F1第10戦スペインGP。持ち込まれたパーツ、セッティングの確認と予選決勝の展望

マシンアップデート分析

大荒れのカナダGPから2週間。

F1は再びヨーロッパに戻り第10戦スペインGPが始まろうとしています。

スペインといえばかつては第二の開幕戦として、大型アップデートが持ち込まれていたコースです。

かつてはここでプレシーズンテストが行わており、各チームとしてはデータは十分にそろっているコースでもあります。

カナダでは、レッドブルが苦しみながらも勝利。

しかし、バンピーな路面に対しては弱いという欠点が明らかになり、今はその解決に追われている。

前回速かったメルセデス、ここでも速いことを示してまだ戦えるということを証明したい。

ウイングセッティングの確認。

では、早速ウイングセッティングの確認に入っていきます。

引用元 https://twitter.com/AlbertFabrega

先ずはトップ4の確認からです。

チームの中でもウイングセッティングが分かれています。

レッドブルはかなりリアウイングのフラップが立っていることが分かります。

レッドブルは立て気味にしてもDRSのゲインを受けやすいので、多少立て気味にしても大丈夫だといういつも通りのセッティングです。

タイヤ負荷が高いこともありダウンフォースを多めにするセッティングにし、舵角を少なくしタイヤライフを少しでも稼ごうとする考えです。

フェラーリとマクラーレンも同様の考えでのセッティングだと思います。

前回のカナダではタイヤ負荷と路面温度共に低いにも関わらず、ダウンフォースをつけすぎてしまった為、タイヤの発熱が上手くいかず、予選決勝ともペースが良くなかったフェラーリ。(タイヤ内圧の影響もありますが)

しかしここスペインでは条件が逆になります。

マクラーレンはここ数戦常に優勝争いに加わっており、予選決勝共に力強いパフォーマンスをしている。

しかし、タイヤの持ちで考えた時には、上記のレッドブル、フェラーリの2チームにはまだ及んでいないのかと思います。

タイヤライフの事に加え、武器であるコーナリング性能の良さを引き出すために今回のセッティングになったと考えられます。

一方正反対のセッティングをしてきたのはメルセデスです。

前回はモナコで入れた改良型フロントウイングが上手く機能し、ラッセルが今季初表彰台を獲得。

開幕前に物議を醸していたメルセデスのフロントウイングは、もうどこにもその姿がありません。

タイヤに対して厳しいチームの好走が光った前回のカナダでしたが、今回はどのようなパフォーマンスになるのでしょうか?

引用元 https://twitter.com/AlbertFabrega

さて、次は中団勢のマシンを見ていきます。

全体的にハイダウンフォースに寄せてきた感じですが、RBだけ他のチームに比べると僅かに寝かせているように見えます。

前回のカナダはダウンフォースを削っていました。

RBのマシンはタイヤに優しいので、カナダの時にはダウンフォースを削り、より硬いタイヤの攻撃性を高め機能させようとする、正解のセッティングをしていました。

今回のスペインも他チームと比較して若干寝かせ気味。

余程発熱が厳しいのかそれとも・・・

カナダで漸くアップデートを理解し決勝は好位置で完走をすることができたアストン。

そして、前半戦は振るわなかったものの、軽量化が進んだことで、マシンパフォーマンスが向上してきたアルピーヌとウィリアムズ。

この3チームはフラップを立たせダウンフォースを稼ぐセッティングです。

大半のチームはフラップを立ててダウンフォース増とタイヤライフの長寿命化を考えたセッティングとなりました。

このコースで速いマシンは何処でも速い

そもそも第二の開幕戦だからと言って、なぜ殆どのチームが大型アップデートを入れてくるのでしょうか?

その理由にはこのコースレイアウトが挙げられています。

カタルーニャ・サーキットは低速・中速・高速コーナーが全てバランスよくあるからです。

セクター1はS字を抜けると長い右コーナー。

セクター2は最初は中速、低速のヘアピンを抜け中速の左コーナー、セクター2の最後は高速の右コーナー。

バックストレートでセクター2は終了。

セクター3は最初低速左のヘアピン(ラ・カイシャ)。

長い低速の右コーナー、それを抜けると高速の右コーナーが2つ続きホームストレートに戻って来ます。

一通りコースを説明しましたが何か気付くことはありませんか?

