スペインGPから早一週間。
サインツの来季の所属先が未だに決まらなかったり。
スペインで決まるという噂があっただけに驚きです。
決勝では無線無視等と荒れた走りを見せてしまったサインツ。
獲得を検討しているチームからはどのように見えたのでしょうか?
3連戦の2戦目、オーストリアGPの始まりです。
噂によるとオーストリア国内のホテルの宿泊料が異常高騰している模様。
普通の部屋でも1泊50万という値段が付いているそう。
それはさておき今週はスプリントレースが開催されるフォーマットです。
先週DRSトラブルによりリアウイングセッティングを全く煮詰められなかったRB。
ここから2週間はDRSが重要になってくる高速サーキットなので早急に解決しないと、スペイン同様に出遅れてしまいます。
先週のスペインではアップデートを入れてこなかったチームもある、今週アップデートを入れてきたチームはあるのでしょうか?
ウイングセッティングの確認
では恒例のウイングセッティングの確認です。
トップ4のリアウイングセッティングを確認してみましょう。
レッドブルは通常もっとフラップを立てたハイダウンフォース仕様のものを持ち込むのですが今回は一段薄いリアウイングを持ち込んできました。
レッドブル・リンクは少し高地にあり空気が薄いので、レッドブルの弱点が出にくいのでしょうか?
それとも適切なサスペンションセッティングを見つけることができたのか?
もしそうであるならば、レッドブル特有のアウトウォッシュが強いフロアを活かすことが出来るかも知れません。
続いてメルセデス。
今回もスペインの時同様に他のチームよりも薄めのウイングを持ち込んできました。
トップ4の中では最も薄いウイングです。
スペインの時は高速コーナーでもしっかりと速さを見せつけていました。
特にセクター3のターン14はフルスロットルでの通過ではありませんでしたが、フルスロットルだったレッドブルよりも速かった。
高速コーナーは余裕があるから、ダウンフォースを削ってストレートに焦点を置いた方が速いラップを刻めるからなのか?
今回もメルセデスのパフォーマンスには注目が集まることでしょう。
次は、フェラーリ。
カナダの一件から今はイマイチ流れが良くない様子。
前回のスペインで導入したメインプレーンの前後幅を広げたリアウイングではなさそうです。
過去のウイングセッティングを見るに、カナダの時に使用したものに酷似しています。
カナダの時はミディアムダウンフォース仕様でしたので恐らく今回もそのセッティングだと思います。
マクラーレンは最早平常運転のトップ4の他のチームよりもハイダウンフォースです。
タイヤに対して若干厳しいマクラーレンのマシン。
ハイダウンフォースによって少しでもタイヤライフを稼ごうという考えだと思います。
しかしそれでいて、スペインのFP1の時のトップスピードはフェラーリに匹敵する速さでした。
マクラーレンはコーナーも速くストレートでもそこそこのパフォーマンスを発揮し始めている。
一体どういうことか?
他のチームとのリアウイングの大きな違いは、メインプレーンの端の部分にあると考えています。
マクラーレンの場合他のチームよりもメインプレーンの両端の面積が狭い。
ダウンフォースを必要としている中央部分は湾曲を大きくフラップを広く。
そして端はプレーンの面積を小さくして空気抵抗低減に努めている。
フラップにも丸みを帯びさせることで、空気の当たる面積を小さくし空気抵抗を低減している。
元々ストレートの伸びが悪くトップスピードはワーストレベルだったマクラーレン。
コーナーだけでなくストレートも早くなってくると鬼に金棒です。
次は中団勢のウイングセッティングです。
アストンマーティンとウィリアムズは、ミディアムロー気味。
アストンマーティンは前回スペインでは良いところ見せられませんでした。
前回はフロントサスペンションに細かいアップデート。
マシンパフォーマンスの向上よりかは、これまでに入れたアップデートの評価をするという意味合いで入れられたアップデートでしたが、結果はあまり機能せず。
同じくアップデートを入れていないアルピーヌの後塵を喫すという結果に終わりました。
ただ、アストンはストレートの伸びは良いので、セクター1のロングストレートでタイムを稼いでおきたいところ。
ウィリアムズは前回のスペインでは根本的にダウンフォース不足でマシンが全く機能せず、RBと最下位争いを演じることになってしまいました。
ストレートの伸びは良いのですが、全体的にドラッグが少ない分ダウンフォースも少ない。
セクター1では何とかなるとは思いますが、高速コーナーが出始めるセクター2後半では苦戦を強いられそうです。
アルピーヌは他のチームよりも重めのウイングを使用。
前回のスペインでガスリーの口から夏休み手前までアップデートが無いことが公表されたにも関わらず、決勝で他のチームに引けを取ることなく、2戦連続のダブル入賞を達成。
アストンがもたついているうちにトップ5の仲間入りをするかもしれません。
因みに私は一戦一戦アップデートを分析しています。
アルピーヌのアップデートが無いため、1チーム少ない分析で済みますが、それはそれで寂しいです。
さて、先週は散々な週末になってしまったRB。
今回は少し重めのウイングセッティングに見えます。
因みにスペインでの角田の異様な遅さと激しいデグラについては、フロアのブラケット(支持部)の損傷が原因ということが分かりました。
昨年のアルファタウリでは解決できず有耶無耶にするという部分がありましたが、早期に問題究明ができたあたり去年とは大きな違いです。
しかし、本来スペインGPで導入予定だった新型リアウイングはDRSトラブルにより使用できず。
いつ壊れたのか分からないマシンで角田は決勝レースでデータを取り続けていた。
今回は新旧マシンで比較をするということですが、果たして正確なデータを取ることはできるのか?
