前回は市販車別に空力に対する考え方の違いについて前半と後半に分けて触れていきました。
ボディワークを見ればその自動車メーカーが空力に対してどんな意識を持って車作りをしているのかということが良く分かったのではないかと思います。
今回は1泊2日で東京の方に行き、F1を始めとしたモータースポーツに触れる度旅をしてきました。
2日目の今回はドライバー視点で車について考えてみようということです。
皆さんの中にもシムをやられている方は多いのではないかと思います。
この日体験してきたのは、より実車に近い感覚を味わえるレーシングシミュレーターです。
画面や現地で見ている際にはドライバーたちはいとも簡単に運転しているように見えますが、実際はどうなのか?
実際に乗った感想を踏まえてドライバーの気持ちを考えてみたいと思います。
浅草にあるレーシングシミュレーター
今回お伺いしたのは浅草にあるゼンカイレーシング東京さんです。
ZENKAIRACING TOKYO ゼンカイレーシング東京 | 東京・浅草雷門近くでZENAIRACING SIMが乗れるSIMプロショップ
私は今回飯田橋に泊まりましたが、体力が有り余っていましたので、浅草まで2時間かけて歩いていきました。
朝7時にホテルを出発、飯田橋のホテルを出て水道橋へ。
せっかく歩くのですから景色も楽しみます。
東京ドームシティ前を通過します。
地元の長野ではこういった景色が新鮮なので、東京に来るたびに必ず2・3時間くらいは歩きます。(凄い田舎者感(笑))
水道橋を通り過ぎ上野へ、上野も通過し漸く浅草に、10kmくらい歩いたでしょうか?
到着しました、が時間はまだ9時、当店は10時開店なのでシャッターが閉まっています。
オープンまでまだ一時間ありますので近くにある浅草寺で時間を潰します。
近くにこういった観光スポットがあり、時間が潰せるのは強みですね。
東京メトロ銀座線/東武鉄道・伊勢崎線/都営浅草線・浅草駅から徒歩3分とアクセスも非常に良いです。
1時間ほどして戻ってくると丁度シャッターが開きました。
扉は浅草に合う和のデザインです。
早速中に入ってみます。
こちらのお店は今年の2月下旬にオープンしたばかりのシミュレーター体験施設です。
店内に入るとシミュレーターが2台置かれています。
スクリーンも3台と正面だけでなく左右の映像も映し出してくれます。
ドアを開けるとすぐ目の前にソファがありますので、そちらに荷物をおいたりするとよいでしょう。
疲れた際にはソファで休憩もできますし、飲み物も持参可能です。
利用料金は10分1,500円、30分4,500円ですが、初めて来店される方は会員登録料として500円必要です。
グローブとシューズも500円でレンタルしています。
必須ではないので好みに応じてレンタルすると良いでしょう。
混雑状況や貸し切りの予約が入っている場合もあるそうですが、予約なしでも対応していただけます。
こちらのシミュレーターはマシンの動きに連動してシートも動く仕組みになっています。
いわゆる”モーションシミュレーター”というものです。
シムを始める前にシート合わせを行い、店員さんにコースと使用するマシンを伝えます。
ABSやTCS(トラクションコントロールシステム)等のアシストの有無も設定して頂けるので初心者の方でも安心して利用できます。
慣れてきた方はアシスト設定を変えてもらうことも可能です。
私も自宅にシムがあり空いた時間でやっています。
普段同様アシスト無しでやっていきます。
コースはモナコ、マシンはフェラーリの今季型マシン、SF-24で挑戦します。
店員さんから、いきなりモナコは難しいですよ、と一言。
自宅にシムを置いてあるので練習してきました。と私は返しました。
果たして、普段使用しているシムとどのくらいの違いがあるのか?
ドライバーの気持ちを味わえた10分間。
初めての来店なので、今回は取り敢えず10分コースを選択。
当店で使用されているシムは”アセット・コルサ”です。
iRacingと並んで挙動がリアルなシムということで広く知られています。
いざステアリングを握ると・・・
重い重い
普段使用しているシムがまるでおもちゃの様です。
今の時代のF1マシンにはパワステが付いていますが、実際のステアリングはきっともっと重いのだと思います。
店長さん曰く、タイヤが太いからその分抵抗が掛かるんですよ、とのこと。
なるほど・・・確かにそうだな、と感じました。
このシムを体験していなければ分からなかったことです。
こういったレーシングカーを普段から乗っている訳ではないですから。
こちらが実際にシムを体験している映像になります。(画質が悪くてすみません)
実際にシムを体験してみて。
ステアリングは速めに切らないと外側にずるずると膨らんでいきます。
TCSをオフにしたので、慎重にアクセルを踏んだのですが、思った以上にリアが全然滑らない。
店長さんから、先ほどタイヤの太さについて触れましたが、こちらもタイヤが太い分トラクションの掛かりが良いんですよ、とのことです。
タイヤが太いことはメリットもデメリットもあるということです。
続いて、ABSもオフにしたのですが、ステアリング同様こちらも重い重い。
レーシングカーは市販車と違い余計なものは積んでいませんからね、軽量化の為に運転しやすい機能であったりドライバーアシストは徹底的に排除していますから、ブレーキが重いのもそういうことですよ。
と店長。
しかし、ブレーキペダルが重い分効きは素晴らしいの一言。
かなりの力で踏まないとロックしないので、こちらも普段使用しているシムとの違いを感じさせられました。
F1マシンでフルブレーキングを仕掛けるには約140kgの脚力が必要です。
この際に心臓から約700gの血液がブレーキを掛けた足に密集するそう。
ブレーキから足を離すと再び血液は心臓に戻っていく。
1レースのうちにこの動作を何10回何100回と繰り返していくうちに、足の感覚がなくなって麻痺してしまうそう。
この症状を”ヘビー・レッグ・症候群”といいます。
店長から、レーシングカーのブレーキのエア抜きをしたことがあるんですが、まさに壁の様に硬かったんですよ、とのこと。
ステアリングからブレーキまで、何から何まで重く、少しでも気を抜くとすぐにウォールに激突してしまいます。
僅か10分という短い時間でしたが、運転しているうちに少し汗ばんでくるくらい激しさがありました。
シートがマシンの動きに合わせて動いてくれますが、本来強力なGを受けながらミスをせずに平然と何10周も走れるレーシングドライバーの凄さをまざまざと感じさせられた。
貴重な体験でした。
レーシングドライバーは大変なんです
今回はシムを通してドライバーの気持ちを味わってきました。
シムだったので慣れてくるとすんなり乗れてきましたが、本来の実車だとこんな風にはいかないんだということを感じました。
時には30℃を超える気温にも関わらずレーシングスーツを着込んで、2時間近く延々とレースをする。
コックピットには走行風は殆ど入らず、コックピット内の温度は60℃に達する時だってあります。
強力なGを受けながらの運転は首に掛かる負担は勿論、呼吸も困難な状況だそうです。
呼吸の仕方を間違えると失神してしまう程ですから。
こういった過酷な環境下にも耐えるためにドライバーはトレーニングを積んでいるのだということを改めて認識させてくれました。
プロのドライバーは平然とこなしてしまいますが、皆さんは耐えられますでしょうか?
10分という短い時間でしたが、充実してあっという間だった時間でした。
シートから降りると、反省点が次々と浮き彫りになり、また挑戦したいという気にさせてくれます。
店長さんもとても気さくな方で、F1の話には身を乗り出して話をしてくれますので、興味のある方は是非ここでシミュレーター体験をしてみてはいかがでしょうか?
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