金曜日セッションでは、低速コースに強いフェラーリが復調を予感させる走り。
しかしルクレールに関しては未だ苦戦気味、FP2ではターン4でまさかのクラッシュを喫してしまいました。
レッドブルのアップデートも現時点では機能しているように見えます。
FP2は赤旗の時間が長かったために各チームともに予定していたプログラムはこなしきれていないはず。
最後のフリー走行、予選とレースに向けてどのようにして合わせていくかが注目されます。
続・アップデート情報
前回レッドブルのエンジンカウルの仕様変更をお伝えしましたが、レッドブルのアップデートはそれだけにとどまりませんでした。
フロントウイングに大きな変更が加えられています。
先ずノーズ先端の形状変更。
若干膨らみのあった形から平たい形状にし左右のフラップに気流の切り分けを。
更に4枚のフラップの仕様も全て変更。
特に3枚目のフラップの前後幅を広くとり、逆に最上段の4枚目のフラップの前後幅が狭まりました。
RB20のフロントウイングはノーズをフラップ先端まで伸ばしてしまった為、フラップ左右のスロット間で流れる気流がコーナリング時に不安定になる傾向がありました。
そのためフロアに流れる気流の量も流れも不安定でした。
この仕様変更はノーズ下の流れの変更を意味しているはずです。
空力はどの時代のマシンもフロントから始まります。
レッドブルのアップデートはリアの変更のみかと思いましたが、フロントに目を向けてきたあたり流石です。
ですがニューウェイがいればもう少し早く問題を解決できたはず、このマシンはやはりニューウェイありきのマシンですから。
今回はどうやらアストンマーティンにも大きな仕様変更が見受けられます。
先ずはフロントウイング、最上段のフラップにガー二ーフラップを取り付けてきました。
最大限ダウンフォースが必要なコースなので少しでも稼げるようにしています。
フロアフェンスにも形状変更が加えられており、こちらはフェラーリの新型フロアフェンスと似通った形状。
しかし、用途としては渦の発生促進というよりも、単純にトンネル内に流す気流を多くしようとしている設計思想です。
アストンの変更はこれだけに留まらず、エッジウイングの形状とアンダーカット下の膨らみの形状を変更してきました。
エッジウイングの変更は渦流れの発生地点の変更、膨らみの形状変更はアンダーカット下で作れるダウンフォース量の増加を狙ったものと考えます。
さらにアストンはフロアエッジにも変更点が。
Zカットを切れ込みを大きく取り、フロアから引き抜く気流の量の増加、そしてそこから生まれる渦をより強力にしようという働きかけです。
チタン製の留め具はフロアエッジの剛性確保に役立つはずです。
他にもハースとウィリアムズがエンジンカウルの開口部を広く取り冷却効率の向上を目指します。
多少空力を犠牲にしてでも熱効率を優先、エンジンが壊れてしまっては意味がありませんからね。
ザウバーのフロアエッジのZカットにも変更が加えられ、切れ込みの位置が前にずれている。
チタン製の留め具にエッジ後部には切り欠きも見受けられる。
ザウバーは漸くエッジの理解が追いついてきたのだろう。
序盤レッドブル以外走らないFP3
FP3はレッドブル2台によるハードタイヤでのアタックから始まりました。
セッション開始から15分、タイムを計測しているのはレッドブルの2台のみです。
他のチームは予選に備えてタイヤを温存しているのか?
開始16分経過したところで、アストンのストロールとアルピーヌのオコンがコースイン。
この2台を皮切りに続々とコースインしていきました。
残り30分を切り予選シミュレーションが始まります。
フリー走行最後のアタック合戦です。
FP3の最速タイムはFP2に引き続きノリスが記録。
今回はピアストリも良さそうなので、予選はマクラーレンの2台が引っ搔き回してくれそうです。
今回はマクラーレンとメルセデス、そこにレッドブルが入ってくるような形になるかと予想します。
今回のセッションで目立ったのは、ターン1のビッグブレーキングでコースアウトするドライバーが続出していました。
ルクレールはFP2のクラッシュがあったからかやや慎重な走り。
予選では合わせてこれるか?
ハミルトンはセクター2でスピン。
機能に引き続き旧型のエンジンカウルでの出走となったペレス。
タイムは13番手と最早10位以下が定位置となってしまっているが・・・
予選で挽回はできるのでしょうか?
一方これだけ大規模アップデートを入れたアストンは、この先のセッションが一層心配になるようなパフォーマンスでした。
ザウバーもシャシー側面の大規模アップデートが実ったとは言い難いフリー走行のパフォーマンスでした。
Q1、ペレス・・・最悪、上位勢に起こった波乱
Q1開始時点では小雨が降っているような天気です。
しかし、路面はドライでも行けるという何とも微妙なコンディションです。
前年のポールラップは1分16秒2です。今回は1分16秒を切るのではないかというのが私の予想です。
トラックエボリューションによるタイム短縮が期待できるので、後出しが有利と書きましたが、このようなケースの場合は話は別です。
早めにコースインをし確実にタイムを出して、雨で路面コンディションが悪くなる前にアタックを済ませる必要があります。
急ぎ足でタイムをまとめに行くドライバー。
出遅れたチームは厳しい状況に。
サージェントは2度目のアタック、1コーナーでブレーキをロックさせそのままウォールにヒット。
軽度の接触だったこと、既にタイムを記録していることが幸いし何とかQ2進出。
残り6分45秒、暫定9位のペレスがまさかのクラッシュを喫してしまいました。
雨も降り続き路面状況も若干湿った状況。
この2戦で結果を残さなければいけないという状況は分かりますが・・・
とにかくあそこは無理をする場面ではないです。
これは契約解除の決定打になるかも知れません。
そして波乱はもう一つ。
ラッセルのQ1敗退です、しかし最後の最後で何故ピットに入ってしまったのだろうか?
