新車発表の第3弾は今、チーム名で話題が持ちきりのビザキャッシュアップです。
略称名は?いったいどうやってこのチームを呼んだらいいのか?
それはまだ私にも分かりません。
チーム名には批判多数といったといったところですが、こういった批判はマシンのパフォーマンスで黙らせてしまえばいいと思います。
既にネット上では、マシンの一部がリークされてしまったことで、楽しみが半減されてしまったような気持ちになった方もいらっしゃるとは思いますが
実際に公開されたマシンはどのようなものなのか?
最悪のマシンから入賞争いへ
バーレーンテストに持ち込まれたAT04は見た目もさながらマシンパフォーマンスもそれはひどい物でした。
ストレートは遅い、コーナーは曲がらない。
このチームの出だしは最悪なもので、全く躍進の兆しが見えないほどでした。
特に低速域でのコーナー進入時のスタビリティに大きな問題を抱え、ドライバーたちは中々ラップタイムを縮めることができませんでした。
課題解決のため、全チーム中最多のアップデートを敢行しましたが、どれも効果の無いものばかりかそれがドラッグ増につながってしまい、ストレートが全然伸びませんでした。
この原因として今まで積み上げてきた空力概念をことごとく無視した作りをしてきたから
ドラッグを減らすには先ずマシン周辺に流れる空気を乱さないこと。
フロント側に当たった空気はマシンの形状通りに動いてくれますが、フロントに比べてリア側はボディの曲率が強いので、後方は回り込む乱流ができます。
アルファタウリのフロントウイングのメインフラップ(最先端)の前後幅が長く、気流の流れがアップウォッシュ(上向き流れ)で終わっています。
アルファタウリはフロントウイングが全体的にアップウォッシュを作る形状になっています。
本来アップウォッシュになった気流を、フロントサスペンションを通して抑えるという形になりますが
上の写真の通り、AT04のフロントサスペンションは前後幅が狭いため、気流を抑えきれていません。
それではフロアダウンフォースが機能しないのでコーナリングがもたつきます。
実際AT04は酷いアンダーステアに悩まされました。
一部の気流は車体上部に逃げ、一部の気流の流れはいったん途切れてしまう。
残った気流がフロアやフェンス周辺に流れ込みますが、空気量が少なすぎます。
そして抑えきれなかったアップウォッシュはサイドポッド上部に逃げていきます。
フロントサスペンションで抑えつけた気流をサイドポッドアンダーカットに持っていきたいのですが、
アップウォッシュの処理が追い付かないため、アンダーカットに流せる気流も少ないのです。
フロントウイングとフロントサスペンションの構造が明らかにミスマッチでした。
翼端板は他チームに比べ直線的な作りになっており、アウトウォッシュが足りず、フロントタイヤに直撃してしまっています。
これによってドラッグが強まってしまいます。
ビームウイング形状も、開幕当初はRB19に寄せたアッパーイング重視だったものが、
次第に上下のウイングを重ね合わせ、大型ウイングのように使っていました。
ディフューザーもリアタイヤ直前のカットアウト形状も何度も変更。
リアの変更が多いところをみると、いかにリアグリップ不足に悩まされていたかが分かります。
これを象徴する機構として、リアサスペンションもプッシュロッドを使ったことにあります。
空力設計で迷走したことにより、リアグリップ不足に陥りましたが、シンガポールのアップデートではRB19のリアサスペンションを移植したことで、リアのパフォーマンスが劇的に向上しました。
鈴鹿ではRB19と似た仕様のフロアを取り入れ
メキシコではサイドポッドインレット下部に張り出しを付け、フロントサスペンションから流れてきた気流をうまく抑えています。
前半戦は全くと言っていいほど機能していなかったアップデートが
後半戦にかけてレッドブルの設計哲学を取り入れたアップデートを投入したところ見事に機能
後半戦は見事に持ち直してトップ10に常に食いつく活躍を見せてくれました。
最終的にコンストラクターズランキング8位で終えることになりましたが、来シーズンに向けて実に収穫の多かったシーズンだったのではないかと思います。
ただ、パフォーマンスの向上が遅すぎました。
その躍進がもう少し早ければ、ウィリアムズを食えたかもしれませんが・・・
VCARB 01
日本時間3時半に公開されたVCARB 01
まずこんなに長いマシンのコードネームが今までにあったでしょうか?
