いよいよ2024年シーズン開幕戦まで残り一週間となりました。
その前に毎年恒例のプレシーズンテストが今日から始まりました。
新車発表時のマシンとテストに持ち込まれたマシンは、少なからず違う点が多々見られました。
今回持ち込まれたマシンの詳細と一日目の午前セッションの様子について触れていきたいと思います。
やはり隠していたレッドブル
先ず、新車発表でゼロインテークのマシンを発表したレッドブルRB20のサイドポッドは、インテークが2カ所も存在していました。
冷却効率が良くなったレッドブルにとってはインテーク開口部がこのくらいあれば十分ということなのでしょうか?
更にレンダリングではなかったハロの後ろには開口部が設けられました。
ハロ後部の開口部はチムニーダクトのような形状になっており、排出口がディフューザーに向けて流れるような形になっています。
サイドポッド上部とアンダーカットの流れと合流させてディフューザー上面に気流を流し、リアの空力効率向上の狙いがあると考えられます。
そしてこの画像からは分かりづらいと思いますが、レンダリングで隠していた、フロアエッジ形状が明らかになり切れ込みがさらに大きくなりました。
インウォッシュによるフロアシーリングが恐らくより強力になるでしょう
アンダーカット後端も持ち上げられ、よりサイドポッド上部から流れてきた気流との関係性が密になるでしょう。
レンダリング画像と比較するとより違いが分かりやすいと思います。下をタッチして確認してみてください。
レッドブル2024年マシンRB20。今年の目標はシーズン無敗!? – アルボンノート (albonnote.com)
テストに持ち込まれたマシン
全体的に見てみるとノーズ形状が平たく幅広なものを採用しているチームが多いです。
ノーズ下の面積を確保することで、気流を多く流しフロアダウンフォースをより強めることが期待できます。
ノーズから流れてきた気流はフロアフェンスを通じてフロアに流れ、シャシー上部との圧力差でダウンフォースを生じさせます。
フロアフェンス形状が気になったのはこの2チーム
ビザキャッシュアップとハースです。
ビザキャッシュアップのレンダリング画像では、フロアフェンスの形状が三枚とも平行で間隔が一緒でしたが、テストに持ち込まれたマシンでは、RB19に見られる1枚目ともう2枚の間隔が開いていました。
内側は気流をフロアトンネルに向けて多く流しリア側の最大負圧発生ポイントまで流す。
外側は、フロアエッジに向けて排出しインウォッシュによるフロアシーリングを狙います。
ハースもRB19系統のフロアフェンスを持ち込んできたことが確認できます。
メルセデスW15のフロントウイングはシェイクダウンの時から話題になっていましたが、フラップ最上段の接続部がワイヤーのように細くなっています。
フロアに向けて気流を流そうとしているようですが、これが合法であるかどうかは別問題になってきます。
このウイングはたわんでいるようなので、フレキシブルウイングの疑いが掛けられています。
ウィリアムズも大幅変更
中々シェイクダウンをしなかったウィリアムズ。
チーム側は開発に遅れが生じていたことを認め、テスト間近で漸くシェイクダウンにこぎつけることができました。
中には他チームの模倣を企んでいるのではないかという憶測が飛んでいましたがそれは違ったみたいです。
しかし、公開されたマシンはRB19に限りなく近づいたものでした。
ノーズは丸みを帯びた形状からトレンドでもある平たく幅広の形状に。
フロアエッジも大きな捲れが設けられました。
サイドポッドアンダーカットの面積が拡大。
サイドポッド上部にはスライダー形状が設けられています。
このスライダー形状の窪みは他チームに比べて深く、よりダウンウォッシュを強力にした仕様になっています。
なるべく真っすぐに気流を流そうとしていた去年のコンセプトとは全く違ったマシンデザインになっています。
それだけではなく
レンダリングでは確認できなかった、アンダーバイト(サイドポッドインテーク下の張り出し)が導入されているのが確認できました。
リアウイング翼端板下部には、昨年流行していたスウェッジラインも取り入れられています。
リアサスペンションはメルセデスから購入していますが、プルロッドのまま。
本家メルセデスはプッシュロッドを採用しているので驚きです。
これがリアの空力にどう影響を与えるのでしょう?
ウィリアムズのレンダリング画像はこちら
【ギャラリー】ウイリアムズF1 2024年型マシン『FW46』カラーリング – autosport web (as-web.jp)
答え合わせの時間
私にとってプレシーズンテストとは。答え合わせのようなものだと考えています。
昨年から開発してきたコンセプトは機能しているのか?合っているのか?
チームとドライバーにとってはその確認作業だと思います。
もちろん問題なく周回を重ねてより多くのデータを取ることが、開幕に向けた理想的な展開です。
ここで速かったからと言って、開幕戦が本当に速いとは限りません。
特に今年RB19を模倣したチームが多いので中々違いを見極めるのは大変だと思います。
といっても細かい部分には違いが出ているので、今回のテストで私は、細かい機構の見極めをするようにしています。
ここまで違いが出ないとなると、重要になってくるのが内部構造ですが昨年のモナコのようにマシンが吊り上げられてフロアを露出するようなことが無いと、正直確認することは難しいと思います。
プレシーズンテストで多少は明らかになることはあると思うので、そこから少しずつ分析できれば、と思います。
次回は実際のテストについて触れていきたいと思います。
今回もご覧いただきありがとうございました。
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