先日のオーストリアGPでは、バトルにペナルティと内容の濃いレースでした。
フェルスタッペンとノリスの10周に渡るバトルの末に接触。
この一件で両者の仲にも亀裂が入ってしまったかも知れません。
トップ2が混乱を見せる中で、その後ろにしっかりと付いていたラッセルが今季初優勝。
通算2勝目をマークしました。
そして今週のビッグニュースとして、オリバー・ベアマンがハースと複数年契約を結んだことが発表されました。
サウジアラビアのレースを見ていて発表は時間の問題だろうと思っていましたが無事に決まって良かったです。
年齢もまだ19歳なので将来が楽しみな人材だと思います。
さて、今週は3連戦の最後、伝統のイギリスGPの開幕です。
シルバーストン・サーキットは1950年、F1が初開催された場所である非常に伝統あるコースです。
ウイングセッティングの確認
それではいつものように、ウイングセッティングの確認です。
今回はフェラーリ、マクラーレン、レッドブル、アルピーヌのウイングセッティングから見ていきましょう。
今回の写真を見て分かるように全体的にミディアムロー気味です。
フェラーリは大型アップデートで新型フロアを入れるも高速域でポーパシングが起きてしまい、高速コーナーでは他のチームよりもアクセル開度が少ないです。
そのためコーナーが速いレッドブルやマクラーレンに対して後れを取ってしまっている状況です。
フロアの理解が進めば最適なセッティングが可能なのですがこれは少し時間を要するものかもしれません。
理解が追いつけばかなりの速さを手に入れられると思いますが、今週も最適なセッティングを探すことから始まるでしょう。
序列的には4番手に付けていると思います。
今回のウイングセッティングはフェラーリ以外の3チームに比べると若干ダウンフォースが強めに思えます。
最適なセッティングを見つけるためにはそういった条件をあまりいじりたくないからでしょうか?
レッドブルは今回も薄めのウイングを用意してきました。
グランドエフェクト・・・つまりマシン自体が発生するダウンフォース量は多いので、多少寝かせ気味でもこのマシンは十分に速さを発揮できると思います。
このコースは高速コーナーも多くタイヤに掛かる負担はかなり大きいです。
ですがストレートの伸びも考えなくてはいけないという割と厄介なコースです。
そしてここ最近マシンパフォーマンスの成長が著しいマクラーレン。
こちらもレッドブル同様に薄めのウイングです。
マクラーレンは前回のオーストリアでフロントサスペンションフェアリングの変更をしています。
フロントウイングフラップも中央部分が頂点になっている旧型から、付け根から中央まで平坦なものに変更されました。
ノーズ側の気流も持ち上げても抑えつけられるようになりダウンフォース向上に貢献していました。
ウィリアムズを見習って取り入れられたサイドポッドスライダー。
ダウンウォッシュを作ることでダウンフォースを作りつつ、急降下した形状によりドラッグの軽減にも成功し課題だったトップスピード向上にも貢献しました。
マクラーレンはきっちりダウンフォースを作れているのに対し、本家のウィリアムズはドラッグの削減のみ実現している。
ウィリアムズの方はまだ理解が足りていません。
レッドブルと比較してみましょう。
マクラーレンは急傾斜になっていることで、気流の流れを急降下させダウンウォッシュをより強力なものにしています。
レッドブルのスライダーはマクラーレンに比べ滑らかな形状です。
気流の乱れはその分少ないですが、マクラーレンに比べるとダウンウォッシュは強力ではなく、スライダーによる効果は小さいです。
サイドポッド周りで生み出しているダウンフォースはレッドブルよりもマクラーレンの方が多いことを意味します。
夏休み前までアップデートが無いアルピーヌも今回は薄めのウイングでトップスピードを稼ぎに行きます。
他のチームよりもノーズコーンの幅が広い為、ノーズ下に取り込める気流の量は多くフロントで生み出せるダウンフォースが強い。
高速コーナーで大事なのはフロントダウンフォースなので、多少リアダウンフォースを削っても大丈夫です。
大事なのはストレートスピードです、軽量シャシーは入っていますが、他のチームよりかはまだ重いので、セッティングで削ります。
次に中団勢を見ていきます。
アストンマーティンは他に比べると少し重めのウイングを付けています。
ストレートスピードは速いのでこちらは逆にトップスピードを削ってでもコーナリングに重きを置いているのでしょうか?
前回のオーストリア、前々回のスペインと高速コーナーがあるコースで惨敗しています。
トップ5陥落の原因はこのコーナーリングパフォーマンスで劣っていることが原因と考えます。
RBは今回薄めのウイングです。
スペインから導入した大型アップデートは失敗に終わりここまで迷走が続いています。
オーストリアでは両者で新旧パッケージを使い分け、リカルドが新型、角田は旧型のパッケージで臨みました。
アップデート失敗の原因は取り急ぎで導入したことだそうです。
そのためアップデートに対する理解が追いついていなかったということです。
アップデート失敗で足踏みが続くRBは今週も我慢のレースになるかもしれません。
ザウバーは中々結果が出ていない状況、薄めのウイングでフェラーリPUの恩恵を受けたい。
ウィリアムズもスペイン、オーストリアと苦戦が続きます。
得意のストレートでどれだけタイムを稼げるでしょうか?
伝統のコース
シルバーストンは前述の通りF1が初開催されたコースです。
この場所は第二次世界大戦中に空軍の飛行場として使われていた場所で、戦争終了と同時に使われなくなりました。
そんな中近所に住む男性が仲間を複数人集めて、この滑走路の跡地で違法のレースをしていたというのがこのコースの始まりです。
イギリスはモータースポーツビレッジとして知られ、この国に多くのレーシングチームが本拠地を構えていることからその名が付きました。
実際F1チームの殆どがシルバーストン近郊に本拠地を持ち、シルバーストンにはアストンマーティンが本拠地を構えています。
コースレイアウトを確認してみましょう。
ラップレコードは1分27秒台ですが、一周5.891km/hはグランプリカレンダーの中で3番目に長いコースでこれより長いコースはベルギーのスパと、アゼルバイジャンのバクーのみです。
平均速度も226.4km/hと高速サーキットとして知られています。
ブレーキの使用率は全グランプリ中かなり低い。
まだ未確認ですが少なくとも前戦のオーストリアよりはブレーキダクトを小さくしたパッケージを用意するはずです。
マゴッツ・ベケッツ・チャペルの連続コーナーが有名で、ここをスムーズにクリアするためには、ダウンフォースが必要です。
しかし最高速は346.8km/hを記録するので、ストレートスピードも非常に大事になってきます。
タイヤへの負荷も非常に高いコースですので、タイヤマネージメントも重要です。
高速コーナーが多いだけに横からの負荷も大きいです。
タイヤの負荷だけでなくエンジン全開率も72%と前回のオーストリアほどではありませんが、エンジンにも大きく負担が掛かります。
イギリスGPのウェット確率は4%と低いですが、時々天気が急変することがあり、”ブリティッシュ・ウェザー”と呼ばれる気まぐれな天候にも注意が必要です。
近年のマシンはダウンフォースの量が急激に増えてきたため、多くのコーナーがほぼ全開でクリアすることができます。
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