リアウイングも直っているかは不明ですし、万が一直っていない場合は今週も苦戦を強いられることになるでしょう。
グランプリ中ラップタイムが最も短いコース
続いてはコース情報の確認です。
トラクションの掛かりがあまりよくないこと以外は、全体的に平均的なステータスのコースです。
セクター1は基本的にコーナーと呼べるのはターン1のニキ・ラウダコーナーだけなので、DRSデルタが大きいチームが有利になってきます。
セクター2はターン3低速コーナーのレムス、それをクリアするとバックストレートに入ります。
再びDRSを使って低速コーナーに突入。
クリアするとコースは中高速コーナー中心に変わり、セクター3は完全に高速コーナーに変換。
特にこのコースの特徴としては盛り上がった縁石、通称”ソーセージ縁石”
乗り方を間違えるとサスペンションは座屈してしまいリタイアを余儀なくされます。
そしてセクター毎にロングストレート、低速区間、中高速・・・と綺麗に分かれています。
これは前戦スペインと似たようなレイアウトになります。
大事なのはセッティングの妥協点をどこに持っていくかということです。
今回はロングストレートもあり、セクター3のようにダウンフォースを必要とする高速コーナーがありますので、全体的なバランスを考えてミディアムダウンフォースのセッティングを取ったチームが多いです。
ただ、先ほどのウイングセッティングの紹介のように、メルセデスやレッドブルのようにコーナリング性能に自身のあるチームは、コーナーリングを若干犠牲にし、ロングストレートにリソースを割くというチームもあります。
案外タイヤマネジメントが難しい!?
ダウンフォースを削ったセッティングにする利点はもう一つあると考えています。
タイヤの攻撃性を高めて硬いコンパウンドのタイヤを機能させられることです。
レッドブル・リンクの場合中高速コーナーが集中しているセクター2後半以降のタイヤ負荷は高いです。
しかしセクター3の最終コーナーを抜けてしまうとそこからはロングストレートが続くようなレイアウト。
ロングストレートを走っている間にタイヤが冷えてしまう可能性があります。
ダウンフォースを削ることで、セクター2後半の高速コーナーでタイヤの攻撃性を高め、タイヤを機能させられる適切な温度まで上げてやる。
ロングストレート区間に入っても、合間のコーナーはダウンフォースが無いので舵角を大きくして、タイヤに適度な負荷をかけてやる。
そうすることでタイヤを機能させられる温度を保ち続けられるということです。
コーナリングを重視したいからと言ってかえってダウンフォースを付け過ぎると、高速コーナーではそのセッティングが機能するので良いのですが、ロングストレート区間でタイヤが冷えてしまいます。
先ほど機能するといった高速コーナーにも悪影響を及ぼしかねません。
そういった観点で見るとフェラーリのウイングセッティングは若干心配に見えます。
タイヤに厳しいマクラーレンがそうするのであるならば分かりますが、フェラーリはタイヤに易しいマシン。
言い換えるとタイヤの熱入れがしにくいマシンとも言えます。
ダウンフォースを付け過ぎたことでタイヤが作動温度まで温まらずタイヤが機能しない可能性もあります。
そうなってしまうと、前々回のカナダの二の舞になってしまいます。
タイヤマネジメントに関しては、一部憶測の部分がありますが実際はしてみないことには性格なことが分からないのも事実。
今週はスプリントが開催されるフォーマットなので、フリー走行がかなり重要になってきます。
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