードは見る影もなく、トップスピードは全チーム中最低という結果になりました。
今回はストレートスピードが重要、旧式に戻すのか?
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