伝統の一戦が開幕しました。
見てわかる通りモナコは道幅が狭く一つのミスが命取り。
セッションの中断ということになれば、ドライバーのコース習熟はおろか、マシンのテストもろくにできないまま終わってしまいます。
しかし壁への接触を怖がれば攻めることができずにタイムも出すことができません。
スロー映像では素人目でも分かるくらいF1ドライバーが如何に限界で攻めていて、異常な車両間隔を持っているかが分かります。
どんなセッションだったか早速振り返りましょう。
信頼性に泣くアルピーヌ
FP1開始直後からピットには続々と列を作りコースインに備えています。
今回のポールタイムの予想は恐らく1分11秒台前半~1分10秒台の突入が予測されます。
公道サーキットなのでバンピーかつ、路面も汚い。
走れば走るほどドライバーも慣れてきてタイムは縮んでいきます。
最初はコースに慣れるためかタイムも1分17秒台。
しかしここから急激にタイムを落としていくことになります。
そんな中、セッション開始から約10分後、アルピーヌのガスリーに異変が生じます。
どうやらエンジンのノーパワーを訴えています。
結局ガスリーはこのセッションをまともに走ることなく終えることになります。
開幕からシャシーの問題が取り沙汰されていたアルピーヌ。
ここ数戦は軽量化を中心としたアップデートでパフォーマンスの改善が見込まれていましたが、今度はもう一つの問題であるパワーユニットの信頼性の低さが顔を覗かせることに。
アルピーヌが勝負できるマシンになるのはまだまだ先なのか。
ドライバーたちの異常な車両間隔
FP1のセッションを見ていて気になったのはフロービズを塗って走っているチームが多かったことです。
レッドブル、ウィリアムズ、アストンマーティンはリアウイングとビームウイングに。
マクラーレンとザウバーはフロントサスペンションに塗っていました。
アップデートパーツが機能しているかの確認だと考えられます。
セッション開始から30分くらいたつとドライバーたちもこの難しいコースに慣れ始めてきます。
よく見かけるシーンといえばガードレールに擦りながらコーナーをクリアしていくシーンです。
ここではプールサイド・シケインが代表的ですが、流石はトップドライバーたちです。
フェルスタッペンもガードレールに掠めながらコーナーをクリアしていきます。
一体どういう車両間隔をしているのでしょうか?(笑)
しかし他のドライバーたちだって負けてはいません。
モナコではコンマ1秒が勝負を分けるのでこれくらい攻めていかないと駄目だということでしょう。
しかし攻めすぎた代償としてウォールにマシンをぶつけたり、タイヤをロックアップさせてコースアウトするという事態がFP1・FP2共に見受けられました。
ペレスはピットインの際に軽くぶつけている(クッション素材なので全く問題ありませんでした。)
ルクレールもブレーキをロックさせてコースアウト。
ターン1のサン・テボーテでコースアウトするドライバーも多々見受けられました。
ターン11のヌーベル・シケインでのコースアウトも目立っていました。
角田もサン・テボーテで接触を起こしていましたが大事には至らず。
ストロールもプールサイド・シケインで思い切って攻めていきましたが、少し攻め過ぎた。
常にギリギリを攻めているせいかコースの至る所のウォールに貼られているスポンサー広告がびりびりに破けています。
FP1終盤、周がサン・テボーテでウォールに激しく接触。
これによりフロントウイングが破損し破片がコースにばら撒かれることに。
このデブリを拾ってしまったのが、なんとフェラーリのルクレール。
地元での悲願の初優勝に向けて上々のスタートを切りたいという中でのアクシデント。
やはりルクレールはモナコでは呪われているのか。
幸いフロアにダメージは確認されなかったのですが結果的にこのセッションは棒に振ることに。
デブリ撤去の為レッドフラッグが掲示されセッションは一時中断。
残り10分手前、すぐに止みましたが雨がぱらついていました。
なんだかんだ丁度いいタイミングだったかもしれません。
ルクレール上々の滑り出し、頑張るベテランたち
結果的にFP1ではメルセデスのハミルトンがトップタイムをマーク。
FP2ではルクレールが最速ラップを計測。
デブリを踏んだことによるフロアダメージが懸念されましたが、どうやらその心配はなさそうです。
