2024年新車発表もいよいよ大トリ。
最後のチームは昨年もチャンピオンになったレッドブルです。
昨年のパフォーマンスは、2022年以上に強烈で、優勝できなかったレースは23戦中1戦のみという信じられない大記録を打ち立ててくれました。
マシンパフォーマンスももちろんのことながら、フェルスタペッンのテクニックが最早神格化される領域まで達しているのだろうと思います。
伝説のマシンになったRB19
現在のレギュレーション下において、他のチームがこぞってRB19のソリューションを真似するほど優れているマシンであることは今更いう必要がありません。
先ずは、フロントサスペンションのアンチダイブ機構。
アッパーアーム前部を後部よりも高くすることでブレーキングの際の沈み込みによる、フロントウイング間の気流のストールを抑えています。
それだけでなく、フロントウイングで跳ね上げられた気流を綺麗克つスムーズに流す。
高いところ(アッパーアーム前部)から低いところへ(アッパーアーム後部)に流すことで気流の乱れを抑えるように流しています。
RB19はサスペンションのV字角も広いので、跳ね上げられた気流も逃がしません。
次にサイドポッドインレット下の張り出し。
フロントウイングから跳ね上げられた気流を抑えてアンダーカットに確実に気流を持っていくためのソリューションは、マクラーレンを始めとする、多くのチームがアップデートを通して導入しました。
今年の新車にも大抵のチームがこれを導入しています。
そもそも、RB19のフロントウイングのメインフラップの前後幅は狭く、気流の上昇が緩いためフロントサスペンションだけでも十分に気流を抑えつけることができています。
ノーズは、極端な話、逆三角形のような形になっていて、流れてきた上昇気流を左右に切り分け、アウトウォッシュを促進しながらフロアに向けて流し込むようにしています。
そして、昨シーズン最も注目されたフロア形状は負圧発生ポイントが前後に二つずつ、いわゆる”ダブルベンチュリ”構造になっています。
フロントの負圧発生ポイントはどのチームよりも前にあり、フェンスを通過した気流はフロアエッジに向けて排出されるものと、フロア内部(トンネル)を通るものの二手に分かれていきます。
フロアエッジ形状はZ型の切れ込み形状にし、排出する空気量を確保しながら、インウォッシュとしてフロアシーリングに貢献する。
メルセデスやマクラーレンは昨年からこれを追随し、切れ込みの幅や枚数を変えるなどして、試行錯誤を繰り返す形となりました。
これも今年の新車の多くが導入していました。
フロントダウンフォースは強くなる分、そこで大量の空気を使ってしまうので、リア側の空気量がどうしても少なくなってしまいます。
そこでフェンスの最も内側と二枚目の間隔を開け、フロアトンネルに流れる空気量を確保する作りになっています。発生するアウトウォッシュの量も増やし再びトンネル内部に空気を供給しています。
このアウトウォッシュは周辺の空気の乱れを取り込みながらトンネル後方へ進んでいきます。
センターフラットエリアの負圧を守ることで、安定したダウンフォースを供給している一つの要因でしょう。
リア側のキックポイントの前にはフロアエッジに気流を逃がす機構があり、その流れはエッジ後方とディフューザー向けて流すものと分けられています。
レッドブルのフロアについてはこちらでも少し触れているのでこちらも参考にしてください。
グランドエフェクトを増進させるベンチュリ効果について解説 – アルボンノート (albonnote.com)
RB19といえばトリプルDRSといわれ、DRSを作動させたときのストレートの伸びが凄かったです。
この要因としてアッパーフラップの面積が大きいことが挙げられます。
それだけではなく、ビームウイングのアッパーフラップの面積が大きかったこともDRS効果の向上に貢献していました。
RB20
シルバーストンでシェイクダウンされている動画がリークされていましたが、そのマシンの形には、驚愕するばかりでした。
本来サイドポッドの役割は、ラジエーター等のクーリングをするものであって、空力パーツとして扱われるものではありません。
しかし、現行レギュレーションではバージボードが無くなったが為に、サイドポッドがその役割もこなすことになり、空力パーツの一部という見方が近年では強まっています。
しかし、このRB20に関しては完全に空力パーツとして扱っています。
メルセデスW14と同じ構造です。
アンダーカット下にインレットと思わしきものが配置されています。
しかし、これではインテークに取り込める空気量は限られてくるでしょう。
W14はゼロポッド。
RB20の場合サイドポッドはあるので、私はこれを”ゼロインテーク”
と呼ぶことにします。
狭いインテークを補うものとしてRB19に比べ、インダクションポッドの面積が全体的に広くなりました。
恐らくはセンタークーリングを採用していると考えられ、冷却システムがマシンの中央に寄っているのではないかとも考えられます。
ゼロインテークにしたのも、PUの排熱が昨年のシーズン中に改善され、冷却効率がかなり良くなったという情報を得ているので、恐らくそれが今回の構造に関係していると見ています。
そして、動画でリークされていた通り、エンジンカバーがW14のように、左右に膨らみが付いた形状になりました。
気流を直線的に流すことでリアウイングの空力効率の上昇を狙っていると考えられます。
その他の機構に大きな変化は見られませんでしたが、昨年トレンドになったフロアエッジのZ型の切れ込みは付いていませんでした。
あくまでレンダリングなので、恐らく実車には付いているとは思います。
コンセプト一新で目指す完全勝利
昨年をたったの1敗で終えることができたレッドブルの次なる目標はシーズンを無敗で終えることになるんじゃないかと思います。
レッドブルファンとしては是非実現してもらいたいはず。
・・・とは言ってもどのマシンにもメリットデメリットはつきもの。
どんなに速いマシンであっても全てのコース特性が得意というマシンはまだ見たことがありません。
私はあまりドライバーの腕というものに注目はしませんが、全勝を目指すとなるとそれはきっと無視できない部分になってくのではないかと思います。
といってもコンセプトが一新されたRB20でそれが実現できるかは分かりません。
コンセプトを変えるということは、外すという可能性もあり、そうなればチャンピオン争いどころか最悪中団に沈む可能性も否定できないということです。
ニューウェイ自身はRB20のできに自身を持っているみたいですが、どうなのでしょうか。
とりあえずこれで10チーム全ての新車発表が終了しました。
バーレーンでのプレシーズンテストは2月21日(水)~23日(金)までの三日間で行われます。
どのチームが速くて、コンセプトを当てたのか。
その時を楽しみに待ちましょう。
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