ヨーロッパラウンド最終戦イタリアGPが開幕です。
前回のセッティングの確認通り各チームモンツァ仕様のウイングアップデートが入っている。
レッドブルはフェルスタッペンがベルギーで使用していたリアウイングを持ち込んで、トップスピードで優位に立ちたい。
今回のイタリアGPではかねてから発表があった、キミ・アントネッリがハミルトンの代わりにFP1を走ることが決まっている。
来年のシート獲得が噂されるアントネッリの実力とは如何に?
フェラーリ、地元で大規模アップデート
フェラーリは今年こそ地元で勝つために大規模アップデートを用意してきました。
フロアを中心としたアップデートです、かなり多くの変更点があります。
写真があり確認できた部分のみ紹介していきたいと思います。
先ずフロントはノーズとフラップに変更点があります。
ノーズは丸みを帯びた形をしていましたが、全体的に平たい形に変更されました。
フラップは全体的に前後幅を削りました。
特に3枚目と4枚目は翼端に行くにつれて狭まり、ドラッグをできる限り削り取っています。
こちらはベルギー仕様のフロントウイングの写真です。
フェラーリのフロントウイングは基本的に2枚目のフラップの前後幅が一番大きく、1枚目と3枚目の隙間を確実に埋め合わせてダウンフォースの確保をしています。
その為3・4枚目のフラップにはあまり前後幅を付けていません。
付けてしまうと今度は気流が跳ね上がりすぎてドラッグの原因になるからです。
ベルギーのフロントウイングのノーズには丸みがありましたが、イタリア仕様は平たい。
丸みがある分だけ気流が跳ね上げられてしまうので、平たくして気流の跳ね上がりを抑えここでも空気抵抗の削減を狙っています。
マシンを全体的に見てみましょう。
スタッフがマシンの前に来ているため多少分かりずらいですが、オランダの時に比べて、エンジンカバーのルーバーが増えています。
イタリアはエンジン全開率が全コース中最高レベルなので、当然エンジンにかかる負荷は相当のものです。
ルーバーが増えればその分空力効率は悪くなりますが、今回はダウンフォースを限界まで削っているので、フロントから流れてくる乱流はその分少なくなっているはずです。
今回はフロアフェンスにもアップデートが入りました。
これまでのエッジイングに比べて、前後を伸ばして高さを削ってきたデザインです。
エッジウイングによるドラッグを抑えつつも、アウトウォッシュは作りたい。
高さを抑えることによってアウトウォッシュが強くなり過ぎないように考えられている作りです。
ミドルセクションに目を向けるとフロアエッジにも変更点が見受けられます。
オランダの際にはフロアエッジの切り欠き(フロアディフューザー)の前には小さな捲れがありましたが、今回のイタリアではそれが完全になくなっています。
フロアで作るグランドエフェクトを少しでも強くするために、捲れを無くしたと考えられます。
ポーパシングが気になるところですが、今回はフロアにもアップデートが入っているので、それに合わせた形とも取れます。
フロアエッジから抜けるアウトウォッシュは、完全にフロアディフューザー頼みということになります。
フロアディフューザー後部のアンダーカットの面積とブラケット(接続部)にも変更。
この変更の意図は、フロアディフューザーによるアウトウォッシュの量が少なくなるので、オランダ仕様のままだと、リアセクションのシーリングが弱くなってしまう恐れがあるかもしれないことを見越しての変更と考えます。
ブラケットの位置変更は、リアの剛性を高めてシーリングをより機能させるための変更だと思います。
フェラーリはフロアの変更に伴いディフューザー部分にも変更を加えている。
キックポイント中央は盛り上がった形状でしたが、地面に近かった分ダウンフォースが掛かってくるとこの部分がストールを引き起こしていた。
今回のアップデートでは地面から遠ざかった分ある工夫で打開しようとしています。
フロントでいう”ビブ”形状が左右に気流を切り分けている。
切り分けられた気流はその先にあるフィンによってアウトウォッシュが強められ、ディフューザー外側にマウスホールを発生させて抜けていくようになっている。
外側により確実に空気を抜くためにディフューザー外側には捲れが大きくなっている。
他のチームには見られないキックアップポイントの形状変更が上手く作用してくれるか?
