いよいよ今日から第2戦目、サウジアラビアグランプリが始まります。
前戦バーレーンGPで明らかになった序列、しかしバーレーンはアクセル全開、フルブレーキングを繰り返すいわゆる”ストップアンドゴーサーキット”。
今回のジェッダは低速区間がほぼなく高速コーナーが連続する”エアロサーキット”。
ストレートのトップスピードはある程度エンジンの馬力でごまかせるものの、今回の高速サーキットではコーナリング性能、つまりマシンのトータルバランスが求められます。
前回のバーレーンから一週間。
各チームはそれぞれどのように対策してきたのか見ていきましょう。
セッティングはミドル・ローダウンフォース
- AlbertFabrega氏
が公開した各チームのセッティングは以下の写真の通りです
リアウイングのセッティングを確認していきましょう。
リアウイングは見出しの通りミドル・ローダウンフォースを採用しているチームが殆どです。
一部モンツァのように薄いチームもありますが・・・(後述)。
ジェッダはホームストレート、セクター2のロングストレート、セクター3の序盤と全開区間が多いのでトップストレートの速度は非常に重要になるはず。
しかし忘れてはならないのがところどころに見受けられる高速コーナー。
特にセクター1の高速区間は鈴鹿並みだと考えているので、ある程度のダウンフォースも必要になってきます。
フラップ形状に目を向けるとメインフラップの形状変更が目につきます。
メインフラップ中央を切り取った形状(写真ではメルセデス・アストン・レッドブル・RB)に。
ガー二ーフラップを外してDRSデルタを保とうとしているチームも見受けられる。
少しでもトップスピードを稼ぎたいのだろう。
レッドブルとRBは似て非なるマシン
レッドブルからパーツ購入、構造も模倣してレッドブルのマシンにより近くして参戦している今年のRB。
しかしそのマシンはレッドブルのマシンに似て非なるものだと私には映っています。
先ほど上げたリアウイングセッティングの写真を見ていただくと、RBはモンツァか!?と思うくらいに薄いリアウイングを持ち込んできました。
これだけ薄いとコーナーは曲がり切れるのか?
リアの挙動がふらついてタイヤを持たせることができるのか?
みていて色々な不安がよぎりました。
しかしよく見てみると、レッドブルもそれに近いウイングを持ち込んでいます。
レッドブルは大丈夫でしょうがRBは何か不安を感じる…。
その違いとは・・・
先ずこの2台に大きな違いがあるとするとフロントウイング(ノーズ)の高さ。
レッドブルは低いのに対しRBは高い。
ノーズが高ければ確かにフロアに向けて気流は多く流せますが、フロントウイングが路面と離れていることで負圧が弱くダウンフォースも少ない。
高くした分前面投影面積も増えるのでトップスピードも伸ばしづらい。
そうなるとフロントの入りが悪くアンダーステア傾向になる。
対してレッドブルはノーズ先端が路面側に湾曲した形状になっている。
フロントウイングと路面の距離は近いので負圧も強くダウンフォースもRBに比べれば多い。
角田選手が今年のマシンをフロントの入りが良いと評価していますが、それは昨年型マシンAT04と比較してのことだと思います。
アンダーステア傾向だとジェッダでは厳しいかも知れない・・・。
アンダーステアだと直進安定性は高く立ち上がりでより早くアクセルを開けられるのではとも考えましたが
上記のコースデータによるとトラクションの掛かりが良くなさそう。
このデータによるとアンダー気味のマシンは総じて厳しいレースになるだろうと私は考えています。
レッドブルは同じようなセッティングを取っているのに大丈夫なのか?
レッドブルのフロア形状は昨年から話題になっている”ダブルベンチュリ”構造ですが、そこに秘密があります。
グランドエフェクトを増進させるベンチュリ効果について解説 – アルボンノート (albonnote.com)
グランドエフェクトについてはこちらでも触れていますが、レッドブルのフロアはフロントとリアの二カ所に負圧発生ポイントがあります。
フロントフロアで多くの空気を使ってしまうのでフロント側がどうしても強い傾向にあります。
以前にも説明しましたが、これはハイレーキコンセプトの応用です。
RBのマシンはリアに改善の余地があると角田選手は語っていますが、RBのマシンがレッドブルのフロアをどこまで理解できているかが今後の焦点になるであろうと思います。
構造は似ているはずなのにRBはアンダーステア傾向のマシン、逆にレッドブルはオーバーステア傾向のマシン。
これは非常に興味深いことだと思います。
展望
サウジアラビアGPがどのようなレースになりそうか総括すると、恐らく今回もレッドブルの一人勝ちになる可能性は非常に高いと思います。
しかしそこに待ったを掛けられそうな唯一のチームはフェラーリ。
フェラーリ製PUはグリッド上で最も強力なPUです。
その証拠にフェラーリだけでなくカスタマーチームのハース、ザウバーも前回のバーレーンでは、トップスピードが非常に良かった。
DRSデルタでどれぐらいトップスピードが稼げるかにもよりますが、昨年に比べて総合的に良くなっているのでフェラーリに期待を掛けたいです。
逆に苦しみそうなチームはメルセデス勢。
PUのパワーが最も少ないというのも理由に挙げられますが、全体的に見ていてコーナリングマシンが多いとも言えます。(メルセデス・アストン・マクラーレン)
高速コーナーが多いセクター1では恐らく速いでしょうから、この区間でどれくらいタイムを稼げるかがカギになりそうだと思います。
逆に例外はウィリアムズ。バーレーン予選でのトップスピードはレッドブルに並んでトップタイを記録
コーナリングではほかのメルセデス勢と違い苦しむと思いますが、ストレートで十分にタイムを稼ぐことができれば大穴ともいえるポジションに入るかもしれません。
RBはトップスピードの改善が急務です。
そして今回も厳しいレースになるであろうアルピーヌ。
10㎏もの重量超過は前回よりも今回の方が重くのしかかるかもしれません。
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