タイヤの基礎基本 タイヤの歴史、数値の読み方分かりやすく教えます。

メカニズム(空力学・自動車構造)

タイヤは自動車の中でも唯一路面に設置している非常に大事な場所です。

しかも設置している面積はハガキ1枚分と僅かでしかありません。

そのタイヤがどんな役割をしているのかというと

四輪だけで1t以上ものボディを支えている。

エンジンで作られた動力を路面に伝えるという

簡単にお話ししましたがこれだけでもタイヤは重要な要素だということが分かりましたか?

普段車を見るときは、姿形に目が行きがちになってしまうもの。

今回はそんな縁の下の力持ち的な役割を持っているタイヤについてピックアップしていきましょう。

タイヤはどのようにしてできたのか(歴史)

タイヤは一体どのようにして生まれたものなのか?

始まりは1867年、車輪の外周にゴムを取りつけるようになり、それまでの金属、木の車輪を使っていたようです。

現在のような空気入りタイヤは、18451年にイギリス・スコットランドの発明家によって発明され特許を得たものの実用化に至らず、1888年にスコットランドの獣医師ジョン・ボイド・ダンロップ(ダンロップの設立者)が自転車用に実用化するまで使われることはありませんでした。

意外にも空気入りタイヤの始まりは自転車用からだったのです。

自動車用はフランス人のアンドレ―・ミシュランとエドゥアール・ミシュラン(ミシュランの創設者)のミシュラン兄弟が1895年に開催された総距離1,200kmのレースに使用したのが最初です。

100回近いパンクにもめげず、規定時間をオーバーしながら完走

耐久性に難があったものの、乗り心地、グリップ力、安定性が抜群に良かったことを証明しこれ以降空気入りタイヤが急速に加速し現在に至る、といった流れです。

ダンロップやミシュランは恐らく知らない人はいないと思いますが、タイヤの進化や歴史にはこういった重要人物が関わっていたということです。

数値の読み方

メトリック表示で数値が表示されているタイヤ

上記のような表示方法をメトリック表示と呼びます。

インチ表示やレター表示(アメリカなど)がありますが現代ではメトリック表示が主流です。

タイヤ幅

タイヤの幅をミリメートル(mm)で表しています。

偏平率

タイヤの高さ+タイヤ幅×100で求められる、タイヤの厚さを表す数値です。

この数値が大きければ大きいほど、厚いタイヤになります。

上記の場合

タイヤ構造

「R」はタイヤ構造でラジアル構造であることを意味します。

ラジアル構造の他にバイアス構造がありますが、現代において大抵の場合はラジアル構造が採用されています。

リム径

タイヤの内径(ホイールが付く部分)を、インチで表した数値になります。(インチ数)

ロードインデックス(荷重指数)

規定の条件下でそのタイヤ1本に掛けられる最大負荷能力(最大荷重)を示している数値です。

実際に支えられる最大荷重は、以下の表から求められます。

※負荷能力は空気圧によって変化します

ロードインデックス最大荷重(㎏ロードインデックス最大荷重(㎏ロードインデックス最大荷重(㎏
6025080450100800
6125781462101825
6226582475102850
6327283487103875
6428084500104900
6529085515105925
6630086530106950
6730787545107975
68315885601081000
69325895801091030
70335906001101060
71345916151111090
72355926301121120
73365936501131150
74375946701141180
75387956901151215
76400967101161250
77412977301171285
78425987501181320
79437997751191360