そうです。高速の右コーナーが多いということです。

元々このサーキットはタイヤに掛かる負荷が高いのですが、特に高速の右コーナーが多く、左のタイヤ(特にフロントタイヤ)にはかなりの負荷がかけられます。

タイヤに高負荷、高速コーナーが多いことを考えるとダウンフォースの無いチームは予選でも苦しむでしょうし、タイヤマネジメントの面でも苦戦を強いられるはずです。

では、だからと言ってコーナリングに全振りをすればいいかというとそれは間違いで、セクター3の最終の右コーナーを抜けると長い高速ストレートが待っています。

ここで簡単にオーバーテイクを許すわけにはいかないのでストレートがある程度伸びるようなセッティングということも考えなければなりません。

鈴鹿に似通っている所があり、セッティングの妥協点をどこに持っていくかが大事だと思います。

しかし、タイヤ負荷が高いことも考えるとハイダウンフォース仕様のマシンが多くなるのも仕方がないことだと思います。

セットアップの成功失敗は風のみぞ知る

このサーキットは高速コーナーが右に偏っており、左フロントタイヤにかなり負荷が掛かる。

タイヤマネジメントやセッティングの妥協点を探すという点も厄介ではあるのですが、このコースにはもう一つ嫌な要素があります。

それは、風です。

気まぐれに吹く風はこのサーキットの特徴の一つであり、前のセッションでは速く走れたので、セッティングがはまったと思っていたら、次のセッションでは風の吹き方が全く違ったことで、セッティングが全く合わなかったということがよくあるようです。

セッティングの妥協点から探さなければいけないのに、風によって適切なセッティングが都度変わるという要素が、妥協点探しを余計に難しくしてしまっています。

しかし、これを言い換えるのであれば、あるチームが外しても別のセッティングをしていたチームが、上位争いをするかもしれないという意味でもあります。

決勝当日がどうなるのかは風のみぞ知る、といったところになるでしょう。

今回は三つ巴の争いか?

今回は前回のカナダとは違って、フェラーリ、マクラーレン、レッドブルの三つ巴の争いになると見ています。

確かにメルセデスも前回は速かったですが、今回も速いという保証はありません。

フェラーリはここで大型アップデートを取り入れてくるらしいので、パフォーマンスの向上に期待です。

今年のフェラーリは前年と打って変わって、決勝のレースペースは速いが、予選ではタイヤの熱入れに苦しむというマシン。

その原因の一つとして、タイヤの内圧のセッティングが上手く機能していなかったそう。

今回のアップデートでは、内圧関係なく、予選ペースのアップを図ったものになるというものです。

前回凹凸が苦手ということが露呈したレッドブル。

レッドブルのフロア構造は複雑で、フロアトンネル内を通る気流のアウトウォッシュが他のチームに比べて強力です。

マシン自体が起こすグランドエフェクトによるダウンフォースの強さは、どのチームよりも強いです。

凹凸の無い整備された路面を走る上では今のところはまだレッドブルのマシンが最強だと思います。

しかし、ひとたびバンピーな路面のコースで走らせると、このフロアが悪さをします。

フロアトンネル内を通るアウトウォッシュは強力ですが、凹凸に乗り上げるとマシンが跳ね、フロアの床面積が広がる。

その際に正面からくる真っすぐな空気の流れとフロアトンネル内を通っていたアウトウォッシュが衝突。

その影響によりフロア内を通る空気の流れが乱れてしまう。

ここ数戦レッドブルのマシンが挙動を乱してコースアウトを繰り返したり、スピンアウトをしてしまうというシーンをよく見かけませんでしたか?

それらを引き起こした原因はこのフロア構造にあると考えているのです。

対してメルセデス等の他のチームのフロアは、確かにレッドブルほど複雑ではなく、フロア内を流れるアウトウォッシュも弱い。

しかし、それが良いように作用する時があります。

言い換えるとレッドブルは空気の流れに対して敏感過ぎる、対してメルセデス等の他のチームのフロアは良い意味で鈍感なのです。

なので強いて言えばレッドブルのマシンは風などの外的要因の変化に弱いということが挙げられます。

カタルーニャがどのような風の吹き方をするかで、レッドブルの勝率は左右されてくると思います。

コーナリングが速いマクラーレンはこのサーキットでも速いはずです。

フェラーリはこのスペインで大型アップデートを入れてくる予定ですが、この

フェラーリのアップデートとマクラーレンのタイヤの持ちにもよりますが、この3チームのマシンが最も勝算のあるマシンだと考えています。

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