2024年の新車発表が1ヶ月を切る中で
つい最近2026年(新規定)のマシンの予想図が公開されました。
新規定のマシンで以前から話題になっていることといえば
エンジンです。
現在のレギュレーション下では、2022年を最後にエンジン開発は凍結され、信頼性のアップデートのみが可能とされています。
新規定になれば当然エンジン開発は解禁になり、新規参入のサプライヤーが登場してくるので、開発競争はさらに熾烈になってくるのではないかと思います。
これまでに分かっていることは
- MGU-H(熱回生)の廃止
- MGU-K(運動回生)の出力増加120kwから350kwに
- 回生エネルギーのデプロイメントが2Jから9Jに増加
- 決勝レースで搭載できる燃料の上限が70~80㎏に削減
私がパワーユニットについて現時点で分かっていることはこれだけです。
F1は2030年にゼロカーボン、100%持続可能な資源のみを使うことを目標にしています。
パワーユニットに関する規制もどんどん厳しくなっていくでしょう。
・・・と前置きは長くなりましたがここからは先日公開された2026年型のマシンについてみていきましょう。
一回り小さくなって追い抜きが容易に!?
まず注目すべきなのが
- ホイールベースの縮小3600mm→3400mm
- 車幅の縮小2000mm→1900mm
マシンサイドの周りはのっぺりしていて一部からはフォーミュラーEに近い形になったという声が聞こえてきていますが、私の見解も踏まえて分析していきます。
まず、全体的なマシンサイズの縮小についてですが、以前からオーバーテイクが難しくなっているというファンの意見を耳にしています。
特にモナコのようなコースで、あのマシンサイズではオーバーテイクは実質不可能ですし、抜き合いが無いレースはファンにとって退屈なはずです。
今回はF1側がファンやドライバーの意見を聞き入れた感じにはなりました。
昨今エンターテイナー性を重視しているF1にとってはオーバーテイクの有無というのはやはり重要な要素なのでしょう。
こうしてみるとマシンサイズの縮小は良いことしかないように思えますが果たしてそうなのでしょうか。
サイズが変われば空力も変わる!?
マシンサイズが変わるということは空気の流れ方もガラッと変わってしまうはずです。
まずホイールベースの縮小について触れる前にホイールベースとは何か?ということはご存じでしょうか?
ホイールベースとは、フロンタイヤの中心からリアタイヤの中心までの距離のことを言います。
ホイールベースが短ければ、小回りがよく聞くので急旋回が必要なコーナーでは大いに力を発揮する構造です。
しかしホイールベースが短い分、その間の空力処理は難しくなります。
逆に長いホイールベースは急旋回等の低速コーナーが苦手ですが、ホイールベース間の空力処理に優れているという特性があります。
因みにセナプロ時代のマシンのホイールベースは2900mm以内ということで
現代のマシンがいかに縦長なのかがわかります。
次に車幅の縮小についてです。
現在の規定では2000mmとなっていますが、
かつてシューマッハ時代のマシンでは車幅が1800mmと現在よりも200mm狭く、アウトウォッシュを発生させている現代と違い当時はインウォッシュを発生させていたという話があります。
200mmの違いで空気の流れがこれだけ違えば、その間の1900mmはどんな流れになっていくのでしょうか?
それを探るために目を付けたのが、フロントウイングの形状です。
現行マシンでは翼端板がタイヤの外側にあるのに対し
2026年型マシンの翼端板はタイヤの内側?にあるように見えます。
アウトウォッシュを流せば、空気がタイヤを避け切れずにぶつかってしまう可能性があるので2026年型マシンはもしかするとインウォッシュ型のウイングになるのではないかと思います。
それを裏付ける根拠として写真をよく見ていただくと、翼端板が地面に対して垂直ではなく、若干内側に入り込んでいるようにも見えます。
サイズとは関係の無い話ですがフロアフェンスの辺りを見てみると、現行マシンではフェンスが内向きですが、2026年型マシンは外向きになっています。
自分の推測では、フロアフェンスの開口部の面積を広げることによって、フロアに流す空気量を増やしてグランドエフェクトを強めようとしているのではないかと予測しています。
以前もお話ししましたが、ダウンフォースの生成にはある程度の空気量が必要です。
のっぺりとしたマシン形状もフロア面積の拡大を狙っているのではないのかと思います。
といってもフロアの負圧が強すぎると、以前発生したポーパシング再発の恐れがあるので、どのように対処するかが注目されます。
ただ、2026年型マシンのフロアサイドは現行マシンと比べ直線的で、フロアスリットからインウォッシュを流そうとするとタイヤにもろ直撃するので、2026年型マシンでその手法を使うとは考えにくいように思えます。
レッドブルはピンチか?
これまで新レギュレーションのマシンを分析してきましたが、レッドブルがこれまで取り続けてきたコンセプトとは逆の構造なので、新レギュレーションにレッドブルがどれほど対応できるかが焦点になってくるでしょう。
ニューウェイという強力な武器を持っているので、マシンのコンセプトを外すということは考えられにくいというのが私の意見です。
対応に苦しんだとしても年間数勝できるマシンは必ず用意してくるのではないでしょうか?
これに関しては実際にマシンを走らせてみないと何とも言えないところですが、一つ不安要素があるとすればやはりパワーユニットではないでしょうか?
2026年からはホンダからフォードにサプライヤーが変更になります。
フォードといえば、かつてコスワースエンジンで一世を風靡し、70年代~80年代にかけて大半のチームがこのエンジンを搭載していました。
エンジンサプライヤー別の通算勝利数を見てみると
フェラーリ、メルセデス、ルノーに次ぐ159勝で4番目に多く勝ってきたという
F1での実績は折り紙付きのメーカーです。
しかしフォードがF1から姿を消してもう何年たつでしょうか?
パワーユニットの開発はどうするのか?という疑問点もあり、エンジンの開発競争に出遅れたチームは苦しくなることは間違いないと思います。
とはいえ新レギュレーションのマシンが登場するまでにあと2年もあるのであくまで憶測に過ぎません。
また最新情報が入りましたら、徹底的に分析し皆さんに納得していただけるような説明ができればと思っております。
以上、2026年型のマシン分析でした。
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