速度記号

表示されたロードインデックスを掛けた状態で、走行可能な最高速度を示す記号です

速度記号と実際に保証される最高速度は以下の通りです。

速度記号最高速度(km/h)
N140
P150
Q160
R170
S180
T190
H210
V240
W270
Y300
ZR240~
(Y)300~

※(Y)は実際に(95Y)、(100Y)等、前述のロードインデックスと一緒に表示されます。

※ZRは速度カテゴリーであり、オートウェイでは便宜上「.Z」とカテゴリーされます。

プライレーティング

バイアスタイヤ等のタイヤに表示されているPR(プライレーティング)はタイヤの強度を示します。

耐荷重強度指数で、この数値が高いほど負荷強度が高くなります。

一般的に知られているのは、タイヤ幅・偏平率・リム径(インチ)くらいだと思いますが、タイヤにはこのように色々な数値から情報を読み取ることができます。

この機会に是非覚えましょう。

F1におけるタイヤ

現代のF1におけるピレリタイヤ

モータースポーツにおけるタイヤは一般道よりも明らかに高負荷での利用となり

高いコーナリング性能と高い速度域にも耐えられる耐久性が必要です。

F1におけるタイヤの歴史を振り返っていくと

1950年代イタリアの「ピレリ」とイギリスの「エングルベール」の2社がタイヤを供給
バイアスタイヤが使われ幅は細く大径でワイヤーホイールが主流。
ロールを誘発させてグリップを稼いでいた。
この2社供給の時代が過ぎるとイギリス「ダンロップ」の独占供給が開始。
60年代60年代中期になるとアメリカの「グッドイヤー」「ファイヤーストーン」が供給を開始し、ダンロップとのタイヤ戦争が勃発。
この頃から、排気量が倍となったマシンに対抗すべくワイドトレッドタイヤが出現。現在でも見慣れたタイヤの姿が出現。当初のタイヤは溝付きだったが、後にスリックに変更。
マシンにウイングが付き、ダウンフォースを利用するようになり、コーナリング性能が大幅に向上。
70年代スリックタイヤの登場によりF1におけるタイヤ技術は大きく前進。
1971年のスペインGPで初めてスリックタイヤが使われた。
70年中盤まではグッドイヤー優勢だったが、77年に「ミシュラン」が参戦し状況が一変。
フランス「エイボン」ピレリの復帰により4社がタイヤを供給。
更にミシュランはルノーにタイヤを供給、F1にラジアルタイヤを持ち込み始める。
80~90年代80年代に突入してもグッドイヤー優勢だったが、1997年に「ブリヂストン」が参戦。
97年の終わりにスリックタイヤを禁止。コーナリング速度低下のため、溝付きのグルーブドタイヤの使用を義務化。
98年はブリヂストンを履くマクラーレン対グッドイヤーを履くフェラーリの対決が勃発
最終的にマクラーレンがドライバー・コンストラクター共にタイトルを獲得し
グッドイヤーは33年に渡るF1タイヤ供給から撤退。
2000年~現代19991年から2年間はブリヂストンによるワンメーク。
2001年からミシュランが復帰。ブリヂストン対ミシュランによるタイヤ戦争勃発。
2004年まではブリヂストンとフェラーリによる密接な提携によって1強体制を築くも
2005年タイヤ交換禁止により一転。
2005年は19戦中18勝がミシュランタイヤによるものだった。
2006年に2年連続でタイトルを獲得したミシュランは撤退。
2007年~2010年まではブリヂストンのワンメーク。
2011年から現在に至るまでピレリによるワンメークが続く。

普段の日常生活で目にしているタイヤはトレッドパターンが付いている溝付きのタイヤですが

F1等の多くのモータースポーツではスリックタイヤを使用しています。

スリックタイヤの利点は、溝を無くすことで路面との接地面積を大きくすることによってグリップが向上しコーナリング性能が良くなります。

逆に接地面積が広くなる分転がり抵抗が大きくなる、つまり路面との摩擦が大きくなってしまいストレートのトップスピードが伸びづらくなります。

それだけでなくタイヤの寿命低下、燃費の悪化にも関係してきます。

溝の有無に限らずタイヤの太さもコーナリング性能や転がり抵抗に大きく関係があり

タイヤが細ければ転がり抵抗が少なくストレートも良く伸び、燃費も向上します。

エコタイヤが細いのは以上の理由が考えられます。

逆に細い分接地面積が小さいのでコーナリングは苦手です。

普段攻めるような走りをしなければ特に影響はない程度の欠点なので安心してください。

太いタイヤのメリットデメリットは細いタイヤの真逆と考えてください。

現在はピレリによるワンメークとなっています。(2027年まで契約を延長

ピレリタイヤに関して賛否はありますが、現在のF1においては”ショー”としてのタイヤを必要としており、適任がピレリだということではないでしょうか?

ブリヂストンもサプライヤーとして入札はしましたが残念ながら、復帰はなりませんでした。

ドライバーたちはブリヂストンの復帰を熱望していましたが。(笑)

ということで以上、タイヤの歴史・数値の解説を終わります。

燃費向上や経済性を考えている方は、是非タイヤ選びの際に参考にしてください。

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