市販車分析(メーカー別) BMW編-無頓着な空力設計と絶妙な重量バランスで駆け抜ける歓びを実現

市販車分析

突然ですが皆さんの好きな自動車メーカーは何ですか?

因みに私はフェラーリ、マクラーレン、アストンマーチン、BMW・・・

失礼しました。どれもF1に関わっている、もしくは関わっていたメーカーですね。

個人的な話ですが輸入車は全般的に好きです。

特に輸入車のスーパーカーのボディラインはほれぼれするほど綺麗で、空力について実に考えられていると感心させられます。

以前このブログでも市販車についていずれは触れていきたいと話しましたが、今回は市販車メーカーを通してどんな技術や構造が使われているのかを解説していきたいと思います。

初回はBMWについて解説していきたいと思います。

初回にBMWを選んだ理由は、私の愛車だからという個人的な理由です。(笑)

BMWの「駆け抜ける歓び」というキャッチフレーズは有名ですが、ユーザーである私自身も実際に運転していてそれを感じ取ることができます。

一体どこからそれを感じ取ることができるのでしょうか?

それはやはりモータースポーツ活動を通して培われてきた技術にあるはずです。

基本情報

先ずBMWの基本的な情報として

1916年設立

BMWの正式名称はドイツ語で

Bayerische Motoren Werke AG(バイエリシェ・モトーレン・ヴェルケ・アーゲー)

直訳するとバイエルン発動機製造株式会社 といいます。

エンブレムマークの黒い丸と十字は、元々が航空機エンジンメーカーだったので、プロペラを

そして青と白はそれぞれ、青い空と白い雲を表しています。

そしてBMWにはモータースポーツの技術を詰め込んだ

BMW Mモデル

という高性能モデルが存在します。

通常のモデルに比べエンジン性能が桁違いなだけではなく、ボディ剛性やサスペンションなどの足回りがモータースポーツ仕様になります。

ベールモデルとMモデルの比較

BMW 420i(G22)BMW M4 Competition(G82)
全長(mm)4,775mm4,805mm
全高(mm)1,395mm1,395mm
全幅(mm)1,850mm1,885mm
車重総重量(kg)1,780kg1,930kg
エンジン型式B48B20AS58B30A
排気量(cc)1,998cc2,992cc
エンジン形式直列4気筒
DOHCターボ
ガソリン
直列6気筒
ツインターボ
最高出力(ps)184ps/5,000~6,500rpm510ps/6,250rpm
最大トルク300Nm/1,350~4,000rpm650Nm2,750-5,500rpm
サスペンション形式(前)ダブル・ジョイント・
スプリング・ストラット式
コイルスプリング
ダブル・ジョイント・
スプリング・ストラット式
コイル・スプリング
サスペンション形式(後)マルチリンク式コイルスプリングマルチリンク式コイルスプリング
タイヤ(前)225/45R18275/40R18
タイヤ(後)255/40R18285/35R19

BMW M社はBMWの子会社であり、高性能モデルのMモデルの開発はもちろんのこと、モータースポーツ関連の研究開発、特別・限定モデルの企画生産、更には顧客向けのトレーニングスクールの開催を行っています。

どのようなトレーニングを行っているかは   こちらをクリック

国外だけでなく日本でも行われているようです。

空力に対して無頓着!?