前回の投稿でフロントウイングのフラップが直線的だという話をさせて頂きましたが、翼端板支柱の湾曲も殆どなく真っすぐな形状です。
マクラーレンのフロントウイングと比べても翼端支柱が殆ど湾曲していないことが分かるかと思います。
今回のフェラーリのアップデートはフロント・リアウイングは限界までドラッグを削る。
その分ダウンフォースは少なくなってしまうので、その分はフロアやディフューザーといったグランドエフェクトをこれまで以上に活かしてダウンフォースを作ろうという考え方です。
一部のアップデートはモンツァのみの使用となるアップデートもありますが、ポーパシングが起きていたフロアにを新しくしたことは、今後のシーズンに繋がるアップデートになったのではないかと思います。
しかし実際に走ってみないと何も言えませんが・・・
前回の投稿でリアウイングのセッティングのみを投稿しましたが、今回のフロントウイングはモンツァ仕様を持ち込んだチームが幾つか見受けられます。
マクラーレンの場合は最上段のフラップ中央を削ってきました。
理由は言うまでもなくドラッグの低減でしょう。
ダウンフォースが必要なコースでは気流を跳ね上げて、フロンサスペンションやサイドポッドで抑えつけるのですが、写真上のオランダ仕様では気流を跳ね上げすぎてしまいます。
強烈すぎるアップウォッシュはマシン上部の気流を乱しかえってドラッグの原因になってしまいます。
マクラーレンの場合は、アウトウォッシュはしっかり作りたいので、翼端板に近い部分は従来通りのフラップ前後幅です。
必要のない部分のみ削り取っています。
レッドブルもフラップ最上段を削り取っていますが、波上になっておりマクラーレンとはまた違ったアプローチを取っています。
フラップ最上段を削った分3段目の中央部分の前後幅を広く取っています。
こちらは3段目の前後幅を使ってダウンフォースの確保はしたい、しかし最上段を全体的に削ったことで気流の跳ね上げを抑えているように見えます。
FP1は各チーム手探りも新人がやらかす
FP1は1・2コーナーが改修により、各チーム手探りになるだろうと予測しています。
ルーキーテスト初参加のアントネッリ、勢いよく走っています。
コースの改修もあり各チームともそこまで攻め込んでいない。
そんなに勢いで走って大丈夫か?
・・・と思っていた矢先、その予感は的中。
開始僅か10分、アントネッリはパラボリカでクラッシュ。
オーバースピード気味でコーナーに突っ込んでいます、アントネッリ少し飛ばし過ぎです。
今回はモンツァ仕様のリアウイングを入れているチームが殆ど、リアウイングにはフロービズを塗りたくっているチームも多く見受けられました。
コースアウトが今回は多く見受けられたセッションでした。
モンツァはブレーキングポイントが難しいのでセッションが進むにつれて修正されていくと思います。
セッションも残り2分を切ったところ、残り僅かなところで黄旗。
今度はサージェントの代走でウィリアムズから出走のフランコ・コラピント。
こちらもパラボリカでブレーキをロックさせ、そのままコースアウト。
結局期待されている新人がやらかして悪目立ちしてしまうFP1でした。
アントネッリはシート獲得なるのか?どうなるのだろう。
今回のFP1ではフェルスタッペンがトップタイムでした、とはいえまだ各チーム手探り段階とはいった形でしょう。
トラックエボリューションが良いコースなので、後出しの方がタイムは速くなります。
しかし、セッション序盤は1コーナーで止まれずオーバーランが目立ったフェルスタッペン。
今回はフロアにアップデートが入っていますが曲がらない。
最高速は再びウィリアムズが記録、ザウバーも347km/hでウィリアムズに並びトップ。
意外にも速かったRBの345km/hとマクラーレンの344km/h。
レッドブルが思ったほど伸びてきません。
メルセデス、ハースと並び341km/hと最下位です。
しかしタイムを見る限りでは、ストレートのトップスピードが速い=タイムが速いに繋がってくる訳ではないようです。
フェルスタッペンがトップタイムを記録、つまりストレートの恩恵を受けられるのはセクター1のみです。
FP2二度目の赤旗はベテランが発動
FP2はミディアムタイヤを履いてのアタックからスタート
ラッセルはFP1でアントネッリにマシンを壊されてしまった為出走できない。
FP1でルーキーに譲ったので一周でも多くの周回を重ねたいはず。
今シーズンメルセデスのエースとして速さを見せているラッセルですが、これはツキが無い。
漸くコースインができたラッセル、シートの後ろが熱いと訴えています。
しかしセッション開始から30分、マグヌッセンがレズモをクリア後にマシンバランスを崩しクラッシュ。
FP1に引き続き本日二度目の赤旗です。
オランダではヒュルケンベルグが、イタリアではマグヌッセンとハースのマシンにはイマイチ安定感に欠けているように思います。
周回を重ねたいラッセルにとってまたも不運となってしまいました。
セッションは約10分以上の赤旗をはさみ残り18分でセッション再開。
トップタイムはハミルトンが記録。
レッドブルはFP1に続きマシンが曲がってくれません。
このセッションではフェルスタッペン14位、ペレス15位と低調でしたが修正はしてくるはずです。
レッドブル、フェラーリ、マクラーレン、メルセデスの4チームが優勝争いに絡んでくるとみて間違いなさそうなセッションでした。
今回は2度の赤旗により全体的に煮詰めることができなかったセッションだったと言えます。
アントネッリはルーキーとはいえ、大事なのはセッション中にマシンを壊さずに帰ってくること。
タイムなんて多少遅くたっていい、ルーキーが一番やってはいけないことです。
この期間中にシートに関して何かしらの発表があるとは思いますが、このクラッシュがチームにとってどう映ったのか?
ラッセルは味方であるルーキーと他所のチームのベテランに足を引っ張られ、踏んだり蹴ったりの一日となってしまいました。
マシンセッティングはこちらから。
F1第16戦イタリアGP。持ち込まれたパーツ、セッティングの確認と予選決勝の展望 – アルボンノート (albonnote.com)
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