昨年コンストラクターズランキング7位と大躍進を遂げたウィリアムズ。
ここ数年は、直近5年間のコンストラクターズランキングは最下位4回。
創始者のフランク・ウィリアムズが亡くなり。
代表を務めていた、娘のクレア・ウィリアムズの退任など、チーム運営に安定感が欠けていましたが、昨年は徹底したローダウンフォース化したマシンによって、ついにコンストラクターズランキング最下位から脱出しました。
アルボンらドライバーの功績によるところも大きいでしょうが、その多くはやはりマシンによってもたらされていると思います。
ウィリアムズ成功の要因とは一体何だったのか。
新車と昨年のマシンを交えて説明していきます。
10チーム一の直線番長
昨年のFW45は何といってもトップスピードの伸びでしょう。
ロングストレートの多いサーキットではその実力をいかんなく発揮しました。
2022年型FW44の正常進化という選択を取ったFW45でしたが、ほとんどのチームがDRSを使っても、DRSを開いていないFW45には敵わなかったほどです。
まさに”直線番長”と呼ぶに相応しいマシンでした。(褒めてます)
躍進を象徴するようなアップデートは、シーズン前半に大規模に行い、そのほとんどがリアエンドの空力に注がれました。
武器であるトップスピードを損なうことなく特にコーナリング性能の向上という明確なアップデートの目標があったことが伺えます。
それを裏付けるものはやはりマシン構造で
マシンの至る所を見てもロードラッグという概念が徹底されていました。
フロントウイングは、シンプルなデザインながら、ノーズ先端をウイング前端まで伸ばさない独自製法。
11戦目のイギリスのアップデートでフラップ最上段の面積を減らし、フロアパネルに向けて気流を綺麗に流しフロアダウンフォースの向上とロードラッグに貢献しています。
サイドポッドはレッドブル型を使用していましたがその中でもサイドポッドは小型かつシンプル。
特にインレット下のアンダーカットの大きさとサイドポットの薄さは随一でしょう。
シーズン中のアップデートによって、サイドポッド上部の抉れ(スライダー)がディフューザー上昇ラインまで伸ばしました。
前面投影面積の少ないマシンは高速コースで実力を発揮しました。
ビームウイングの使い方は実にユニークでここでもローダウンフォースのコンセプトが徹底されていました。
従来であれば、アッパーウイングで気流を跳ね上げてダウンフォース量を増やし、ロワウイングはリアウイングとの接続に使い剛性を増すという使い方が基本ですが、
ウィリアムズの場合、ビームウイングのアッパーウイングをリアウイングとの接続として使い、ロワウイングの角度でダウンフォース量を設定していました。
特に特徴的な技術としてウィリアムズは、多孔式のブレーキキャリパーを採用。
キャリパーに無数の穴を開けることで、ブレーキの冷却に貢献しているだけでなく、1輪辺り約200gの軽量化に成功しました。
その分ブレーキの感触悪化など、ドライバビリティの低下にはつながりますが、軽量化というメリットの方が大きいでしょう。
本来こういった革新的な技術は、トップチームから多く生まれますが中団チームから生まれたという珍しいパターンです。
この多孔式ブレーキキャリパーはレッドブルやアストンマーチンが追随するような形で採用しました。
FW45は空気を真っすぐに流そうとしているのでどこのチームよりもドラッグが少ないです。
とはいってもドラッグとダウンフォースは比例しているのでその分、ダウンフォースが必要なサーキットでは苦しみましたが。
FW46
今年のマシンFW46は、見た感じ変更点が少なくカラーリングのみの発表となりました。
しかし、コマツが割とメインスポンサーに当たるのではないかというくらいにでかでかと掲載されていました。
こうしてまた日本人企業のスポンサーが沢山掲載される日は来るのでしょうか?
早速前年比で比べていきますと
昨年までは丸みを帯びていたノーズが角ばった感じでしょうか?
一番目に付いたのはフロントウイングで、内側が湾曲したデザインになりました。
リアに目を向けてもサイドポッドインレットは昨年同様に小さく、アンダーカットの面積も小さいまま。
リアウイングも、フラップは昨年と同じくシンプルで、ウイングを接続しているステーも一本のまま。
ビームウイングに関してもアッパーウイングが相変わらず、リアウイングとの接続の役割を果たしています。
ということは、直線番長のマシンは今年も継続するのか?
といってもテストが始まるまでは、何とも言えませんが
ウイング類やサイドポッドにコマツのロゴが入ったというだけでも今回は収穫ということでしょう。
昨年以上の成績を期待
昨年はマシンだけでなくアルボンのドライビングによってコンストラクターズ7位という順位が獲得できましたが、要因は一つだけではないと考えています。
それは昨年からウィリアムズのスタッフの多くが一新されそれが良い方向に作用しているのではないかと思います。
サージェントのF1初ポイントのお陰で最後はアルファタウリとの7位争いを制することができた。
数年前に比べれば大躍進のシーズンだったはずです。
そうなってくると目指すのは更に上の順位を目指すことが目標になるはず。
もちろんマシンの戦闘力も必要ですが、ストラテジーやドライバーの仕事が重要になってきます。
昨年の時点で6位以上のチームとは大きく差を付けられていましたが、アルボンが昨年以上の走りを見せてくれればもしかしたら?といえるようなチャンスが来るかもしれません。
個人的な話ですがアルボンにはぜひ頑張ってもらいたいです。
私はF1ファンから顔がアルボンにそっくりだといわれるので。(笑)
新車発表はこちらも参照
ハースの2024年マシンが公開。昨年のマシンと比較 今年の目標は最下位脱出 – アルボンノート (albonnote.com)
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