マイナー自動車メーカー特集。ゼンヴォっていうメーカー聞いたことがありますか?

市販車分析

突然ですが皆さんはスーパーカーと聞いて真っ先に思い浮かぶ自動車メーカーは何ですか?

フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン等・・・

聞いたことがあるメーカーの名前は上がるかと思います。

しかし当然のことながら、自動車を作っているメーカーは聞いたことがあるものだけではありません。

それはスーパーカーも同様で、スーパーカーを作っているのは決してフェラーリ等だけではありません。

しかも、名前は聞いたことが無いメーカーが作るスーパーカーは、有名なメーカーが青ざめるくらいスペックが高いです。

最早スーパーカーという域を超えてハイパーカーと呼ばれるほどのスペックを持っています。

今回は名前は聞いたことが無いけど、凄い性能を持ったスーパーカーを紹介したいと思います。

ゼンヴォってどこの国のメーカー?

今回紹介させて頂くのはゼンヴォというメーカーです。

聞いたことがあるという方はいらっしゃるでしょうか?

ゼンヴォはデンマークの自動車メーカーであり正式名称はゼンヴォ・オートモーティブ。

設立は2004年です。

歴史は浅いもののスーパーカーを少量生産するという事業形態を確立させています。

早速ゼンヴォが販売する車種の一部を紹介したいと思います。

ゼンヴォ初の市販車はTS1と言われる車種です。

2013年のドバイ・モーターショーで量産モデルの初公開が行われました。

その後2014年にヨーロッパのジュネーヴ・モーターショーでこの車が公開されています。

6.8リッターV型8気筒DOHCツインチャージャーエンジンを搭載しています。

ツインチャージャーとはあまり聞きなれませんね。

ツインチャージャーとは、ターボとスーパーチャージャーの2種類の過給機を一緒にしたものになります。

ターボは排気ガスのエネルギーによってタービンを回します。

低回転だと、排ガスの量が少なくエネルギーが足りず十分な加給ができませんが、高回転だと排ガスが多くなるにつれエネルギーも多くなるため、高回転域を得意とする加給方法です。

スーパーチャージャーはエンジンの回転軸をコンプレッサー等を介して回す機械式の過給機。

機械的に制御してくれるので、こちらは低回転域では、確実に加給することができますが、高回転域になるとその機械式加給が邪魔をしてしまい、加給効率が悪くなってしまうというターボとは真逆の特徴を持っています。

これを一つのエンジンにまとめることでそれぞれの弱点を打ち消し、お互いの持っている長所も発揮できるというものがツインチャージャーという加給方式です。

しかし、この2つの過給機を同時に搭載することにより

  • 重量増
  • それぞれの機構に必要な補器類を入れなくてはいけないため、構造が複雑化
  • 生産コストが跳ね上がる

という欠点があります。

このST1という車は日本円にして約1億1500万円というとんでもない価格帯なので、複雑な構造で高コストになっても購入者にとっては全く気にならないということなんでしょうかね。

最高出力が1101馬力、最大トルクは145.8kgf・mという最早F1マシンを超えるパワーを持っています。

最高速はリミッターが作動している時でも375km/h以上と本当にリミッターが効いているのか分からないレベルのスピードを出します。

サスペンションは前後共にダブルウィッシュボーン。

に加え3方向可変式レース用ショックアブソーバーという足回りも最早レーシングカー顔負けのスペックを持っています。

トランスミッションは7速のノンシンクロトランスミッションというものが採用されています。

ノンシンクロトランスミッションとは変速機構に回転速度を同期させる機構を持たないトランスミッションのこと。

簡単にいうとマニュアルトランスミッションの操作を自動化したものになります。

農業機械やオートバイなどにも採用されている方式です。

このトランスミッションで変速を行うには、ドライバーが構造をしっかりと熟知し適切なタイミングで変速を行わなければなりません。

でないと、強烈な力(負荷)が掛かりギアが欠けたり、最悪の場合変速機ごと壊れるという重大なトラブルに繋がりかねません。

ある意味乗り手を選ぶ車なのかもしれません。

○○○○○○が動く車があるらしい

先ほど少しこのメーカーが主に出している車のスペックを紹介させて頂きましたが・・・

やはりハイパーカーを作っているメーカーだけあって素人では扱いきれないスペックを持っています。

これだけの運動性能を持っている車が世の中に認知されていないと考えると少し残念な気がします。

これだけハイスペックなモデルが並ぶゼンヴォの中でも飛びぬけて面白い車種は・・・

TSR-Sという車種です。

ライオンをイメージしたボディラインを持った車、このTSR-Sには他の車種にはないある特徴があります。

それは・・・

リアウイングが動きます(可変)。

この時F1ファンであればフラップが動くようなものを想像されたと思いますがそれは違います。

リアウイング自体が動きます。

一体どういうことなのか!?