実を言うとBMWは空力について無頓着なメーカーです。

F1の空力について勉強し続けてきた私自身もBMWに対して唯一の不満がこのシャシーの空力特性です。

以前紹介したCD値は近年使われなくなってきたので、情報を手に入れることが難しくなってきました。

現行型(G型)になってからは改善傾向にありますが、それより前(E型、F型)はライバル社よりもかなり遅れを取る結果となっています。

実際に数値を見ていきましょう。

BMW E90

E90 3シリーズセダン・クーペ CD=0.30

E92 3シリーズクーペ CD=0.30

E90 M3セダン CD=0.30

E92 M3クーペ CD=0.31

BMW F30

F30 3シリーズセダン CD=0.26~0.27

F32 4シリーズクーペ CD=0.26~0.27

F80 M3セダン CD=0.34

F82 M4クーペ CD=0.34~0.35

まさかの高性能モデルであるMモデルの方がCD値が悪いという結果になりました。

その要因といえる所が至る所にあるのですがまたの機会に詳しく触れたいと思います。

BMW G20

G20 3シリーズセダン CD=0.23

先代に比べて空力特性がかなり良くなりました。

市販車の場合は全面投影面積の増加がCD値悪化の主な要因と考えられますが、先代よりもかなりCD値が改善されているのは流石と言ったところです。

空力性能を重視しているメルセデスの場合は

W204 Cクラスセダン CD=0.27

W205 Cクラスセダン CD=0.24

W206 Cクラスセダン CD=0.24

見ての通りBMWよりもはるかに優れた空力性能です。

こんな数値をたたき出せるあたり、やはりF1に参戦することで技術はかなり磨かれているんだろうな、ということを感じさせられてしまいます。

ですが、G型のCD値が0.23をたたき出しているあたり、さすがのBMWも空力の大切さを漸く認識し始めてきたというところでしょうか?

50:50を実現した重量配分

BMWは重量配分についてとことんこだわり抜いているメーカーだと思います。

その理由として50:50という理想的な前後重量配分を実現できているからです。

タイヤと路面の接地面積は約ハガキ1枚分程度、もちろん走行状態、荷重のかかりによって車の重量配分は常に変化します。

タイヤに掛かる荷重が変化する中でエンジンパワーを確実に路面に伝え、ハンドル操作によってダイレクトに車の向きを変えられるかということが走りの良し悪しを決める大事な要素になってきます。

BMWは前後50:50の重量配分によって、あらゆる場面で車の中心に重心がある”マスの集中化”を実現させています。

走りの基本性能を高めるために”マスの集中化”が行われているので、単に前後50:50の重量配分をしただけの車とは走行性能が全然違います。

”マスの集中化”を実現する工夫として

  • エンジン自体をフロントタイヤよりも後ろに配置する
  • 重量物でもあるバッテリーをリアに配置する

の2点が挙げられます。

まず、エンジン搭載位置についてですが

この写真を見ていただくと分かる通り、BMWのエンジンは車体の中心側に寄っています。

写真のBMWは直列6気筒エンジンを縦置きしているので長く見えますが、エンジンは車体中心にほど近い場所に配置されています。

エンジンは車の中でも一番の重量物になるのでそれを中心に寄せることで、BMWの場合フロントの最前線が軽くなるので、俊敏な旋回性能を実現している訳です。

次にバッテリーをリアに配置している件についてですが

従来の車であれば、エンジンルームを開けると、エンジンの隣あたりにバッテリーが搭載されていると思います。

しかしこの場合、重量物がフロント側に集中してしまいます。

フロントが重くなってしまうと、フロントタイヤの応答性が悪くなりハンドリングが鈍ります。

それだけでなく後輪駆動の車の場合、今度はリアが軽くなってしまうため、アクセルを踏み込んだ時にリアタイヤに荷重が掛からず、トラクションの低下を招いてしまいます。

ところがBMWの場合は

右リア側に、バッテリーが搭載されています。

このようにトランクを開けると右側にあるのです。

上側のつまみを回すとカバーが取れるようになり・・・

出てきました。これがBMWのバッテリーです。

しかしこの構造の欠点として、コストがかさむ室内空間が狭くなり居住性が落ちる

以上のような理由から、多くの自動車メーカーがこの構造の採用を嫌がります。

それでもBMWは「駆け抜ける歓び」というコンセプト実現のために、頑なに前後50:50の重量配分にこだわり続けている訳です。

実際運転していても、ハンドルの入力に対して直ぐに反応してくれるので、コーナリングは俊敏かつ安定感がある。運転していて楽しい車です。

いつかはF1に復帰を

BMWという車について色々とまとめてきましたが・・・

すみません・・・

これは単なるBMWユーザーである私の個人的な意見なんですが

いつかはBMWがF1に帰ってきて欲しいというのが私の願いでもあります。

これも正しいのかどうかは分かりませんが、やはりF1に参戦し続けているメーカーは市販車に対する技術のフィードバックが量、質共に凄いと思います。

しかし、BMWが得意とする直列6気筒エンジン

通称”シルキーシックス”は完成度が高く

高回転で回すと音、パワーともにたまらない快感を覚えます。

より完成度の高いシルキーシックスを実現するには、やはり最高峰のF1に参戦して技術を磨いて、市販車にフィードバックすることが一番の近道ではないでしょうか?

今回は個人的な感想がいつもより多くなり、お詫び申し上げます。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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