第8戦モナコGP。持ち込まれたパーツ、セッティングの確認と予選決勝の展望

マシン分析

先週からヨーロッパラウンドが開幕しました。

先週はフェルスタッペンがノリスに追い上げられながらも薄氷の勝利。

レッドブルとマクラーレンのパフォーマンス差が無く非常に面白い勝負でした。

そんな接戦だった先週のレースから早一週間。

次はいよいよ伝統のモナコグランプリが始まろうとしています。

ウイングセッティングの確認

それでは早速恒例のウイングセッティングの確認です。

引用元 https://twitter.com/AlbertFabrega
引用元 https://twitter.com/AlbertFabrega

モナコ、モンテカルロ市街地コースはカレンダー中最も平均速度が遅く、最高速も最も低いサーキットです。

平均速度は約130km/h。最高速度は279.1km/h(トンネルで計測)。

当たり前ですがこれだけ平均速度、最高速度が低いとストレートでのパフォーマンスは必要ありません。

ウイングのフラップ角度も最大にし、可能な限りダウンフォースを絞り出すようにしています。

画像を見ても分かる通り正面から見ればスポンサーロゴがはっきりと分かるレベルにフロントウイングのフラップも立っていることが分かります。

10チーム中最も低速コーナーが速いと考えられるチームはマクラーレン。

コーナリングパフォーマンスが全体的に高いコーナリングマシンです。

今シーズンもフロントウイングにアップデートを入れ、アウトウォッシュを強めて後方に乱流を流さないようにしています。

フェラーリも今シーズンからアウトウォッシュ型のフロントウイングを入れたことにより、昨年よりも後方の乱流が減り、マシンの挙動の乱れが抑えられ安定感が増しました。

タイヤを酷使せず優しくなったことも今シーズンの成績に繋がっています。

後方の気流が乱れることで懸念されるのはリアが不安定になってしまうこと。

リアの気流が乱れることでリアで得られるダウンフォース量が安定せず挙動を乱す直接的な原因に繋がる。

今回は典型的なストップ&ゴーサーキットなので、大事なのは立ち上がりの早さ、いわゆるトラクションの良さが試されます。

リアが不安定なチームには辛いコース

先述の説明通りストップ&ゴーサーキットなのでトラクションの良さが試されるコースです。

トラクションの掛かりが良くリアが安定するチームは問題ないのですが、ここで困るチームはリアの安定感がないチームです。

これまでの投稿やアップデートを振り返ってみてください。

今皆さんがリアが不安定だと思うチームはいくつあったでしょうか?

私が考えるリアの不安定なチームは

メルセデス・アストンマーティン・ウィリアムズのメルセデス系のチーム。

ザウバーなどがこれに該当するチームだと考えられます。

先ず一番に挙げたメルセデスですが、これは以前から触れてきたように、リアサスペンションのストロークの不十分さによる安定感の無さ。

そしてもう一つはフロアに対する理解度の低さがこの事態を招いていると考えられます。

この写真は昨年度型のマシンRB19とW14のフロア構造の違いになります。

キックアップポイントが分かりにくいですが、ここで解説できることがいくつかあります。

先ず、フロアトンネル入口ですが、一番内側の面積は意外にもメルセデスの方が広いです。

トンネルに通す気流の量を多くすることによってフロアダウンフォースを増加させようとする考えです。

しかし、エッジに向けて流す空気量はレッドブルと比較して格段に少ないです。

そうするとフロアダウンフォースが強すぎてしまい、結局ポーパシングが発生してしまう原因にもなっています。

W14はリアサスペンションがプルロッドだったせいもあり、ディフューザー面積も圧迫。

結局このフロア構造とはミスマッチだったという訳です。

そしてRB19のフロアセンターラインには窪みが付いており、トンネルフロア内を通る気流にアウトウォッシュを発生させる造りになっています。

このアウトウォッシュがフロア内の乱流を吸い込み綺麗な気流を流します。

続いてトンネル内部後半のリアセクション。

こちらは両方とも排出行が設けられていますが、レッドブルは速度域に応じて、排出した気流を再び利用しディフューザーに向けて流そうとする何とも複雑な造りになっています。

残念なことにメルセデスはW15のフロア構造が昨年型W14と殆ど変わっていません。

メルセデス没落の最大の原因はフロアに対する理解度の低さに尽きるでしょう。

もう一つ原因があるとすればメルセデスはエンジンカウルを絞りすぎではないかと思います。

レッドブルはキャノンデッキ、フェラーリもSダクトを設けるなどして、リアウイングに当たる空気についてより考えられた構造になっています。

がメルセデスに関しては特に考えられた構造とは言い難いです。

おまけにルーバーも空気を大きく乱す直接的な原因になっているのではないでしょうか?

アストンマーティンは前回フロントウイングの大改造を行ってきましたが、結果的に乗りづらいマシンに仕上がってしまったようです。

私の持論はドライバビリティの低さはそれだけマージンを削っている証拠として、肯定的な考えを持っていましたが、アロンソでも乗りこなせないとなると話は別。

余程乗りこなし辛いマシンなんだろうと感じました。

にも関わらず、タイヤのデグラが以上に良かったり(乗りづらいということは、ステアリングの修正が増えタイヤを傷めると考えたため)ストロールが入賞圏内でフィニッシュと不可解なことがイモラで起きたので、説明が難しいマシンではあります。

前回との相違点はフラップ最上段と二枚目に凹みが付いていましたがこの写真を見る限りでは、どうやら止めたみたいです。

乱流抑制と推測していましたがそれが乗りづらくしている直接的な原因だったのか?とも考えたりもしましたが。

今回のレースもレッドブル、マクラーレン、フェラーリによる三つ巴の優勝争いが予想されます。

前回のアップデートで単純なダウンフォース発生量は全チーム中最大レベルになったフェラーリ、

イモラではセットアップの模索に苦戦し思うように機能させられませんでした。

幸いなことにモナコで必要なのはダウンフォースのみ。

ストレートでのパフォーマンスを考慮する必要が無いので適切なセットアップを見極め易いのではないかと思います。

RBもシーズン開始当初からの課題であったストレートスピードは、ここでは考える必要が無い有難いサーキットです。

上記の3チームに及ぶ戦闘力を期待するのは難しいですが、前年型AT04は低速コースを得意としていた。

その更新型であるVCARB01も低速コースでは機能するはずです。

モナコウィナーは3勝の価値に値する

伝統と歴史があり数々のドラマが生まれたモナコGPですが、かつては木曜開催金曜日に休養日を挟み、土日で予選決勝をこなすスケジュールでした。

しかし近年ではほかのグランプリ同様金曜日からセッションが始まる方式に変更されています。

ただでさえ抜けないコースに加え、マシンサイズの拡大がそれに拍車をかける形に。

より多くのオーバーテイクを望むファン達からはカレンダーから外すようにという声もあり、何度も協議に掛けられてきましたが、結果的にそのような事態は逃れられています。

私個人の意見としては、モナコGPはF1の象徴であり、世界3大レースの一つとして数えられているこのコースを外すという選択肢はないと思います。

願わくば一度でもいいからモナコでF1を観てみたいと思うまでです。

今回は前戦イモラで多くのチームがメジャーアップデートを行った為、ここではウイングセッティングによるダウンフォース増加が中心になっています。

果たして今年のモナコウィナーは誰になるのか。

地元でのレースになるルクレールがそろそろ報われて欲しいという気持ちがあります。(笑)

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