Q1ではRBリカルドが1分17秒ジャストでトップタイムをマーク
アップデートが無いアルピーヌは終始フロントが入らないアンダー気味のマシンに苦しみ最下位を独占する形になってしまった。
ザウバー周もアップデートを活かせずQ1落ちです。
17位ラッセル、16位ペレスとトップチームから2台がQ1敗退という波乱の幕開けとなりました。
揺るがなかったマクラーレン優勢
Q2では微妙だった路面コンディションにも改善が見られ完全なドライセッション。
Q1では1分17秒だったトップタイムがファーストアタックでいきなりグッと縮み16秒台に突入。
しかも多くのドライバーのタイヤは新品ではなく中古ソフト。
新品でアタックしていれば軽々16秒台切りができそうな予感です。
二度目のアタックはQ3進出が掛かっているので流石に新品ソフトを履くドライバーが多数見受けられました。
このアタックで15秒台に突入したドライバーは5名。
Q3では15秒代前半の戦いが予想されます。
ノリスは1分15秒740でQ2トップタイムをマーク。
フェルスタッペンが続きもう一台のマクラーレンピアストリ。
4番手サインツ。
ルクレールもFP2でのクラッシュから立て直してきました。
終始挙動が不安定だったので心配でしたが、見事なリカバリーでQ3進出です。
アストンは大規模アップデートが効き2台揃ってQ3進出。
アップデートが上手くないことを遂に公式からも弄られるようになってしまったアストンですが今回は頑張りました。
その後ろにRBが2台、ハミルトンはギリギリのQ3進出。
Q3は開始直後からピットレーンに行列。
5分後に雨が降るとの予報だそう。
ピットレーンの先頭に並んだのはレッドブルのフェルスタッペン。
レッドブルはこういったところに上手さを感じます。
しかし今回もペレスが早々に敗退してしまった為に、孤軍奮闘のフェルスタッペン。
いきなり1分15秒555をマークし後続にプレッシャーをかける。
しかし、その後ろから来たノリスが1分15秒227でフェルスタッペンを上回る。
ノリスポール獲得なるか?
しかし、雨は中々降りださず、2回目のアタックに突入する。
ピアストリがタイム更新も1分15秒249でタイム更新もノリスのタイムは超えられない。
続いてフェルスタッペンが来る、タイムは・・・1分15秒273!
自己ベスト更新もノリスのタイムは破れなかった。
残り2分23秒、ここでアクシデント発生。
角田のクラッシュです。
オーバースピードによりターンアウトで外に膨らみ、コースから完全に4輪が脱輪。
芝生の切れ目に乗り上げマシンが跳ね上がり、激しくクラッシュ。
この予選だけでレッドブルグループの2台が激しいクラッシュ。
フロア構造は似通ったところがあるので、事故原因の一つもそこに関係があるのではないか?
このクラッシュにより赤旗中断。
再開後、ラストアタックを仕掛けるドライバーはいたものの、結局タイム更新の見込みがなく、無駄足となりました。
これによりノリスが今シーズン2回目、通算3度目のポールが決定しました。
マクラーレンの強さは決勝でも発揮か
フリー走行から終始一貫してパフォーマンスの良さを見せつけたマクラーレン。
セクター2はノリスが、セクター3の速さは終始ピアストリがパープルを記録し圧倒していました。
ピアストリも2位につけ12年ぶりのマクラーレンがフロントロー獲得です。
決勝のレースペースも十分なものを感じるので、この優位性は戦略で後れを取ることが無ければ、揺るがないものになるはずです。
レッドブルもフェルスタッペンが孤軍奮闘もマクラーレンに及ばず。
こちらもフリー走行から一貫して中速域が多いセクター2でどうしても後れを取ってしまい最後の最後まで改善が見られませんでした。
低速コーナーの強さを活かしてセカンドローに付けたフェラーリのサインツ。
決勝はマクラーレンとフェルスタッペンに何とか食らいつきたい。
Q2で九死に一生を得たハミルトン、しかし優勝したイギリスの時に比べればパフォーマンスは鳴りを潜めた感じです。
ラッセルの方が乗れていただけに残念な予選結果です。
ルクレールは立て直したもののこのポジションが限界か。
しかしこの順位のままだと、チームメイトのサインツにポイントで逆転を許すので、抜きにくいコースではありますが、攻めていく必要があります。
アストンの大規模アップデートは機能しているように見えますが、このサーキットではアップデートの評価はしにくいです。
次戦のベルギーで正当な評価が下されるかと思います。
低速コースに分があったRBのマシンだけに勿体なかったミスです。
次のベルギーはRBにとってかなり厳しい戦いになるため、1ポイントでも多く持ち帰りたかった。
後ろのヒュルケンベルグを抑えることがレースでの仕事となるでしょう。
F1第13戦ハンガリーGP。FP1・2。評価の難しい初日、フェラーリ復調か? – アルボンノート (albonnote.com)
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