3月30日にお台場の東京ビッグサイトで開催される
フォーミュラE、今日本のモータースポーツ界では話題になっていますね。
ここのところチケット代の相場について、高いだのこのくらいだのといった話題がちらほらと聞こえてきます。
話が持ち上がった当初は、本当に東京なんかで開催できるのか?という方も多くいらっしゃったかと思いますが、全面的に認めてくれた小池都知事には感謝したいところですね。
テレビのニュースにモータースポーツの話題が取り上げられるとジャンル問わず嬉しくなります。
こうしてモータースポーツが少しでも世間一般に触れてくれればと思います。
私自身F1以外のカテゴリーにはあまり触れていませんが
フォーミュラEもフォーミュラカーに分類されるので
これをいい機会に性能や空力について徹底的に分析できればいいと思っています。
フォーミュラEのルール
フォーミュラEを一言で言ってしまうと内燃機関が無い電気モーターのみのF1
といっていいのでしょうか?
2014年に初開催されましたが、モーターのバッテリーの充電量が少なかったこともあり、ドライバー1人につき2台のマシンが与えられていたそうで、レース中にピットに入って乗り換えていたそうです。
セーフティカーもエコを売りにしているカテゴリーだけあって、BMWi8やポルシェ・タイカン・ターボSといったハイブリッド車、電気自動車が使われています。
そしてフォーミュラEの中でも面白い取り組みだと思ったのが、2022年まで採用されていた
ファンブースト
といっていわゆるF1の世界でいうドライバー・オブ・ザ・デイのようなものがありました。
SNS上で応援したいドライバーに投票(人気投票のようなもの)
得票が多かったドライバー数名(年度によって人数が違う)に、レース中一度だけモーターの出力を上げられる
という他カテゴリーには見られないユニークなルールでした。
フォーミュラ―Eのレギュレーションについて詳しく知りたい方は下をクリックして下さい。昨シーズンのレギュレーションではありますが。
ABB FIA フォーミュラE 世界選手権 | わかりやすい モータースポーツ競技規則 (motorsports-regulations.com)
フォーミュラEのマシン(Gen3)の性能は?
現行のフォーミュラEのマシンの事を”Gen3”
と呼んでいますが
このマシンがどのくらいのポテンシャルを持っていてフォーミュラカーの頂点であるF1と比較すると、どのくらいの性能差があるのか、について触れていきたいと思います。
マシンのスペック
Gen3 | F1 | |
全長(mm) | 5016.2mm | 5000mm以下 |
全高(mm) | 1023.4mm | 950mm以下 |
全幅(mm) | 1700mm | 2000mm以下 |
ホイールベース(mm) | 2970.5mm | 3600mm以内 |
最小重量(ドライバー含む)(kg) | 840kg | 798kg |
エンジン出力(ps) | – | 約840ps |
モーター出力(kw(ps)) | 350kw(470ps) | 120kw(161ps) |
0→100km/h(秒) | 約2.8秒 | 約2.5秒 |
最高速度(km/h) | 320km/h | 378km/h以上 |
とりあえず簡単にスペックをまとめてみました。
こうして見てみるとGen3の方が全長が長いようです。
Gen3は見た感じコンパクトな印象だったので意外です。
重量もGen3の方が重いのは、モーターがかなり重量物になっているからでしょうか?
0-100加速も総出力で2倍以上の差をつけられているにも関わらず、思ったより差が付いていない感じですね。Gen3はモーターなのでラグが無いということでしょう。
最高速度は以前のGen2までは、280km/hでしたが出力向上により320km/hまで向上しました。
もっと年数を重ねて開発が進み、モーターの容量が大きくなればF1にも匹敵しそうなパフォーマンスになりそうです。
Gen3の空力
基本的にパワーユニット以外は共通部品が使用される”ワンメイク”な為、F1のような個性を感じられるデザインではありませんが、ジェット戦闘機をモデルにしているだけあって空力という要素においても洗練されています。
フォーミュラEの特徴はモーター、では空力における特徴はどんなところでしょうか?
