ダウンフォースの発生原理とは?F1の空力を知るための第一歩を学びましょう

メカニズム(空力学・自動車構造)
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こんにちは、アルボンです。

前回F1の技術を知るための初歩中の初歩としてダウンフォースについて紹介いたしましたが今回からは、空力学について少しづつ核心をついていきたいと思います。

前回の投稿で、ダウンフォースについて簡単に説明することができるようになったとは思いますが、空力学の世界はとても奥が深いです

空力学の世界には、色々な力学、科学的理論があります。

難しい言葉や訳の分からない科学的理論などが出てくるとは思いますが、簡単な説明を心がけて参りますので、最後まで読んで頂けると嬉しいです。

ベルヌーイの定理

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空力学を知らない人からすると早速訳の分からない言葉と画像が出てきました。

ベルヌーイの定理

なんだそれは、と思いますが簡単に説明すると

流速の速いところは圧力が低く、逆に高いところは圧力が高いことを説明した定理になります。

つまり、空気の流れる面積が広ければ広いほど空気の流れが遅く圧力が高い

逆に面積が狭ければ空気の流れが速く圧力が低くなります。

空力学の世界では、圧力が高い部分を正圧、低い部分を負圧といいます。

F1マシンで説明をすると

シャシー上部(コックピット側)は空気の流れる面積が広いので圧力が高い

シャシー下部(フロア側)は空気の流れる面積が狭いので圧力が低い

高圧になっているシャシー上部が低圧になっているフロアを路面に押し付けようとしている訳です。

現行マシンではフロアの負圧をより強めてダウンフォースを強力にしようとしています。

これをグランドエフェクトと呼び現行のレギュレーションにおいては最も大事な要素です。

それぞれのチームは、グランドエフェクトをより強力なものにするために、フロア構造について徹底的に研究をしていることだと思います。

グランドエフェクトについては、次回以降説明をしていきたいと思います。

強力なダウンフォースを発生させるパーツ

F1マシンと市販車の違いについて今までの投稿で少し触れましたが、ほかにはどんなところが違うでしょうか?

車の形?タイヤが剥き出し?それもあると思いますが市販車には明らかに無いパーツがあります。

フロントウイングです。

フロントウイングの役割は正面から来た空気を受け止め、ダウンフォースを生成、マシン後部への整流が主な役割になります。

全体のダウンフォースの3,4割がこのフロントウイングで発生しており、非常に重要な空力パーツと言えるでしょう。

ダウンフォースをより強力にするためには、フラップと呼ばれる板の角度をつけてやればいいのですが、つけすぎると空気抵抗も増えるので、サーキット特性に応じて変更します。

整流という観点で注目したいのが、翼端板です。

アウトウォッシュという外向きの渦の流れを作ることで、翼端板の後ろにあるタイヤに気流を直撃させないようにしている訳です。タイヤに気流が直撃すれば、空気も乱れますし、空気抵抗にもなります。

飛行機の翼端板を例にして説明しましょう。

飛行機の場合、自動車とは正反対の、浮力(揚力)を発生させることで上空を飛んでいます。

自動車とは働く力が正反対ですが、唯一共通しているといえる部分が存在します。

それは、空気の乱れを嫌っている ということです。

飛行機もF1マシン同様に乱気流に入ることで、マシンを制御しにくくなり、最悪の場合は制御不能の状態に陥ります。

その空気の乱れを少しでも抑える為に図の様に翼端板が設置されています。

翼端板が有るのと無いのとでは、空気の乱れにこれだけの違いが出てくるということを理解頂けたでしょうか?

アウトウォッシュについてはまた後日触れたいと思います。

翼端板の真ん中についているパーツはカナードと言って、整流に一役買っているパーツですし

翼端板下の切れ込みから不要な空気を追い出したりと・・・

翼端板は小さいようで非常に重要なパーツだということを理解頂ければと思います。

他にもパーツはあるけれど・・・

フロントウイングの他にも、リアウイングがあります。

リアウイングもフロントウイング同様に、フラップの角度をつけることでダウンフォースを発生させていますが、フロントウイングより自由が利きません。

どういうことなのかというと、フロントウイングは、ステアリングに内蔵されているボタンで、簡単にフラップの角度を調整できますが、(といってもいつでも調整できるわけではなく、車が停止している時に工具を使って調整しなければならない)リアウイングの角度調節はできません。

F1は後輪駆動なので、リアにかかってくるダウンフォースの量が多ければ、それだけトラクション(エンジンで作られた動力を駆動輪に伝える力)が強力になりますが、結局前から流れてきた空気が乱れていれば、ダウンフォースは作れませんし意味がありません。

リアウイングの他にもダウンフォース生成や、整流するパーツはたくさんありますが、マシンに一番最初に空気が当たる場所はフロントウイングです。

ここでどれくらいダウンフォースを作り出せるか、整流できるかが速いマシンを作り出す一番の要素ではないのでしょうか?

空力学は簡単に考えよう

このような科学的理論をネットで調べようとすると、難しいような言葉が出てきたり、訳の分からないような計算式が出てきたり・・・

真に受けて全て知ろうとすると大変な努力が必要になりますので、私が心がけているのは、まず色々なサイトや文献に一通り簡単に目を通してそれがどういうことなのかを自分なりに解釈するようにしています。

そうして集めた情報同士を照らし合わせて、同じような説明が出てくればそれは重要なことだということが分かるので、その部分について徹底的に追求するようにしています。

要するに、難しく考えようとせずに簡単に考えてしまおうということです。

F1ファンは沢山いると思いますが、マシンの仕組みや構造を調べようとする人は、正直に言ってほんの一握りだと思います。

構造についての画像を見ても訳が分からない、どの様に空気が流れているのか訳分からない。

このような理由で挫折してしまう人は沢山いるはずです。

そのような専門的な勉強をしてない人たちにとっては知ろうとしても非常に敷居の高いものになってしまっています。

それもそのはず、F1マシンに関わっている、スタッフ・メカニック・エンジニアたちは、学生時代に専門的な勉強を積んできてここにいる人たちですから。

もちろん私自身も、学生時代そういったものとは無縁でしたし、このような科学的理論を勉強し始めたのはF1を観始めてからです。

最初はもちろん、どう考えていいか分かりませんでしたが、分かってくるうちにF1がより楽しくなりましたしより好きになりました。

このサイトのキャッチフレーズでもある、技術が解れば世界が変わる

技術が解れば視野も広がってきますし、違う視点からF1を観ようとしたり、F1に対する世界観は間違いなく変わってくるはずです。

なので私は、そういったことで悩んでいたり、苦しんでいる人たちの力になりたいと思っています。

私のもう一つの目標は、このサイトを読んで頂いた方の中から、F1の世界に興味を持ってメカニックやエンジニアになりたい、という人を一人でも多く生み出せたらいいなと思っています。

結論、F1マシンの構造や力学を楽しく学んでいきましょう!

という訳で次回はグランドエフェクトについて触れていきたいと思います。

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