それを確認するためにもこの画像を見ていただきます。

市販車ベースの車に付けられるリアウイングとは本来トランクの上についているのが普通。

しかしこのTSR-Sの場合ブレーキランプの真横辺りに取り付けられています。

これがステアリングの動きやサスペンションの動きと連動して、リアウイングが動きます。

寧ろ動くというよりは傾くといった方が無難でしょうか?

これによってコーナリング時のダウンフォースが増加します。

コーナーの左右やRのきつさによって傾き加減が変わるので、普通のリアウイングよりも効果が高いというのが嬉しいところです。

因みにスペックは、5.9リッターツインスーパーチャージャー付V8エンジンを搭載。

最高出力は1119馬力とこちらもとんでもないパワーをひねり出します。

サスペンションは先代TS1とは違うものの、ダブルウィッシュボーンは同じ(油圧式)。

しかし、フロントアクスル(前輪車軸)とリアアクスル(後輪車軸)には調整可能な複合型アンチロールバー(ロールを制限するための機構・F1マシンにも採用されている)がダブルウィッシュボーンと一体になっており、こちらもレーシングカー顔負けの足回りを持っています。

最高速度はST1同様375km/h、しかしこちらの方が前述通りコーナリングに特化した車と言えるでしょう。

F1にも採用してほしい技術

2026年からF1はレギュレーション変更により、元々可変式だったリアウイングだけではなく、フロントウイングも可変式にする、”アクティブ・ライドハイト”を採用します。

しかし、ここで可変できるのはフラップの角度のみ。

このゼンヴォTSR-Sで採用されているステアリングやサスペンションの動きに応じてリアウイングの角度が変わる技術を是非採用してみてはどうか?と考えています。

これによってダウンフォース不足というのは解消されると思いますし、もっとコーナリングが速くF1というカテゴリーがもっと魅力的なものになるのではないのでしょうか?

とはいったものの、もしこの技術を導入するのにもいくつかの課題があるとも思っています。

一つは、機械的な問題。

ステアリングとサスペンションの動きに合わせて変化するウイングをあの小さいF1マシンにどう取り込むか。

二つ目は、重量的な問題。

当然ステアリングやサスペンションの動きと連動させるには機械的に検知するシステムが必要になってきます。

電子制御を入れるということは必然的にマシンが重くなることを意味しています。

ただでさえ重くなっていると言われている昨今のF1マシン。

電子制御の介入による重量増は避けたいはずです。

三つめは、安全上の問題。

これは、F1に限らず、どの車にも関わってくることです。

確かにゼンヴォの場合、最高速が400km/h近い物ですので安全というもの無視しているはずがないとは思いますが、F1のような高速コーナリングは実現不可能です。

その高速コーナリングにあの可変ウイングが耐えられるほどの強度があるかは疑問です。

走行中にダウンフォースが強力すぎてウイングが外れたなんてことは洒落にもなりません。

ゼンヴォの今後の動向

ここまでゼンヴォという車種について紹介しましたが、ハイパーカーだけあってとんでもないスペックを持つ車を作っているメーカーだということは理解頂けたでしょうか?

マイナーな自動車メーカーをくまなく調べているとこのような凄い車と遭遇するということがしばしばあります。

今はF1は夏休み中ですし色々な車を見て回ったりして、こんな技術をF1にも取り入れて欲しい、と思いを巡らせてみるのもいいのではないでしょうか?

さて、このゼンヴォですが昨年またとんでもない車を作っていることが判明しました。

それは”オーロラ”と呼ばれる車種です。

手前赤い車体がAgil(アジル)というサーキット仕様の車。

奥側の緑の車体がTur(タ―)というツーリング仕様の車。

6.6リッターのV型12気筒クワッドターボから出される最高出力は約1250馬力という桁違いのパワーです。

更にそこに200馬力を発揮するエレクトリックモーターがエンジンとトランスミッションの間に組み込まれます。

更に更に、Turの場合フロントにこのモーターが2つも付き、トータルの出力が1850馬力となり、最高速度が450km/h を超えてくるそう。

因みに車重はどちらも1450kg(乾燥重量)。

なのでTurのパワーウェイトレシオは、1を切るということになります。

ボディワークにはF1の技術がふんだんに使われており、車内にも空気が流れるオープンボディーワークが採用されているそう。

まだ発売はされていませんが、今後もどんな車を作ってくれるのか楽しみなメーカーです。

という訳で今回はデンマーク製スーパーカーメーカーのゼンヴォについて特集しました。

今後も世界のマイナーなスーパーカーを調べて、こんなすごい車があるということを、皆さんに是非知ってもらえればと思います。

世界は広し、です。

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市販車分析 – アルボンノート (albonnote.com)

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