フロントウイング
上下2枚で構成されており、上(アッパーウイング)はF1とは違い平らで反りあがっていないのが特徴です。ダウンフォース発生量はF1よりは少ないですがその分空気抵抗も少ないです。
ある程度ダウンフォースは確保しつつも、後方に送る空気を出来るだけ乱さずにまっすぐに流そうとしているという意図が見て取れます。
翼端板の角度も内側に傾いており面白いですが、空力効果はあまり考えられなさそうです。
Gen2ではタイヤをフェンダーが覆っており空気抵抗削減と接触時のダメ―ジ軽減を狙っていたようですがGen3ではフェンダーが廃止されその代わりを翼端板にさせようとしている感じです。
フロントウイングの下(ロアウイング)は中央と端で形状が違い
中央部は翼の前後長がアッパーウイングよりも長くこれは、ベンチュリ効果によるダウンフォース増加を狙っているものではないでしょうか?
特に端は小さいフラップが付いており、ロアウイングと一緒にしてしまうとドラッグが大きくなってしまう為、二手にわけることで、ダウンフォースと空気抵抗の両立化を図ったように思います。
ボディ形状
上から見た時に、マシン形状が三角形になっているのも特徴で、エッジによって空気を流す方向を上、横とでしっかり分けようとしています。
ボディの上部は空気抵抗になるような要素が無く、マシン後方に空気を乱さないように流そうとしているというのが見て取れます。
特に側面については、前面から流れてきた空気を真後ろに流そうとするのではなく、ボディ下部の空気を外側に導くようになっています。
フォーミュラEは基本市街地コースでのレースが多いです。
市街地コースは常設サーキットと違い、路面の舗装が完璧でなく、バンピー(凹凸のある路面)なのでその凹凸によって前からの空気が入りづらくなり、マシン下のベンチュリ効果が弱まってしまう可能性があるのです。
それを防ぐにはなるべくマシンの前方かつなるべく短距離で、外側に空気を追いやる仕組みが必要になってきます。
私も色々調べてみましたが、どうやらフロアの前方にバージボードのようなものが取り付けられているそう。
バージボードで発生した渦で斜め外側に空気を流してやるとマシン下部を流れる空気の流速が向上するようです。
そして側面下に付いている出っ張りのようなウイングもベンチュリ効果に一役買っているように思います。
以上の観点から上から見た時に三角形の形をしているのではないでしょうか?
リアウイングとディフューザー
マシン後方部分に関してはリアウイングとディフューザーを中心にダウンフォースを発生させています。
ディフューザーの形状を見ると、真ん中にも小さなトンネルがあるのが分かるかと思います。
目立たないところですが、なるべく空気抵抗の少ない場所でダウンフォースを確保しているのでしょう。
ディフューザー外側の八の字部分の内側にはベーン(プレート)が張り付けられており、ディフューザー内部から流れてくる空気を外側に漏らさないような作りになっています。
最も印象的なのが極端に低いリアウイングで、この位置であれば大きな空気抵抗にはなりません。
反りを大きくすることでダウンフォースは多く稼げます。
リアウイングはディフューザーの出口にも近いため、リアウイングが空気を跳ね上げることで発生する負圧によってマシン下から通ってくる気流と合流しやすくなります。
上下の気流が合わさることで、ドラッグの発生量を少なくしつつ、効率よくダウンフォースを発生させようとしているのです。
F1では角度のついたディフューザーと反りが深いリアウイングによってダウンフォースを発生させており、それによって雨天時には高く水しぶきが上がりますが
フォーミュラEのマシン構造では水しぶきがそれほど高く上がりません。
カテゴリーによって魅力は違う
ここまでマシンを分析してきた私の意見としては
フォーミュラEは空気抵抗削減を第一にしつつも、要所でしっかりとダウンフォースを発生させようとしている
という印象です。
前述の通りフォーミュラEのマシンの動力はモーターのみで音が非常に静かです。
ガソリン臭くて音がうるさいのがモータースポーツだ!
という意見の方もたくさんいらっしゃると思います。
しかし、フォーミュラEにはフォーミュラEなりの魅力はたくさん詰まっているはずです。
レースを盛り上げようとする画期的なルール
元F1ドライバーも多く在籍していることもあり、競技のレベルも高いはずだと思います。
例えばスポーツにおいてどうしても課題になってくる競技時間の長さという点においてフォーミュラEは、非常に優秀なジャンルではないでしょうか?
確かにバッテリーの容量の関係で競技時間が短いというのもあるかもしれませんが、年数を重ねていけばきっと改善されていくはずです。
以上、今回はフォーミュラEについてでした。
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