新車発表(アップデート)はどこを見たら良いのか?マシンを部分的に解説

マシンアップデート分析

1月も半ばに入りF1では新車発表の時間が刻一刻と迫ってきました。

現在のレギュレーションでは3シーズン目を迎え、この2年で各チームはマシンに対する理解度がより高まったのではないでしょうか?

皆さんは新車発表されたマシンのどこに着目しているでしょうか?

もちろんカラーリングも気になりますよね。(マクラーレンが早速公開していました)

中には前年型とどこが違うのか見比べる方もいるはずです。(因みに私はこっち派です)

しかし中には、マシンをどういう目線で見ていいのか分からない

どこを見れば良いのかいまいち分からない、という方もいるのではないかと思います。

他サイトでは新車発表の日程を発表しているサイトも多いですが、私はあえてマシンのどの部分に着目すればいいのか、という観点で皆さんにお届けしたいと思います。

そこで今回は現行マシンにおいてどこを見れば良いのか、について私の意見も交えながら説明をしていきます。

変更できる箇所が少ない現行マシン

現在のマシンは以前のレギュレーションのマシンと違って、レギュレーションの縛りがより強く、いじれる箇所が大きく減ったことで、着目する観点が絞れると思います。

現行マシンにおいて大きな変更がある可能性がある部位は以下のように

  • フロントウイング
  • サスペンション
  • フロアフェンス
  • サイドポッド
  • フロアエッジ
  • リアウイング
  • ディフューザー

私が現行のマシンにおいてよく見るべき点はこの7点です。

フロント部分はで、中央はで、リアはで色分けしてあるので

この色分け別に一つずつ説明していきたいと思います。

フロント(マシン前部)

アルピーヌA523のフロントウイング
(日本GP)

まずフロント部分ですが、現行マシンに限らず、フロントウイングは必ずチェックすると思います。

注目する箇所は

  • ノーズ形状(太さ)
  • フラップ形状(中央から翼端板にかけての傾斜、角度、接続部(セパレーター))
  • 翼端板形状(切れ込み、カナード)

私はこの辺りを特に注意してみるようにしています。

2019年にフロントウイングとノーズコーンの一体化により簡素化されましたが

マシンの一番最初に空気が当たる部分なので、間違いなく最も重要な部分です。

RB19(ショーカー)のフロアフェンス

次にフロアフェンス(フロア入口)についてですが

  • フロアフェンスの外側(形状)
  • 開口部の面積(どのくらい空気を取り込みたいのか)
  • フェンス間の隙間(どこに空気を流したいのか)

この3点を気を付けて見ていただければいいのではないかと思います。

特にフロア形状はレッドブルのコピーをしているチームもありますが

所々に違いが見られ、チームごとによって意図が違ってきているので、フロアを覗けない分フェンスの形状でどのように空気を流そうとしているのかを考えてみると良いです。

フロント部分はコース特性によって影響を受けやすく、コースに応じたアップデートが頻繁に起きる(他コースとの使いまわしもある)場所なので

毎レースチェックをする必要がありそうです。

ミドル(マシン中央部)

アルファタウリAT04のサイドポッド(メキシコGP)

次にマシン中央部において注目すべき点は

サイドポッドです。

  • サイドポッド形状(窪み等)
  • サイドポッドアンダーカット(サイドポッド下部)
  • サイドポッド後端

以前のレギュレーションにはバージボードと呼ばれる空力パーツがありました。

このパーツは、フロントから流れてきた空気を整流するだけではなく、ダウンウォッシュ(下向きの空気流れ、ダウンフォースを発生させる主な要因となる流れ)を発生させ、強力なダウンフォースを発生させていました。

しかし乱流を発生させていた原因でもあり、現在は取り付けが許可されていません。

こうして、サイドポッドの主な役割である冷却だけではなく、マシン横のダウンフォース発生(整流)という二刀流のような活躍が求められるようになりました。

次にフロアエッジです。

  • フロアエッジの形状
  • フロアエッジの長さ
  • フロアエッジの位置

には注意してみる必要があります。

2022年のエッジはフロアに溜まりすぎた空気をいかにして抜き、ダウンフォースの損失を抑えるかをメインに考えて作られていました。

2023年になると排出された空気を積極的に利用しようとする形状に変わっていきました。

レッドブルRB19がZ型の切れ込みを入れたことで多くのチームがそれを模倣しました。

エッジの気流流れについては以前掲載しているこちらのページを見ていただけると良いです。

よく見てみると、細かく違いがあり少しでも形が違ってくると、空気の流れはまるっきり違ってきてしまいます。

昨年このあたりの開発も非常に盛んで、各チーム個性が出ていてアップデートを追うのが一番面白かった部分だと私は思います。

リア(マシン後部)

レッドブルRB19のリア形状 開幕前(上)カタールGP(下)

最後にマシンのリア側を見ていくわけですが

リアウイング

  • ウイング形状
  • フラップ形状
  • 翼端板形状

リアウイングに関しては、ウイング角度がコースによって違ってくるのでマシン発表では何とも言えない部分ですが

フロントウイング同様翼端板はチェックする価値がある場所だと思います。

ディフューザー

  • フェンス形状
  • 内部構造

に注意して見ています。

フェンスの高さが低いとフロア内部で作られた渦を潰してしまう可能性があり、ダウンフォースを損失してしまう恐れがあります。

多くのチームはフェンスを高くして空気の抜けを良くするような設計になっているはずです。

内部構造は見えずらいですが、昨年のRB19には内部に窪みが作られており、そこでも更に渦を発生させてダウンフォースを得ようとしていたのではないかと推測しています。

フロントよりダウンフォースは少ないですが、駆動輪がある大事な部分ですので欠かさずチェックを入れることをお勧めします。

マシン発表は単なるカラーリング発表?

一通り注目すべき点をまとめまてみましたが参考になったでしょうか?

昨年物議を醸したのが、レッドブルの新車発表です。

2022年ダブルタイトルを獲得したレッドブルが

RB19の発表で持ち出されたマシンは、昨年型のRB18をRB19のカラーリングに塗り替えただけのものだったのでがっかりされた方も多いかと思います。

マシンの細部を見せたくないという情報戦も分かりますが、暫定でもいいのでできれば、現行型のマシンを持ってきてもらいたいというのが正直なところ。(笑)

といってもよそのチームでも手の内を見せず、カラーリングの発表になっているような所は多いので、見れたらラッキー程度の気持ちでいた方が良いと思います。

2022年23年シーズンはレッドブルが圧倒しました。

それによって多くのチームが独自コンセプトでの開発を取りやめ、レッドブルのコピーマシンを作り出しているというのが現状ではあります。

しかしRB20ではこれまでとは全く違うコンセプトを取ろうとしていることが既にアナウンスされておりチーフデザイナーのニューウェイは自信をのぞかせていますが、このコンセプトが失敗した場合は、他のチームにチャンスが生まれる可能性も十分にあるということです。

このコンセプト変更が吉と出るか凶と出るかは、テストで走ってもらわないと何とも言えないところです。

今年は開幕が少し早い2月下旬からなので

どうなるかを予想しながらその時を楽しみに待ちましょう。

今年の発表では1チームでも多く現行マシンを持ってきてくれることを期待したいと思います。(笑)

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