そしてこれまで発表してきたマシンの多くが、カーボン地が多い物でしたが、このマシンは塗装が多いです。
純粋に速さを求めるならもっとカーボン地を増やしてもいいとは思いますが・・・
それはさておき、このマシンの第一印象はレッドブルRB19に近づいたという印象です。
フロントウイングも昨年に比べれば直線的ではなくなり、アウトウォッシュに対する意識が見られる形状になりました。
フロントサスペンションはRB19からプルロッドサスペンションを購入しました。
プルロッドにすれば、プッシュロッドよりも気流の操縦性に関しては有利になります。
サイドポッド形状もRB19にかなり近づいたダウンウォッシュ型にしてきました。
ノーズが下がっている、サイドポッド形状がRB19に近づいたこと、フロントウイング形状を除けば基本的に昨年の最終戦アブダビGPに近い形状だと思います。
昨シーズン終盤にかけても、アルファタウリのアップデートは続きましたが、これはもしかすると、来シーズンに向けた新パーツのテストも兼ねていたのかもしれません。
ただ、一点心配なところを挙げるとすれば、フロアトンネルのフェンス形状です。
昨年の最終戦アブダビGPの際のフェンス形状は
一番内側のフェンスと二枚目のフェンスの距離が離れていました。
RB19に近い形で、内側のフェンスに取り込む空気量を多くし、それをフロアに流し、外側のフェンスはフロアエッジに向けて排出しフロントタイヤの乱流抑制とインウォッシュとしてフロアシーリングをする役割と分けていました。
VCARB 01のフェンス形状を見てみると、三枚のフェンスともに距離感が一緒になっています。
負圧発生ポイントが二つあるダブルベンチュリ機構を使っているので、フロントで空気を大量に使うのでリア側の空気が不足する。
そのために内側と2枚目のフェンスの間隔を開け、フロアに流す空気量を増やし、リアの空気量不足を解消する狙いがあるはずなのですが・・・大丈夫でしょうか?
フロアはRB19と似た形状を使っているので、空気の流し方の考え自体は一緒のはず、これに関しては寧ろ改悪のような気がします。
あくまでレンダリング画像なので、実車がこの形状とは限りませんが、テストまでには改善が必要でしょう。
全てはチーム次第
このチームの一番の課題は何といってもチーム、特にストラテジーでしょう。
それだけでなくこのチームがレッドブルから受け取った設計哲学を、生かせるかが躍進のカギになってくるはずです。
パーツはもちろんレッドブルから供給されますが、そのパーツをアップデートさせて速くすることができるか、これに関してはパーツを受け取ったチームの問題になってきます。
アルファタウリ時代にはほかのチームが作業しているのに、アルファタウリのスタッフだけが壁にへばりついて談笑していて、いざマシンを走らせたらすぐに止まってしまった。
というエピソードがあるので正直なところ不安ではあります。
結論を言うとどんなにいいパーツが手に入っても、それを生かすも殺すも結局はチーム次第になるということです。
昨年はあと一歩のところでコンストラクターズランキング7位を逃しているので、更なる成績向上のためには、特にチーム全体がしっかりする必要がありそうです。
アルファタウリ4年目の角田にとっては勝負の一年。
リカルドも同様、成績次第ではキャリアが終わるかもしれないという話が挙がっていますがどうなってしまうのでしょうか。
これで前半5つのチームの新車発表が終了しました。
残り5チームは昨年のトップ5。
どんなマシンを発表するのか楽しみです。
新車発表はこちらも参照
アルピーヌ2024年型マシンA524。信頼性向上で上位進出を狙う – アルボンノート (albonnote.com)
アストンマーチン2024年型マシンAMR24。手腕が問われるファローズの二年目 – アルボンノート (albonnote.com)
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