バーレーンテスト2024終了。それぞれのチームを振り返ってみる(第一弾)

マシン分析

今年も無事にバーレーンテストが終了しました。

2日目に排水溝の蓋が取れてしまい午前セッションがそのまま終了。

3日目の午前セッションでも全く同じ場所が再び取れてしまい開始早々赤旗

約8時間ぶっ通しでテストを続けなければならないというアクシデントがありました。

全体的に見ていてメルセデスPU勢のトラブルが目立っていましたがそれ以外はまぁ・・・

各々のチームの計画通りプラクティスを完了させられたのかな、と思いました。

今回は、テストでの経過や気になった構造部分を含めて、4回に分けて振り返っていきたいと思います。

タイヤの理解に力を入れたハース

一番最初に振り返るのは昨年コンストラクターランキング10位のハース。

今回のテストではタイヤの理解を深めることを目的にしていると明言していました。

昨年のハースは予選は速いものの、レースではタイヤが持たずズルズルと順位を下げていた。

今回のテストではC5のコンパウンドを一つも持ち込まず、ロングランのタイヤ消耗に焦点を置いたテストを中心に行っていたように見えます。

小松さんが代表になって初の実走の場となりましたが、

初日に148周3日目には169周を走り全チーム中最多となりました。

アタックラップの順位はトップ10に入っていませんが、これといって大きなトラブルはなく十分なテストを行うことができたのではないかと思います。

マシンに目を向けると、フロントウイングはカーボン地から外側にかけてセパレーターが装着されています。フラップ面積は外側に行くにつれて狭くなり、翼端板付近にはAMR23のように細くなっています。

昨年のフロントウイングは翼端板付近が細くなっていないので、全体的にアウトウォッシュを強化した作りになっています。

ここで一つ気になる点がありました。

フロアフェンスの形状ですが、一番内側のフェンスと二枚目のフェンスの間隔が広くなっています。

レッドブルと同じような方式を採用してきたということです。

今回のテストではフロア形状は明らかになっていませんが、間違いなく変えてきていると思います。

もう一つ気になる点がありました。

それは翼端板のカナードが波打つ形状になっていたことです。

カナードの上下2カ所に渦流れを作りたいのでしょうか?

RB19の要素を取り入れるも不発だったウィリアムズ

今回シェイクダウンが最も遅かったウィリアムズ。

コンセプト変更による開発遅れが原因と語っていましたが、新車発表とは違ったソリューションを盛り込んできました。

ウィリアムズの変更点については下記のリンクをクリック

2024年バーレーンプレシーズンテスト開幕。少しずつ明らかになる勢力図 – アルボンノート (albonnote.com)

他チームと違う部分としてフロントウイング翼端板のカナード形状が太い。

カナードで発生した縦渦を上下に分けて流そうとしているのでしょうか?

・・・それともカナード下に負圧を作ってフロントウイングの端の空気を引っ張ってアウトウォッシュを作り出そうとしているのか。

ウィリアムズは今年も至る所にフロービズを塗りたくっていました。

フロントウイングと路面の間隔が狭い。

前面投影面積を抑えつつ負圧を強めたいのだろうけどフロアにまで空気が届くのか…

ステアリングロッド前側とアッパーアーム前部前側にはフロービズが沿うように付着(赤矢印)

しかし、真ん中あたりで一度分離、ロッド後部で再付着(青矢印)

プッシュロッドとノーズの接続部にはアップウォッシュとダウンウォッシュの境目が確認できます。(黄色矢印)

プッシュロッド接合部で僅かに気流の乱れが確認できます。(矢印緑)

サスペンションを抜けた気流はアンダーカットに向けて気流を吹き付けるように流れる。(紫矢印)

水色矢印部分は圧力がアンダーカットよりも低いため、インテークに向けて気流が引き上げられている。

アンダーカット前半はフロービズが全体的に薄くダブルフロアとしての役割が期待できる。

フロアエッジ後方はもっと拡大された図が欲しいところですが、綺麗に流れていると思います。

フロービズは、薄く色が残った部分は流速が速い(低圧)

逆に濃く残る(流れが悪い、高圧)部分は流速が遅いということになります。

今回は全体的にレッドブルのコンセプトを踏襲しているチームが多いので、あまり大差が付きませんが、フロントウイングの形状、サスペンションの配置の差で変わってきます。

中でも一番のアップデートはステアリングでしょう。

ついにステアリングとスクリーンが一体化されました。(笑)

https://twitter.com/WilliamsRacing/status/1760939887690203491/photo/1

レッドブルの構造を取り入れてどうなるのか気になるところでしたが、実際に蓋を開けてみたら期待外れだったのかなというのが正直な感想です。

初日の午前には早速アルボンのマシンが燃料ポンプのトラブルでストップしてしまいました。

その際に吊り上げられ早速フロア構造が明らかになってしまいました。

昨年同様にシンプルな構造です。

去年のものに比べてセンターラインが広くなっています。ですがディフューザーとは繋がっていないように見えます。左右のトンネルから流速の速い気流を引っ張り上げる形でしょう。

ビームウイングのアッパーフラップは薄く接続部として扱い、ロワフラップの角度でダウンフォースを確保しようとする手法は去年と同様です。

午後にはサージェントが、ターン10でスピンアウトを犯してしまいました。

アンチダイブ機構はあるのですがブレーキングの荷重移動によってフロントが沈み込みフロアと路面の隙間が無くなりダウンフォースを喪失してしまったのが原因でしょう。

そしてサージェントにはドライブシャフトのトラブルが起きてしまいました。

メルセデス製は今年は信頼性で不安があるような気がします。

3日間振り返って、幾度となくコースアウトしたり、ブレーキングでロックアップしオーバーランをしてしまうという場面がありました。

FW46の印象は全体的に不安定で乗りずらそうだという感じです。

一つの要因として考えられるのは、リアサスペンションを昨年に続きプルロッドにしているからなのではないかと思います。

2022年のレギュレーション変更でギアボックスの規則も変わりました。

プルロッド式ではギアボックス内にロッドを通さないといけない設計なので、スペースがなくレイアウトの自由度がありません。

ギアボックスレイアウトはフロアの設計にも影響してくる大事な要素。

フロアに手をかけたくてもかけられない状況が続いているのが現状でしょう。

RB19のコンセプトを取り入れているものの、それが全く生かせていません。

やはり外側だけ真似するだけではなく中身も真似しなければ駄目ということでしょう。

テストはあてにならない?

今回はハースとウィリアムズの2チームを分析していきました。

2チームとも最速ラップのタイムは良いといえるものではなかったです。

当然テストの目的はチームごとによって違いますし、タイヤの戦略によってタイムも大きく変わります。

特にバーレーンは砂漠地帯なので、走り出しは路面が砂で汚れていて滑りやすい。

しかし走り込めば走るほど路面は改善されていいタイムが出るようになっていきます。(トラックエボリューション)

ハースは多くの周回を重ねることができたので、データはたくさん取れているはず。

逆にウィリアムズは周回を重ねることができなかった。

開幕までにどんなアプローチをとって改善に持っていくかが見どころでしょう。

あくまでテストはテスト。

ここで速かったからと言って来週の開幕戦も速いとは限りませんし何とも言えないところです。

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