この時点で昨年のポールラップを既に上回っています。
イモラでのアップデートによって全チーム中最大のダウンフォース量を有するフェラーリ。
前回はセットアップが上手くいかずドラッギーになってしまいましたが、マシンに対する理解度が深まればもっと良いパフォーマンスが出せるはずです。
金曜日は調子が良いという声がネットから聞こえているメルセデスですが、今回速い理由としてはフロントウイングの形状変更にあるようです。
フロントウイングが他チーム同様の仕様になりました。
シーズン開始当初はフラップ最上段内側がワイヤーのように細かったことが話題になりましたがどうやらそのコンセプトを止めてきたみたいです。
旧式はフラップ最上段の最も内側のセパレーターがワイヤーのように細くなっている所を境に接続されていました。
これによってインウォッシュ(Y250ボルテックス)を活かしてフロントウイング下に空気を取り込もうという働きかけを狙っていたのだと考えられます。
取り込む空気量を多くすることで全体的なダウンフォース量向上が見込まれますが、安定的にダウンフォースを確保するのが難しかったのではないかと思います。
フロントウイングの変化はそれだけではなく、翼端板にも表れています。
翼端板の最前線に切り欠きが設けられてアウトウォッシュを強める効果が期待できます。
リアが安定してこないとトラクションが確保できない。
ただでさえリアの挙動が不安定だったメルセデスにとってこれは良いアップデートではないかと思います。
今回のフリー走行でもいまいち調子が上がってこないレッドブル。
どうやらフェルスタッペンとペレスとでウイングのセッティングを分けて走行していたようです。
しかしフェルスタッペンが無線で、マシンが跳ねまくってコントロールが上手くできないと訴えています。
開幕前のテストでは低速域でのパフォーマンスが改善されていたので、今回は速いのではないかと考えていましたが・・・
ただ、跳ねるということで考えられるのは、車高が低すぎるのか、サスペンションが硬すぎるのか。
レッドブルとして考えられるのは前者で、低速域でのグランドエフェクトをよりよく活かすために車高を下げて対応していたと考えられます。
しかし、バンピーな路面に上手く対応できていないということが伺えます。
昨年型RB19もバンピーな路面には弱いという弱点があったのでRB20もそれを引き継いでしまっているのでしょう。
フェルスタッペンと同様の訴えをするラッセル。
メルセデスはレッドブルの場合と違い、サスペンションセッティングが硬すぎることで跳ねてしまっているということが考えられます。
リアウイングの翼端板ベーンを22年に違法とされたアストンマーティンの形状のものを採用してきました。
ダウンフォース量はこれで増えると考えられますが、リアセクションに関しては根本的な解決に至っている訳ではありません。
今回はFP1・2共に経験豊富なベテラン勢が輝いていました。
前回アップデートの代償としてマシンが乗りづらくなったということですが、ドライバビリティというマージンを削って速さに振るという考え方は個人的に正解だと考えています。
アロンソレベルのドライバーであれば時間さえあれば乗りこなせるでしょうし、ここ最近はストロールも持ち直してきているように思えます。
マシンセッティングさえしっかり決まれば本当に速いパフォーマンスは持っているのではないでしょうか?
今回はやはり地元で何としても勝ちたいルクレールが気合十分の走りを初日から見せてくれます。
FP1でデブリを踏むアクシデントはあったものの、純粋なパフォーマンスで考えればフェラーリのマシンはとても良いように思えます。
モナコを知り尽くしている経験豊富なベテランたちにも今回は注目です。
ここ数戦振るわなかったメルセデスとアストンマーティンのマシンもフロントを中心としたアップデートが機能しつつある。
レッドブルは今回も出だしはイマイチで苦戦気味な模様。
土曜セッションまでにどこまで持ち直せるか。
好調マクラーレンもここまでは大人しいだけに不気味な存在です。
RBもソフト温存で戦略面も練りに練って臨んでいます。
タイム差も決して離れている訳ではないので中々勢力が読めません。
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